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急に、ドン、という音と共に、背中に微かな痛みが走った。
里美は、勢いよく振り返り、元凶を睨みつける。
「琢磨~。痛いよ」
「あはは。いやぁ~ちょっと押すつもりが、なんか、力入っちゃって…」
そう言って頭を掻くのは、隣のクラスの日野琢磨。優子の幼馴染である。
琢磨は小柄なため優子よりも身長は小さい。そのためか、里美、優子、琢磨の三人でいると、里美と琢磨が恋人同士だと思われがちだ。しかし、実際は、琢磨は優子と仲のいい友だちのような恋人のような曖昧な関係をずいぶん長く続けている。
二人が両想いであることは、第三者視点から見ている里美にはわかっていることなので、じれったいと思いながらもそっとしているのだ。
「で?真剣な話してたみたいだけど、何の話?」
「真剣な話だと思うなら入ってくるな」
そう言って、優子が、上から琢磨の頭を押し付けた。
「優子!押さえるなっつーの。これ以上身長縮んだらどうしてくれるんだよ」
「ここまできたらもう伸びないよ」
「ふざけんな。高校男子はこれから伸びるんだよ。な、里美!」
迷子の子犬のような瞳で見てくる琢磨に苦笑を浮かべながら少しだけ頷いた。
「だよな!さすが俺の里美。わかってる~」
「誰がお前のだ。誰が!里美がお前のである筈ないだろっ」
そう言いながらじゃれあう二人を里美はうれしそうに見ていた。
そして、羨ましかった。
自分は、こんな風に東也とじゃれあうことがあるだろうか。自分はこんな風に東也にはっきりと物が言えるだろうか。
「面倒くさい」と思われるのが怖くて、なかなかデートに誘えない。
「ウザい」と思われたくなくて、なかなかメールができない。
それでも結局東也からは何もしてくれないので、いつだって里美から誘っていた。
「好きだ」と言えば、「俺も」と返してくれる。
さりげなく道路側を歩いてくれたり、重い物を持ってくれたり。
「好かれている」と実感できることはいっぱいあった。
口は少し乱暴だけれども、それでもいつも東也は優しい。
けれど、同じではない。
自分の方が数倍好きだと思う。
いつもは、そんなこと気にしない。気にしないほど東也が好きだし、気にしてもしょうがないとあきらめている。けれど、優子と琢磨の二人を見ていると、自分も東也に同じように好きになってほしいと思うのだ。
黒板の上の時計を見た。
もうすぐ午後の授業が始まる時間である。
楽しそうに笑う二人をもう少し見ていたかったが、琢磨は隣のクラスだ。
「優子、琢磨。楽しそうな所ごめんね。もうすぐ授業が始まるみたいだよ」
「楽しそうって…。俺がただいじめられてるだけじゃん」
「いじめてなんかないよ。あんたがウザいだけ。ほら、さっさと教室戻りなよ」
「ううっ。優子がいじめるよ~。里美」
そう言って琢磨が里美に横から抱きついてきた。
「こら~。私の里美に抱きつくな!」
「里美は優子と違って優しいからな~。つーか、柔らかいし」
小柄な琢磨だが里美よりは背が高い。けれど、なんだか可愛らしく思えた。
里美は笑いながら、琢磨の頭を撫でる。
そして、小さな声で一つ忠告をした。
「こんなことしてると優子が誤解するよ?私の親友のことあんまりいじめないでね」
「な、里美何言ってるんだよ!」
顔を赤くして琢磨が里美から離れた。
二人の会話が聞こえなかったせいか、優子が複雑そうな顔をしている。
二人の表情を交互に見て、里美は我慢できず噴き出した。
「さっさとくっつけばいいのに」
同じようにして真っ赤になった優子と琢磨の顔を見て、再び里美は笑う。
授業の開始を告げるチャイムが鳴った。
琢磨は何か言いたそうな表情のまま急いで自分の教室へと戻っていく。
