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妖刀 四重奏(カルテット)仮  作者: 幻魔 狂死郎
死海門鐘(しかいもんしょ)編
15/15

第15話 東京聖域(コロニー)パート2

...東京都 永田町 首相官邸...


誰もが寝静まった午後0時に扉を叩く音が聞こえる。

「誰だ?」

「紅茶をお持ちしました〜!!」

扉を開けると机にたくさんの書類の山が置かれていた。

机の書類をどかし、男はつぶやいた。

「ここで構わない。君は見ない顔だが?」

「本日より護衛の任に着任しました!恵美須胡桃えびすくるみと申します」

「そうか!よろしく頼むよ。首相の犬養治いぬかい おさむだ。」

「こちらこそよろしくお願いします!首相。私はこれにて...門番と交代しなければならないので...」

その場を後にしようと扉を開けて出た。

月夜が照らす夜空を見上げて男は何の疑いの無いまま紅茶を口にした。

紅茶を飲み干した後、男は喉を押さえながら藻掻き苦しみだした。

やがて男の手足はしびれ立つ力さえ失った。

扉をこっそりと開けて中を確認すると男が倒れているのが見えた。

窓をあえて割ってその場から逃げた。

窓が割れた音に気づいた警備員が首相の部屋へと近づいていく。

首相の部屋の扉を何度もたたきつける。

一人が部屋の中を確認するため、こっそり扉を開けるとそこには喉を引っ掻いて無惨にも苦しんだ顔をした首相の亡骸があった。

首元の脈を測るため、手を近づけるが既に温もりが無くなっていた。

「残念ながら...すでにお亡くなりになられています。」

大正の首相暗殺事件と呼ばれたこの事件は単なる始まりにしか過ぎなかった。

近衛清貴大佐率いる大日本帝国陸軍 第十六師団による国家転覆への一歩にしか過ぎないのだから...

...東京都内...

号外〜!号外だよ!

多くの人が行き交う駅や大通りにて複数の引き札が配られる。

そこに書かれていたのは首相暗殺事件についてだった。

「おい...マジかよ!...」

その場にいた人々は皆驚いていた。

...人通りが少ない裏道...

「恵美須さん!お疲れ様です。」

「あ~ら〜、藤木くんじゃない!お久しぶりね!アナタ一人?」

「はい!」

「ちょうどいいは標的は始末したわ!大佐はなんて言っていたかしら?」

「これより、国会議事堂に向かいそこで

本会議が開かれるタイミングに合流するようとのことです。」

「分かったわ!所でその刀は?」

「これは...」

刀を抜き、恵美須胡桃に渡す。

その刀はわずかに妖力の気配を感じた気がした。

「大佐から支給された量産型妖刀 飛車九ひしゃく!どうですか?かっこいいでしょ!」

「ええ、かっこいいわね!私の貞綱と同じくらいにね。」

「そろそろ行くわよ、国会議事堂に!」

「ちょっと待ってくださいよ!恵美須少尉!」

...東京都 国会議事堂...

