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第20話

義姉さんの葬儀の日、空は晴れ渡っていた。


イスルギさん渾身のエンバーミングが施された遺体は、生前の義姉さんの、明るい、茶目っ気たっぷりな性格までそのまま表していて。参列者の懐かしさと、涙を呼び起こしていた。

義姉さんの母国からも、親類や友人が多数見送りに来てくれていた。

義姉さんの両親や叔母夫妻はもちろん、例の強烈な従姉妹の、四人のうち三人までが現れて、僕や兄さんは完全にオモチャにされた。


父さんと母さんも参列のために南の島から帰って来た。

父さんが、兄さんに言葉少なに声をかける様子、母さんがそれを見守る様子から、二人なりに心配しているのが分かる。

今の兄さんになら、それが伝わっているんじゃないかと思う。



それから数ヶ月後、例の研究所が閉鎖された。

研究施設が、謎の事故で爆発、炎上し、研究成果を収めたコンピュータもろとも壊滅したのが直接の原因だけど。

それ以前に、預かっていたすべての遺体が遺族の要望で返却され、実質研究ができない状態になっていたのも事実みたい。


不可解なのは、離れたところにあったサブのコンピュータやバックアップデータまで、復元できないほど壊れていていたこと。ハードウェアの不良や、バックアップ手順のミスが原因ではないかと言われている。って、何かアヤしいけど。


研究所にいた研究員のうちの中心的なメンバーは、事故の後遺症で現場復帰は難しいとして、ほとんどが畑違いの仕事についている。

サブ的なメンバーの若手の中には、研究職に留まった人もいるそうだけど、研究分野はけっこう替えたんで、成果を上げるのに苦労しているって。


ジェイの仲間がどういう風に活躍したのかまではわからないけど。

とこかく、あの研究所の件は、一応の決着を見た、のかな?


他の類似の研究所からも、遺体を取り返す遺族が増えているというからジェイの仲間の活動自体は、まだ続いているのかもしれない。


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