その背中を目で追っている優子を見て、今度は優しく笑った。
「今日、琢磨と一緒に帰りなよ?」
優子が頭を縦に振る。
そんな行動の一つ一つがかわいいな、と里美は思った。
窓を開けると、静かな風が入ってくる。
どこか涼しい風。
風が、木々を揺らしていた。枯れ始めた木の葉が、少しだけ落ちる。
風に揺られて、左右に揺れながら、ゆっくりと。
チャイムが鳴り、本日最後の授業が終わると、形ばかりのHRはすぐに過ぎた。
多くの生徒は部活に向かう。
里美は優子と共に女子バスケ部に所属していた。本来ならそのまま体育館に向かうのだが、今日は体育館の整備があるらしく、久しぶりに部活が休みとなっていたのだ。
そういう時には、里美はいつも優子と琢磨と三人で下校していた。
琢磨は男子バスケ部の所属であり、サイクルが同じなのだ。
しかし、今日は一人だ。
少し離れた先で優子が琢磨に「一緒に帰ろう」と言っている。
長年一緒にいて、帰りもほとんど一緒で。それでも、二人の顔は遠くから見ても照れているのがわかった。
きっと、明日には幼馴染じゃない二人の姿が見られるだろう。
優子と琢磨が手を振ってきた。
里美も手を振る。
仲良く歩き始めた二人の背中を見て、もう少ししてから帰ろうと思った。
その瞬間、肩を叩かれ、里美は振り返る
そこには、東也の姿があった。
「今日、一緒に帰ろう」
「え?」
突然の申し出に驚きの声をあげた。少しだけ東也の表情が歪む。
「何?嫌なの?」
「嫌じゃない!」
里美は、大声を出し、勢いよく首を横に振った。東也は一瞬驚いて、すぐに笑みを浮かべる。
「うるさい」
「ご、ごめんね」
「…」
「あ、あのさ。でも、東也くんサッカーは?」
「今日は監督の都合で一時間くらいしかやらないから」
「そっか。じゃあ、図書館で待ってるね」
「…見ないの?」
「え?」
「一時間くらいなんだし、見てれば。俺、ゴール決めるし」
「あ、うん。…見てるよ」
そう言うと、東也は一瞬だが笑みを浮かべた。
「じゃあ、俺行くから」
「頑張ってね」
少しずつ離れて行く東也の後ろ姿を目で追う。グラウンドにはたくさんの人が観戦に来ていた。
「東也~。頑張って~」
黄色い声が聞こえる。
サッカーをしている東也の姿は格好良い。だから、見ていたいと思う。
けれど、ここに来ると東也と自分が不釣り合いだと言われている気がして嫌だった。
里美は、目を閉じ、深く息を吐いた。
そして、懸命にボールを追う東也に、心の中で「頑張れ」と声援を送った。
3年生が引退した部活は、2年生が主力となっていた。サッカー部の柱は、2年エースの東也である。
紅白試合で、背番号10を付け、大声を出し、雰囲気を盛り上げていた。
そして、試合の終盤。東也は宣言どおりゴールを決める。
それと同時にわき上がる歓声。
ホイッスルが鳴り、試合が終了した。2-0で、東也たちのチームが勝利をおさめる。
数人いるサッカー部のマネージャーたちが、タオルやスポーツドリンクを渡していく。
東也の傍にいるマネージャーは、綺麗だった。
東也と楽しそうに笑っている。さりげなく、マネージャーの手が、東也の肩に触れていた。
「あのマネ、東也狙いらしいよ」
「え~、そうなの?…でも、悔しいけどかわいいからな」
「だよね。彼女があの子っていうなら、しょうがないとか思うよね」
「でも、今の彼女だったら、うちらにも脈ありでしょ?」
少し離れた所からのそんな会話が、里美の耳に入ってくる。里美は、気にしないようにしようと思った。
けれども、どうしても視線は、東也とマネージャーに行ってしまう。
二人が並んだ姿は、彼女である自分から見ても、お似合いだと思えた。
グラウンドでは、部員たちが片づけを始めている。
『校門で待ってるね』
