第一話
「……?!」
いきなり目の前が白く光ったかと思えば、森……?
「夢……なのか?」
驚きのあまり、ありきたりな言葉を言ってみる。
つい先ほど、長年介護をしてきた父の葬儀を終えたばかりなのだ。たった一人の肉親で、これから自分の人生を歩み始めようと考えていた出来事だ。
とりあえず、ポケットに入っているであろうスマホと財布を確認した。
「スマホの充電は…よし、ん?電波が入ってないんだけど……」
日本でこんなことがあるのだろうか……財布の中身は問題なさそうだ。カード、紙幣、小銭すべてそろっている。
「にしてもどうするか……」
持ち物はスマホと財布、それと喪服に革靴のままだ。
「とりあえず今いる場所を起点に、少し歩いて探索してみるか」
そう意気込んで探索してみることにした。
――数時間後
「本気でまずい、このままだと水分も食料もない、それにもうすぐ夜だ……」
数時間歩き回った成果は、食べられるかもわからない木の実が数個と、身の丈ほどの丈夫な木の棒だけだ
「これ以上動くのは危険だな、とりあえず火か?水?いや寝床か?くそ!わかんねぇ!」
なにもわからない環境で、肉体的にも精神的にも追い詰められている。
「落ち着け落ち着け、もう水は探せない、なら火と寝床だ」
そういって聞きかじっただけの火おこしをしてみるが、火種はおろか煙すらあがらない。それどころか無駄に体力を消耗して、手のひらを痛めただけだった。
体力を使い果たした俺は、安全を少しでも確保する為に、木の上で寝ることにした。
「何だってんだよ…くそ…!」
空腹とこれから来る暗闇への恐怖でつい悪態をついてしまう。
そろそろ日が落ちる、相棒である木の棒を抱き寄せて眠る事にした。
「――ガサッ」
少しの物音ですら恐怖の塊で、眠る事ができない。もう何度目だろうか。最初はスマホのライトを点けてみたりしたが、こちらの居場所がばれる可能性と充電を減らさないために、我慢することにした。
そうして眠りについたのは日の光が差し込んできてからだった。




