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妖刀 四重奏(カルテット)  作者: 幻魔 狂死郎
死海門鐘(しかいもんしょ)編
20/20

第二十話 第七天魔王

...大阪城 天守閣...

月明かりが暗黒なる大地を照らす。

四十七の儀式が終わりを迎えようとしていた。

「まもなくだ!我が魔王たる王が目覚める。」

四十七の鐘が鳴り響く。

激しく大地は揺れ風は強く吹き荒れる。

大阪城の周りには大きなくぼみがあり、そこには多くの血が池のようにたまっていた。

現世とあの世の境界線のように激しく揺れ全国へ響き渡る。

まるで、悪魔があの世から復活したように...

地獄の底の扉が開く。

そこには黄金の羽織を羽織った男が立っていた。

「炎閣め!やりおる!!」

地獄に閉じ込めていた妖魔たちが現世へと流れていく。

静まり返った大阪をはじめとした各都道府県が静まり返る。

器は目覚めると同時に現世では、家臣たちが膝をつき出迎えているのがみえた。

「お待ちしておりました!わが魔王!!」

家臣たちは一斉に声をあげそう告げた。

「久しいな!炎閣よ!!」

その男はかつての戦乱の世を統べた魔王だった。

「で?儂を起こしたということは何かしらの邪魔者がいるのじゃろ?」

「ハッ!」

「そやつらの名は?」

「獅子王 剣!以下...」

名前を読み上げる直前、どこからか声が聞こえた。

天守閣から下を見下ろすとそこには赤く燃え上がる刃を手にした少年がいた。

「ほ〜う!奴が獅子王 剣というやつか?ど〜れ?儂が直々に相手をしてやろう...」

天守閣から凄まじい妖気を纏ったまま地面へ着陸した次の途端、見たことがないスピードで剣に襲いかかる。

剣速が上がっている...

防ぎきれない...

なんとか全ての攻撃を受け流すことができた。

しかし、迦楼羅の刀身を見るともう既にボロボロになりかけていた。

「その程度か?300年の時がたった今では、こんなにも弱くなったとはな...これ以上儂を失望させないでくれよ!若造」  

地面の揺らぎが鳴り止まない。

この男は一体...

試行錯誤を繰り返す時間などはなく、ただひたすら相手の剣速のスピードに付いていくだけで精一杯...

「危ない!」

「しまった!」

相手の重い一撃を受けたと同時に別方向から斬撃が放たれていた。

「迦楼羅だけじゃ間に合わない...」

「覚ませ!陽狼かげろう

1秒あるかないかの中で晃作の刃がギリギリ剣に飛ばされた斬撃を防いだ。

「大丈夫か?剣!」

「あぁ、なんとか」

奴の妖刀...何かがおかしい

今までの妖刀使いより何かが...

真正面から刃と刃がぶつかり合ったとき、迦楼羅の刀身が折れた...

「立ち上がれ!剣!!逃げるぞ!」

「さて、僕も加勢するとしよう!」

「朽ちろ!咎音」

周りの植物や建物がすべて腐蝕していく。

「本気で行くよ!妖装解放 暴蝕 絶破 (ぼうしょく ぜっぱ)咎音」

大阪城周辺を飲み込む黒い無数の触手のようなものが剣たちへ襲いかかる。

「クソ...斬っても斬ってもキリがねぇ...」

仲間が傷を負っていくのが見ていてわかる。

「ちぃ、妖力が...」

晃作の妖力が無くなりかけたとき、どこから声が聞こえた。


「吹き荒れろ!立風」

相手の触手が攻撃を仕掛ける直前、立風の斬撃で斬り裂いた。

「四宮の兄!」

「兄って呼ぶな!」

「大丈夫か?晃作」

「鹿洲さんも無事ですか?」

「あぁ、何とかな...」

みんながやられていく様が脳裏に焼き尽く...

怖いんだ...また誰かを失うのが...

また誰かを助けられないのが...

武器すらも欠けた今...俺に何ができる?...

守れる力...またじいちゃんと親父たちのように目の前で殺されていくのをただ見ているだけでいいのか?...

顔をビンタする音が響き渡る。

「いつまで、そんな風に言ってるつもり?いつまでも立ち上がらないつもり?今やることはそんなんじゃないでしょ?剣!今はみんなを助けないといけないでしょ?」

「ごめん...千代...」

再び、迦楼羅を構え願ったときじいちゃんの言葉を思い出した。

「いいか?よく聞けよ!妖刀には魂が宿ってる。どんな妖刀にもだ!お前がもし、諦めそうになったとき...この言葉を思い出せ!妖刀はいつもお前の心に応えてくれる。」

弱くたっていい。負けたっていい。

ただ、誰かを守れるだけの力を...