里美は、そうメールを打って、その場を離れた。もう、見ていたくはなかった。
制服に着替え直し、校門まで来た東也はどこか怒っているようだった。
待っていた里美に何も言わずに歩き始める。
里美は一瞬開けた後に、すぐに追いかけた。歩幅を緩めずどんどん歩く東也。
速足で歩かないと置いて行かれてしまいそうだった。
「あ、えっと。お疲れ様」
「…」
「東也くん。…ごめんね」
その言葉に東也は歩みを止める。振り返って里美を見た。
「何に対しての謝ってんの?」
「なんか、怒っているみたいだから」
「なんで怒ってるのかわからない?」
「…ごめん」
ため息をつき、東也は再び歩き出した。里美は速足でついて行く。
「…なんで、グラウンドで待ってないの?」
「あ、ごめんね。私が、先に校門に行っちゃったから怒ってるんだね」
「俺は理由を聞いてるんだけど?」
「あ、ごめん。」
「もう、謝んな。ウザい」
「ごめ…」
謝りそうになり、里美は急いで口を噤んだ。東也の口からため息が漏れる。
「で?」
「…えっと」
「なんで、ずっと見てなかったの?」
「後片付けだけみたいだったし。先に行ってても良いかなって思って」
「俺、見てろって言ったよな?」
「見てたよ。…ゴール決めた所も見てたもん」
「でも、最後まではいなかった」
「だって…それは」
里美の声が小さくなる。けれど、東也の耳には入っていたようだ。
「それは、何?」
「…他の子たちの邪魔になったら悪いかなって」
言いながら、少し前を歩く東也の表情が更にきつくなった気がして、里美の声は小さくなった。
「は?」
低い声。
「…だって、あの子たちほとんど東也くんのファンでしょう。私、一応彼女だし。そんな私が見てたら嫌だって思うかなって」
「お前、ふざけんなよ」
東也の低い声に、里美の肩が少し上がる。鋭い視線が突き刺さった。
里美は無意識に身体を丸める。
突然、東也が里美の腕を掴んだ。「痛いよ」と訴えても離してはくれない。
強引に連れて行かれたのは、人気の少ない路地裏だった。
押されるように突き放され、背中が壁に当たる。東也が里美を挟むように、両手を壁につけた。
里美には今の状況がいまいち理解できなかった。けれど、東也が怒っていることはわかっている。
ここまで東也が感情を表にしたのは初めてな気がした。
里美は、泣きそうになりながらも謝ろうとするが、先ほど言われたことを気にして、何と言っていいのかわからない。
沈黙が痛い。耳を刺すようだった。
怒鳴り声でもかまわないから、何か言ってほしかった。
けれど、東也は何も言わない。ただ、里美を見降ろしていた。
耐えきれず、里美が口を開く。
「東也…くん?」
「…」
「…」
「一応って何?」
「え?」
「一応彼女って何?」
そこまで来て、里美は東也が何に対して怒っているのかを理解した。
「あ、あのね。違うの。そういう意味じゃないの」
「じゃあ、どういう意味?」
「それは…」
上手く応えられず、里美が口を閉ざす。
「お前はなんでいつもそうなんだよ」
「…え?」
「なんで俺に気を使うんだよ。…なんで!」
つらそうに歪める顔を間近で見ながら、里美は少しだけ冷静さを取り戻していた。
『なんで?』なんて、当たり前過ぎる。
『なんで』なんて、聞かないでほしい。今まで目を逸らしていた、逸らそうと頑張っていた事実を認めてしまう。
「あいつには、素直なくせに」
「…あいつ?」
「日野琢磨」
突然出てきた友人の名前。話の脈絡と彼の名前が不一致過ぎて、里美には理解ができなかった。
「なんであいつに触らせるの?」
「何言ってるの?触らせてなんかないよ。…そういう言い方止めて」
東也の鋭い視線が怖かったが、それ以上に、友人のことを悪く言われているようで嫌だった。
「あいつのことかばうのかよ?」
