004-『師匠』
〈世界蘇生術式〉。
これを知ったのは、あの時。
平地と化した王国を離れ、最初の「地脈の接触点」へ向かった時だった。
クレーターに何かないかと思って掘ったが、何も無かった。
絶望し、地面に手を突いた俺は、自分が何をするべきなのかを本能的に理解した。
それが、職業のもたらす力なのだ。
剣など握ったことがない結城が剣を振るえたのも、全て勇者の職業のおかげだ。
といっても、職業は「やり方」しか教えてくれない。
身につけるのは自分の努力だ。
「どこだ......ここ.......」
最初の地脈の夢の世界は、森だった。
その時、ドクターアークは夢の範囲外にいたため俺は孤立し、森の中で彷徨った。
だが、親切なエルフに助けられ、その時にいくつか魔法を教わった。
俺の知っている魔法は、人間の間で流通する魔法と少し形式が違うらしい。
『ううん、知っているよ。ここが泡沫の世界である事は』
『きっと、誰かの想いがここを形作ってるんだよ』
そして。
俺は、そのエルフに地脈の仕組み、夢幻の世界の歩き方、魔法をいくつかと、世界の蘇生のやり方を教わった。
ただし――――
「え?」
その夢は、唐突に終わりを遂げた。
エルフの膝で眠ったその日。
俺は何もない荒野で目覚めた。
上空にはその間放置されていたドクターアークがあり、戻った俺は時間が大して経過していない事を知った。
夢の中では時間が止まる事を。
そして、俺が過ごしたあの森は、完全に枯れ果てて修復不能と化した。
だが、無駄ではなかった。
俺が学んだあの魔法や、蘇生のやり方、魂と想念という概念。
それを生かし、俺は次の地脈に挑戦した。
......正直楽だったとは思えない。
ただし、成功した。
「.....誰も、俺の事なんか見てないか」
世界を修復しても、俺はその地域の人にとっては旅人に過ぎない。
誰にも持て囃されることもない。
ただ、俺は、自分の故郷でもない世界の為に、地脈蘇生を続けている。
「こいつが魔導飛行船か」
異世界人のラグナという魔導技師を招けたのはよかった。
魔導飛行船は未完成の状態から、二週間かけて完成した。
ただし着陸機構は間に合っていない。
「脚」を地面につける形で着陸できればいいなと彼は考えているが、それに耐える素材がないそうだ。
「ドワーフの機械の国があるはずだが、こんな状態では見つけられんな....」
「そうか.....」
「まあもし、見つけられることがあったなら、そっちで改造してもらう方がいいぞ」
「分かった」
資源も限られている。
何故かといえば、雲より上に上がったドクターアークから見下ろせる範囲くらいしか解放できないからだ。
そして、巨大な範囲の地脈を蘇生するためには、毎度大冒険をしなければならない。
ままならないものだ。
「まあ、治療ができるってのはいいものだ」
甲板で一人俺は呟く。
活動資金には困らないからな。
ちなみに、ミカの職業は「薬剤技師」だ。
普段は看護師をやってくれてるが、薬も作れる。
それも資金源だな、最近人気なのは精力剤だ。
モン○ナみたいなのを売っている。
この情勢下で法律もクソもないので、捕まらずには済んでいるが。
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