誰かを救えるだけの力を...

折れたはずの迦楼羅の刀身が赤く燃え上がる。

その炎は大地をつたってこの大阪に張り巡らされた結界内にいる仲間へと届いた。

「これは...」

「剣か?」

迦楼羅最後に力をかしてくれるか?

「いいよ!もし、僕が消えたらもう一つの僕によろしくって伝えてね!」

迦楼羅の刀身が赤く燃え上がり青く揺らめく炎へと変わっていく。

「あの刀...わしが知らない妖刀じゃな...」

「これ以上...誰も傷つけさせない。」

その炎は人を燃やす炎なんかじゃない...人を救い、導くための炎。

そう、君はその刃で今までもこの先も多くの人を救っていくんだ!

そのためにこの世に蔓延った魔王を撃たなければならない。絶対に...

「少しでも、剣が奴に迎えるように...道を切り開くぞ!」

「妖装解放 万華鏡 千本桜 夜桜」

無数の花びらを足場にして、剣が襲いかかる触手たちを斬り裂いていく。

途中で迫ってくる敵の攻撃が襲いかかる瞬間。

「打ち鳴らせ!黄金!」 

千代が乱反射の力で別方向へ向けた。

青い炎を纏った斬撃が無数の触手を焼き払う。

お前はいつもそうだった...

いつも俺より前にいた。

そんなお前が羨ましかったんだ...

だからこれからも俺は剣と共に立ち向かっていきたい。

どんな困難にも...

だからせめて...この瞬間だけは...

「剣!」

「晃作!!」

妖刀 陽狼を迦楼羅にかざす。

晃作の陽狼の黒い炎が剣の青く揺らめく炎と同化して青黒い炎へと変わった。

その刃を手に魔王がいる場所へひたすら走り続ける。

「こっちに向かってくるか?ならばアレを用意しろ!」

「はっ!」

そこには村正を持った幸村が立っていた。

「殿のご命令だ!私が奴らの相手をする。」

「しかし...」

「大丈夫さ!こちらにはわが主がいる。私がやられてもまた、蘇ることなど容易い。」

「来る!」

青黒い炎を纏った刃と多くの血を浴びた刃がぶつかり合う。

「幸村!!」

その言葉を聞いたとき、かつての忌々しい記憶が蘇った。

「お前は豊臣方についたんだな?信繁よ...」


「あぁ、兄者!兄者はどうして徳川側に?」

「嫁がな...」

「なぁ、信繁。三途の川の向こうは本当に地獄なのかな?もし地獄に落ちたならお前はどうしたい?」

「そうだな...とりあえず、六文銭を払って行けたなら俺はその川の番人にでもなろうかな?」

「そうか!お前らしくていいな!」

...大阪城...

燃えたぎる炎が天守閣を覆いかぶ去っていく。

「これより、徳川に対して一矢報いて参ります!秀頼様...淀殿...」

「もはや、これまでか...分かった。今までありがとう。幸村よ!」

「はっ!」

「これまでよくぞ共に戦ってくれた。逃げたいものは逃げ、生きろ!そして、未来で我が行くすえを語ってくれ!私と共に行くものは私のもとに集まってくれ!」

「俺は行くぜ!信繁様と共に」

その場にいた半数以上の者たちを率いて敵陣徳川家康の馬印がある方へ向かった。

「見えた!あれは徳川の...」

徳川本陣へあと一歩というところで私は数々の傷を身体に負い安居神社の境内の木の下で敵に看取られ息をたった。

息を立つ直前に走馬灯が頭によぎり、懐かしい声で「幸村!」そう呼ばれた気がした。


いつの世も不思議だった。

まさか、再びこの世で刀を持ち儂を超えゆる次世代の妖刀使いと刃を交え、そしてその刃によって儂は満足して三途の川を渡ることができそうじゃ...

「獅子王 剣!お前は強い!わしが今まで戦って来た者たちに比べてお前は...」

村正の刀身を弾き返した直前、青黒い炎が幸村の首を斬り裂いた。

実に濃い人生だった。

獅子王 剣!あっぱれじゃ!

そう言い残し、生気が消えていった。

最後に見た顔は安らかに微笑んでいた。



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