第三話 妖刀を持たない男 その男の名は鹿洲光寿(かしまみつひさ)
夜桜町を後にした俺たちは、そのまま華身一刀流剣道場へ進んでいく。
「華身一刀流っていう剣道場はどういった剣術なんだ?」
「志波竝から聞いた話だと対妖刀に特化した剣術らしいが実際俺も使ったことないから知らん。」
道なりを進んでいる道中後ろから大声で剣〜!!と呼んでいるやつがいる。
振り向くとそこには勢いよく向かってくる見覚えのある少女がこちらへと向かってくる。
「久しぶり〜!!」
「なんでお前がいるんだよ!盗人」
「盗人はひどい〜!!私も刀を手に入れたからさ。」
晃作が鋭くとがった目でこちらを睨んでいる。
「剣くん...これはどういうことかな?...」
懐からハサミを取り出しながらそう呟いた。
「こいつは俺の巾着を盗んだ女だ。」
「ねぇ、ねぇ。可愛い子ちゃん名前は?」
「私は磐園 千代よろしくね!あなたは?」
「俺は蕗谷 晃作よろしく!!」
「千代ちゃん〜は何が好き?」
剣は頭を抱えながら、「まだ始まった。」とつぶやいた。
その後、三人で山道を進み険しい道も進み続けた先に次の目的の街へとたどり着いた。
華身一刀流剣道場
道場に到着し、扉からこっそり中を見るとそこには三十代ぐらい男が立っていた。
「はぁ~...桜華のやつ久しぶりに顔見せに来たと思ったら妖刀を持ったガキ共の面倒をみろって言いやがって...俺の道場は寺子屋じゃねぇんだぞ。」
すげぇ〜ほどピリついている。
なんか入るの気まずい雰囲気。
どうしようと話し合っていると扉が開けられて一言つぶやいた。
「来たか!ガキども!!」
そこには剣術の使い手とは思えない姿の男が立っていた。
「とりあえず、茶の間に入れ!」
華身一刀流剣道場 茶の間
茶の間に通され、お茶と饅頭が出された。
「桜華からは色々と聞いている。お前ら、妖刀の力をどれくらい使いこなせている?」
「どれくらいって言われても2割くらい?3割?」
その回答にため息をつきながら鹿洲はこう語った。
「妖刀にはそれぞれの属性とそれぞれの特性がある。例えば、お前が持つその妖刀は炎の属性。特性は炎を刀身に纏って放つこととかな。」
「妖刀には5つの属性がある。
火 水 風 光 闇 基本の属性はそんな感じだ。」
「志波竝の属性って...」
「志波竝は風の派生。つまり、花が奴の属性だ。」
「そして、妖刀には妖力が宿っている。その妖力を辿って妖力使いの場所を認識することができるって話さ。」
「まず、お前らには基礎体力をやってもらう。メニューはこれだ。」
メモを書いた用紙を渡された。
そこには一里塚辺りまで走る。(1時間以内)
戻ってきたら竹刀で素振り千回やるようにと書かれていた。
ここから一里先までひたすらに走り出す。
晃作は嫌々ながらも目をバッキバキにしながら走り出す。
「この修行を終えたら千代ちゃんに俺の好きなコロッケを食べさせるんだ〜!!」
と言いながら猛スピードで走り出した。
「そんなスピード出すと、後から体力持たなくなるぞ。」
一里まであと半分くらいの所で晃作はペースを徐々に下げ始めた。
一里まで到着し、戻っている時に川で遊ぶ子供達を見てふと笑い出した。
あの頃の自分と子供達を比べてた。
そうして俺たちは一月の間、雨の日も風の日もその修行を欠かさず行っていった。
「腰が入ってねぇ〜ぞ!!剣! 晃作!!」
「俺、もう嫌だ〜〜!!」
「晃作!!もう少し耐えろ!」
「グダグダ言ってるんじゃねぇよ!早く続けろ!」
ひたすら、竹刀を使った素振りをやり始めた。
時には、鹿洲さんが俺たちと打ち合いをしてくれた。
「お前らに、今日から追加で新しく学んでもらう奴らを紹介する。入れ!」
そこには若い男と、女が立っていた。
「四宮辰政です。よろしく!」
「同じく四宮 葉月です。よろしくお願いします。」
晃作は目を光らせてこういった。
「まじで!!女の子じゃん〜!!蕗谷 晃作。よろしくね!!葉月ちゃ~ん!!」
飛びかかろうとした晃作の顔面を手で払い除けてこうつぶやいた。
「うっさい黙れ!!」
晃作はそのまま、蹴飛ばされた。
それから四宮兄妹の話を聞くとどうやら二人も妖刀を所持しているらしい。
「俺が持つ妖刀の名は立風。そして葉月が持つ妖刀は氷刃閣です。」
「そうか。2人とも妖刀を持っていたんだな。」
その後、稽古をお願いして四宮兄妹と同じくらいに上達した。
なお、晃作はその後もしつこく葉月に詰め寄って突き放されていた。
一方その頃...
