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015  ヨウタの決意

微エロですが、想像力で膨らませていただけると……

「ヨウタ、何を見ているの?」 


 馬車の窓から王都ミルキスの街並みを眺めていたヨウタの背後から、シルヴィアが身体を寄せてきた。しっとりと汗ばんだ滑らかな肌がヨウタの背中に張り付く。馬車の中の居室部分にはシルヴィアとヨウタしかいない。ヒルデは御者の近くの使用人スペースに控えている。二人とも、先ほどまでのシルヴィアの嬌態をさんざん聞かされている。


「シルヴィア様、街を見ておりました。このような人にあふれた場所を見るのは初めてです!」


 あえて無邪気さをまとったヨウタの返答に、シルヴィアはニッコリ微笑んだ。


「これからは、来たいときはわたしに言いなさい。ああ、それとも侯爵にお願いして、しばらく王都に滞在しようかしら……」


 そう耳もとで囁いたシルヴィアは、ヨウタの首筋に顔を埋め、舌を這わせる。彼が軽く上半身に魔力を通すと、くぐもった吐息が聞こえた。


 シルヴィアは国王であるノクスの妹であり、夫のカールは彼女のいいなりである。願えばその通り実現することは間違いない。




 ヨウタがリープフェルト侯爵家に拾われてひと月半が経過している。


 ヒルデが予言したどおり、シルヴィアは魔法の練習をするヨウタを少し頬を赤らめながら見つめ、区切りをつけたところでヒルデに彼を自分の部屋に連れてくるように言いつけると、早足で立ち去った。ヒルデは少し力を入れてヨウタの手を握りながら彼女の部屋に向かう。

 部屋では、肌着になったシルヴィアが待っていた。ヒルデからヨウタを多少強引に受け取り、浴室にいざなう。ヨウタの服を脱がせた彼女は、不意に現れた彼の分身に目を奪われた。


 それから一週間は、シルヴィアの貪欲さとヨウタの男としての生理が彼を翻弄した。そしてヨウタは心身の疲労から三日間寝込むことになる。「ショタコンキラー」スキルの実践がヨウタの心に負担をかけていたことが原因だが、この三日間がその後のすべてを変えた。


 さすがにこの間は、シルヴィアも頻繁に見舞いには訪れても、軽く額や頬に触れるだけで本格的に手を出すことはしなかった。ただ、ヨウタがほぼ回復した三日目に、それまで乱れたシルヴィアをイヤと言うほど見せられてきたヒルデが、彼女の目を盗んで彼に身体を重ねてきた。

 このときヨウタは身を守りたい一心で身体を魔力で強化したが、調整しきれずに余った魔力が分身に集まってしまう。それがヒルデに襲いかかり、ヒルデは獣のような声をあげて失神した。


 ヨウタが魔力の使い方を覚えたこのとき以降、シルヴィアとヨウタの、翻弄する側とされる側という立場が逆転した。さらに、魔力の使い方を工夫しながら彼女や、たまにヒルデの相手をすることで、心身が行為に飲み込まれることがなくなり、ヨウタに余裕が生まれる。


 そして、工夫に効果が伴ってくるにつれ、ヨウタは日課のような気持ちで行為をこなせるようになる。逆にシルヴィアは、刻一刻と変化しながら体内を駆けめぐる魔力の波にもみくちゃにされ、ただひたすらヨウタに溺れていった。そして、計算された素直さで接するヨウタによって、彼女は支配しているつもりで支配される存在となっていく。


 そんなこんなでひと月が経過したころ、ヨウタは寝物語で勇者ハルキの王都出発の話を聞いたのだ。




 かつて自分がメンバーのひとりであった勇者パーティーのいまの姿に興味をひかれたヨウタは、魔力を込めた指をシルヴィアに這わせながら、壮行式に列席する夫妻への同行をねだった。彼女は息を乱しながらヨウタの願いを聞き入れた。


 護衛としてヨウタをエルミアに同行させようとしたシルヴィアに、さすがに当初カールは難色を示した。だが、結局彼は妻に逆らえない。シルヴィアはあえてカールを先に旅立たせ、準備に五日ほど、移動に七日かけてエルミアに移動した。時間をかける理由は、もちろん夫の目を気にしない時間を延ばすためである。


 そして、ヨウタはいま久々の王都エルミアを見ている。あまりにも見慣れた街並みが、逆に現実感を奪っていく。何人か見覚えのある人が通り過ぎるが、彼らにヨウタが声をかけても、見知らぬ子供に戸惑うだけだろう。




 壮行式の当日、豪華に設えられたひな壇の上に勇者とその一行が招きあげられる。ハルキが相変わらずの軽い二枚目ぶりを発揮し、そのあとにセーラと騎士ケイトが続く。ヨウタにとってはなんの驚きもない。だが、そのあとに続いて紹介された魔法使いを見たヨウタはあんぐりと口をあけて硬直する。それは、まぎれもなく召喚された当時の自分、すなわちヨウタ・キサラギの姿に他ならなかった。


「異界の魔法使い、ジョウジ・ヨシノ!」


 このとき、ヨウタは初めてかつてクレアに張り付いていた護衛のジョージが、Georgeではなく日本名の「ジョウジ」だったことに気づく。


(あいつも同郷だったのか……。おれがこの身体に入りこんだことで、行き先を失ったから? おれの身体が存在しつづけているカラクリはわからんが、そう考えるしかないよな)


 おせじにも男前とはいえない如月陽太の身体で生きなければならないかつてのイケメン少年ジョージにわずかに同情したが、その直後、重大な事実に気づく。


(おれはロリコンだからよかったが、はたしてジョウジはハルキのハーレムスキルに耐えられるか? 下手するとパーティーが空中分解しそうだが……要注目だな)


 じつのところ、ヨウタはこれまで、心のどこかでホンモノのジョージがクレアの周囲に現れるのではないかと恐れていた。ジョージがジョウジとしていまの自分と無関係なところに出現したことで、ヨウタの懸念は一気に晴れていく。


(これで、心おきなくクレアの護衛のポジションを狙っていける。シルヴィアとヒルデには、そのために力になってもらわないとな)


 どこか自分自身に現実感がもてていなかったヨウタは、この時初めて新しい自分の人生を切り開く決意を固めたのである。


 

お読みいただいた方へ。心からの感謝を!


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