国会議事堂前に多くの軍人が集まっている。

その先頭には近衛清貴がいた。

「鴨川中尉はいるか?」

「はい!なんでしょう?近衛大佐。」

「例の物を私の合図と共に議事堂に放り投げろ!」

「了解しました!」

ダイナマイトが扉へと設置される。

近衛清貴の合図と同時に扉が爆破された。

時計の針が午後一時半を指す頃、議事堂内では何時も通りの会議を開いていた。

議論の途中、突如として扉が開く。

そこにはある議員の秘書が立っていた。 

静まり返った議事堂内に小さな声が響いた。

「に・げ・ろ...」

その秘書の腹部を見ると大量の血が流れているのが見えた。

秘書を押しのけて現れたのは顔に傷がある男だった。

「ごきげんよう!お初にお目にかかります!先生方、私は大日本帝国陸軍 第十六師団長の近衛清貴と申します!」

「ただの将校が何の用だね?」

「失礼、私が用があるのは白木しらき 龍太郎りゅうたろう殿です。いや、こっちで呼んだほうがよろしいか?内閣官房長官(副総理)です。」

「私が白木だが?何の用だ?」

「お願いがあって参りました。この国の民の納税を減らしてくれませぬか?」

「フン、誰がそんなことをやるものか...民が納めた米も金もわしら政治家の食事じゃ!わしは...」

ピストルの銃声が鳴り響く。

「どうやら、話は通じそうにならないようだ!」

静まり返った議事堂に鮮血が流れていく。

「殺れ!」

近衛清貴の合図と共に銃声が響き渡ると同時に叫びながら逃げ惑うものが扉へと近づいていく。

近づいていく人々の背中を斬り伏せていく。

扉の周りに多くの死体の山が積み上がっていた。

...国会議事堂 通路内...

「やれ、やれこれで良かったのかしら?」

廊下にも無数の血痕と無数の死体が転がっていた。

「大佐、終わりましたよ!」

「大佐はいい加減辞めてくれよ...恵美須少尉!」

「はーいはーい!わかりましたよ!中将」

...1時間後...

外を完全武装した警察が囲んでいる。

「近衛清貴率いる大日本帝国陸軍 第十六師団に命じる。私は警視総監 小川慎太郎おがわしんたろうだ!諸君らには手配書が出ている。」

「あぁ~、でてきちゃったわね!どうします?中将...?」

「例の妖刀を寄越せ!」

「はっ!ただいま!」

白い布に包まれた木箱にはこう綴られていた。

この妖刀使いしものいずれは身を滅ぼす。

「嚥め(のめ)さかづき

国会議事堂から半径5キロ圏内に固有結界が拡がる。

「なんだ?この異様な空気は...」

外にいる警察は驚きながら正面の扉前で構える。

軍服を着た男たちが一斉に警察へ襲いかかる。

男たちに発砲した銃弾が頭や胸を貫く。

しかし、男たちは何もなかったように立ち上がった。

妖刀 杯の能力

それは、自身の周りにいるものを対象に

操り人形のように操る。

なお、銃弾を受けても関節が折れてもお構いなしに身体がボロボロになるまで操られる。

それが、二代目 炎閣が近衛清貴に渡した妖刀の力である。

「渡辺警部!」

一人の若い警察官がどさくさに紛れて、警部の下へ駆け寄り、銃弾が飛び交う中でつぶやいた。

「ここは一度、立て直してまた再度 逮捕しましょう!」

「いや、駄目だ!この状況でしかチャンスは来ない。」

「ならここは自分が前に...」

言いかけたとき、遠くから狙撃音が鳴り響いた。

「進藤くん、危ない!」

進藤を庇ったタイミングで銃弾が腹部に命中くる。

「警部!」

「進藤くん...いいか...よく聞くんだ!君はこのことを新聞社、また 妖刀を持つものでも良い!彼らを止めることができるものに伝えなさい!」

「でも...」

「でもじゃない!これは私から君への最後の命令だ...!私が出ると同時に君は振り返らずただひたすらこの場所から離れるんだ!分かったか?...」

「はい!わかりました!警部」

穏やかな笑みを浮かべ、警部はこう続けた。

「宜しい!後は頼むぞ!」


銃弾が飛び交うタイミングに若い警察官は結界外へ向かい思い切り走り出した。


「一人たりとも逃がすな。追え!!」

後ろを振り返らず、ただひたすら走り続ける。


結界外まで、もう少しと言うところで最初に比べて走る速度が低下していく。

後ろから数人の足音が聞こえている。

もう駄目だ!諦めそうになったとき声が聞こえた。

「若きものよ!伏せろ」


その声の通り地面へ伏せると先ほどまで無数に追いかけていた足音がしなくなった。


「大丈夫か?」


そこに立っていたのは白い小袖の上に直垂を身に着けた年老いた男だった。

「アナタは一体...」


「わしの名は炎閣!お前さんは?」

「自分は進藤しんどう 宗次郎そうじろう巡査です!」

うんうんと頷きながら

「そうかそうか...まぁ、とりあえず場所を移そう。ここじゃと邪魔が入るかもしれん。」


そう、この年老いた男との出会いが私にとっての始まりだった。

妖刀との...










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