「かばうとかじゃなくて…。琢磨とは友だちだから。触らせるとかじゃないし」
「今日の昼。あいつに抱きつかれてただろう?」
里美は何を言っているのだろうと思った。確かに昼休みに琢磨は抱きついてきたが、そこには何の感情もない。それを問題にすると言うなら、東也はどうなのだ。
自分だって、他の女子に抱きつかれていたではないか。
東也を好きだというマネージャーとも楽しそうに話していたではないか。
どうしてただ友だちとじゃれついていただけで、こんな風に睨まれなければならないのだろう。
しかも、この誤解は、琢磨に失礼だ。琢磨は友人だし、優子が好きなのだ。
「琢磨のこと悪く言わないで」
「それも、むかつく」
「え?」
「なんであいつのことだけ呼び捨てなんだよ」
「友だちだからだよ」
「男で呼び捨てなのはあいつだけだ」
「…確かにそうだけど」
「むかつく」
ストレートな物言いに、里美は力が抜けたようになった。
拒絶されている。そう感じた。
「…嫌だよ」
「は?」
「嫌だよ。…嫌いにならないで」
震える声。
身体までも震えてきた気がした。
「お願い。なんで、なんて、聞かないで」
「…」
「なんで、なんて、聞かないでよ」
里美の瞳が涙でぬれた。
頬を伝い、地面に落ちる。目の前にいる東也の顔さえぼやけて見えた。
けれど、かまわなかった。見えない方がいい。どんな表情かなんてわからない方が良かった。
「だって…。だって。嫌われたくないんだもん。わがまま言ったら、離れて行くでしょう?やきもち妬いたら、離れて行くでしょう?素直になったら、離れて行くでしょう?…そんな光景がバカみたいにはっきり思い描けるのに、…そうならないように、必死で努力しているのに、『なんで』なんて、聞かないでよ」
「里美…」
「私は、東也くんが好きなの。好きで、好きで、困るくらい好きで。東也くんが私を想う何倍も好きなんだもん。だから、離れたくないの。…無理してでも、彼女にしていてほしいの。だって、そうしたら、傍にいられるもん。だから、メールとか電話とか我慢してるし。女の子に抱きつかれても、見て見ぬ振りしてるじゃん」
「…」
「東也くんが、言うなら。ちゃんと、グラウンドで待ってるから。他の人なんて、気にしないで、ちゃんと待ってるから。マネージャーにやきもち妬かずにまってるから。…だから、嫌だよ。きらいにならないで」
不安が爆発して、里美自身何を言っているのかわからなかった。
ただ、好きだという気持ちが一つ残らず伝わればいいと思っていた。
顔を下げると、涙が止まらなくなりそうだった。上を向く。
東也と目があった。
そこには、柔らかい表情が戻っている。人差し指で頬を掻いた。
「聞いてもいい?」
里美はゆっくり頷く。
「…俺が他の子といると嫌?」
「嫌だよ」
「もっとデートとかしたい?」
「したい」
「最後の質問。……俺のこと、好き?」
「うん。…大好き」
東也はそれまで、壁についていた手を外し、里美の背に回した。
里美の身体を自分の方に引きつける。ぎゅっと力を込めた。
「ごめん」
「…東也くん?」
「ごめん。俺も、好き。めちゃくちゃ好き」
「…」
その言葉に、涙があふれた。東也のブレザーに涙が染み込んでいく。
「お前、何も言ってくれないから。友だちの彼女とかは、他の女子とかと話してるだけでやきもちとか妬いてるのに、何も言ってくれないし、日野とは仲いいし。あいつのこと呼び捨てにする癖に、俺のこと『くん』付けだから。…不安だった。お前が離れて行きそうで。俺ばっかり好きみたいで」
声が小さくなってくる東也。俯いているその表情が、背の小さい里美には、しっかり見えていた。
「同じだ」と思った。
自分が感じていた不安を同じように東也も感じていたのだと初めて知った。