剣たちと同行していた磐園千代は鹿洲からこう言われていた。
「磐園だっけ?ならお前はどうしたい?」
「私も妖刀を使いこなせるようになりたい!」
「そうか、まずは刀の使い方はもちろんだが、お前に華身一刀流を教えてやる!」
どうやら俺たちと同じメニューをこなしながらついでに、華身一刀流の剣術も教わっているらしい。
「剣見なかったか?」
「見てないけど、そう言えば昨日山に行くって行ってたよ。」
誰もいない山道を進むその先にはかつてこの地で腕を磨いていた剣客が修行していた場所へたどり着いた。
そこで実践を模した仕掛けを作り、躱わしながら刀を振るう。
それを1日100回以上繰り返す。
一定の回数を超えた時、身体が目がそれに馴染み始めた。
あれから何時間たったんだろう?
周りが暗くなりはじめた。
刀を納め、山道を下っていく。
山道を抜けるとまわり一面が静まり返っている。
太陽は沈み、月が少しずつ照らし始めようとしていた。
剣道場に戻るとそこには笑い声が聞こえる。
襖を開けるとそこには好物の団子や焼き魚が並んでいた。
「おかえり〜!!剣!」
とみんなが出迎えてくれた。
「次はどうするんだ?」
「特に決まっていなくて...」
「なら俺の弟子に会いに行くといい。あいつなら妖刀のことを教えられる。」
「今、その方って...」
「多分、京都にいるはずだ。」
ありがとうございます。
あれから1ヶ月が過ぎ、ここを去ることとなった。
剣道場 門前
「今までありがとうございました!鹿洲さん 四宮さんたちも!」
「俺たちの方こそありがとうな!また、いつでも遊びに来い!」
手を振りながら叫んだ。
「お元気で〜!!」
この数ヶ月後に待ち受ける試練を俺はまだ、知る由もなかった。
牛鍋屋 おりん
そこには片目を隠した男と髭を生やした男がいた。
「それで?計画は順調かい?」
「アァ、ジュンチョウニススンデイル。
オマエノシナリオドウリニナァ!ナンナラココニイルニンゲンモコロスカ?」
「いいよ、殺さなくてまだね。厄介なのは妖刀夜桜。あれをどうにかする手はないかい?」
トサカ頭の男が続いてこうつぶやいた。
「一つならあるぜ!妖魔の剣を妖刀所持者に刺す。」
「あぁ、その手があったね!さすがだよ!史郎。」
「史郎じゃねぇよ!!名前間違えてるんじゃねぇよ!殺るぞ!」
「すまない。すまない。どうやら君たちが手を出さなくても私の妖刀は人の生気を吸いたくってウズウズしているようだ。」
「さぁ、始めよう!新しき時代の始まりを...そしてあのお方のために...」
店を後にするとそこには腐敗臭が漂っていた。
「おい!みたかよ、今日の号外!」
「あぁ、みたぜ。おりんだろ?聞いた話によるとものすごくエグかったらしいぜ。」
「まるで幕末のあの頃のようによ...」
新聞を見ながら女の羽織を纏った男はこうつぶやいた。
「やれやれ...面倒くさくなってきたな。そうだろう?〇〇〇...」
この事件は後に起きる厄災の前触れにしか過ぎなかった。
これから起きる地獄は知る由もない。
次回「再会」