里美も東也も待っていた。
相手がこちらに歩みを進めてくれるのを。同じ気持ちで。
でも、たとえ同じ気持ちでも、どちらかが歩み始めねば、出会うことなどないのだ。
努力をするのなら、「引く」努力ではなく、「進む」努力をしなくてはいけなかった。
二人とも待っているのではなく。
二人ともが歩み始めれば、もっと早く、二人は手と手を取り合うことができたのだ。
「ごめんね。東也くん」
「俺も。ごめん」
「…」
「…これからはさ、嫌な事は嫌だって言って。したいことはしたいって言って。疲れてたらメールとか電話を返せないかもしれないけどさ。部活とか忙しくなったら、デートも行けないかもしれないけどさ。それでも…」
「うん」
早い時間に学校を後にした筈なのに、二人が路地から出た頃には、夕日が沈みかけていた。
商店街には夕食の支度をする人たちがあふれている。
二人は手を繋ぎ、人の波の中を歩いて行った。
隣を歩いていた東也が思い出したように里美に言う。
「とりあえず、日野琢磨とあんまり仲良くするなよ。むかつくから」
どこか拗ねたような口調に、里美は思わず笑いを溢した。東也が睨んでくるが、照れ隠しだとわかるので怖くはない。
「それはちょっと無理かな。だって友だちだし。それに…」
そして思い出したように、里美は笑った。
突然の笑みに東也は首を傾げる。
「心配しなくても大丈夫だよ。明日には親友の彼氏だから」
「は?」
「明日になったらわかるよ」
満面の笑みを浮かべる里美を東也は素直に「かわいい」と思い、こんな笑みにさせる琢磨をやっぱり好きにはなれないと思った。
「明日が楽しみだな」
自分のことを忘れて思いにふける里美。
東也は、一瞬左右を確認した。
背を丸め、里美の唇に軽く触れる。
「な!」
面白いほど赤くなる顔を見て、満足したように笑みを浮かべた。
「ひ、人がいっぱいいるのに!」
「人がいない所ならいいんだ?」
「そ、そういう意味じゃなくて」
「お前が他の男の話をするから悪い」
「…自分だって、マネージャーと楽しそうに笑ってたくせに。あんなかわいいマネージャーなら、あんな笑顔になるよね」
皮肉たっぷりに言った言葉に、東也は顔を赤く染めた。
予想外のその表情に、里美は不安を抱く。
「…やっぱり、そうなの?」
「ち、違う!」
「じゃあ、何?」
「…」
「言えないなら、いいよ!」
手を離そうとした里美の手を、東也はより強く握った。
顔を赤く染めたまま、苦い顔をする。そして、あきらめたように話し出した。
「違うんだって。…あれ、お前のこと話してて。『彼女、かわいいね』とか言われたから」
その言葉に里美の顔も朱色に染まった。
「で、でも。東也くんのこと好きなんでしょう?」
「は?何それ。それはない。あいつ彼氏いるから」
「…」
「ま、やきもち妬いてもらってうれしかったけどね」
再び里美の顔が赤くなる。耳までも真っ赤だ。
その表情を見て、東也はため息をついた。
「さっきのやつ、絶対逆だから」
「え?」
「絶対、俺の方が、お前のこと好き」
頬を掻きながらそう言う東也を見て、里美は笑った。
そんな風に言ってくれるこの人が、本当に大好きだと思った。
きっとこれからもいっぱいぶつかるだろう。
だって、二人は同じ人間ではないのだから。
でも、だからこそ、歩み寄っていける。
「大好きだよ!東也くん!」
そう言って、里美は東也に抱き付いた。もう誰が見ていようと関係なかった。
好きな人がいます。
家まで送ってくれる帰り道。私は、遠回りをしたいけれども、寒いからと言って近道を歩くような人。
でも、手を握って歩いてくれる優しい人。
それが私の、好きな人。
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