↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
寿綾乃という女 第3部  作者: トモサン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/122

寿綾乃という女 第3部 1

…因果応報という言葉がある…


 私の場合は、まさにそれ(笑)…


 その言葉通りだった…


 矢代綾子が、寿綾乃を名乗る…


 死んだ従妹になりすます…


 そして、故郷を離れ、ただひとり、東京で、生きた…


 頼れるものは、皆無…


 なにもない…


 両親は、すでになく、兄弟姉妹もいない…


 いるのは、この私だけ…


 私、矢代綾子=寿綾乃だけだ…


 天涯孤独(笑)…


 母は、死ぬ間際、ただ一つのことを、言った…


 「…亡くなった綾乃ちゃんに、なりすましなさい…綾乃ちゃんは、大金持ちの血を引く娘…綾乃ちゃんの父親は…」


 と、何度も繰り返した…


 死ぬ寸前まで、何度となく、繰り返した…


 母は、美人だが、平凡な人生を歩んだ…


 正直、お金とは、無縁とまでは、いかないが、ただただ、平々凡々の人生を歩んだ…


 だから、私が、心配だったに違いない…


 ただ一人、残された私が、心配だったに違いない…


 その当時も、思ったが、今は、それ以上に、より、母の気持ちがわかる…


 要するに、私が、歳を取ったからだ(苦笑)…


 まもなく33歳になろうとしているにも、かかわらず、いまだ、結婚もしていないし、当然、子供もいない…


 いや、


 今の時代、結婚をしていても、すぐに、離婚して、シングルマザーになる女は、数知れず…


 別段、驚く話でも、ない…


 だから、まもなく33歳になる、私が、結婚もしてなく、子供もいないことは、驚く話でも、なんでも、ないかも、しれない…


 とにかく、今の世の中、男女とも、結婚が、遅すぎる…


 それは、間違いなく、社会が不安定だからだろう…


 昔は、男なら、勉強ができ、良い大学に進学し、良い会社に入れば、誰もが、一生、安定した人生を送れると信じていた…


 そして、女もまた、世間に知られた大企業に入り、そこで、結婚相手を探せば、自分の人生も安泰と信じていた…


 もちろん、当時とて、実際は、違うだろう…


 大企業に入っても、その会社に、なじめず、その会社を退職する人間は、どこの大企業でも、少なからず、いたに違いない…


 が、


 それが、世間では、話題にならない…


 あるいは、話題にしない…


 が、


 たぶん、その通りだったのだろう…


 しかし、今の時代は、違う…


 一生懸命、勉強をして、良い会社に入っても、会社が倒産したり、リストラされたりで、誰もが、安定した人生を送れるわけではないと、知った…


 なにより、いくら、頭が良く、勉強ができても、仕事が合うか否か?…


 配属された職場に、自分が馴染めるか否か?


 など、これまで、あまり話題にならかったことが、話題に上るようになった…


 これは、間違いなく、インターネットのおかげだろう…


 ネットの普及で、誰もが、自分の意見を発信できるようになった…


 そのおかげだろう…


 すると、いくら会社が、大きくて、立派な会社でも、入社すれば、自分に合わないことがあると、誰もが、わかるようになった…


 これは、昭和の時代では、ありえなかった…


 ネットが、発達した平成の時代だから、わかるようになった…


 そういうことだろう…


 話が、若干、それた…


 いつものことだ(笑)…


 私が、冒頭で、因果応報といったのは、私が、今、癌(がん)にかかっているから…


 だから、言った…


 私が、従妹の寿綾乃になりすまし、過ごした…


 その報いだったのだろう…


 神様は、見ている…


 神様は、見ていないようで、実は、見ている…


 私の行いを見ている…


 それが、わかった…


 身に染みて、分かった(苦笑)…


 あるいは、ただ、自分が、癌(がん)になっただけなのだが、どうしても、自分を責める…


 なぜ、自分が、癌(がん)になったのか?


 わからないから、自分を責める…


 そして、おそらく、理由など、なにも、ないだろう、と、思う…


 ただ、癌(がん)になった…


 それだけのことだ…


 しかし、どうしても、なぜ、自分が、こんな目に?


 と、誰もが、考える…


 なにか、悪いことをしただろうか?


 自分のこれまでしたことを、考える…


 自問自答する…


 すると、真っ先に思いつくのは、私が、寿綾乃になりすましたこと…


 それが、一番だった…


 そして、二番目は…


 二番目は、ユリコのこと…


 私の実質的なパートナーだった藤原ナオキの先妻である、藤原ユリコのことだった…


 私は、ユリコから、すべてを奪った…


 ユリコの夫であるナオキも、そして、息子である、ジュン君も…


 あのユリコから、すべてを奪った…


 だから、ユリコにしてみれば、私は、不俱戴天の仇…


 憎んでも、憎み足りない相手…


 そして、殺しても、許せない相手に違いない…


 ユリコの立場に立ってみれば、当たり前のことだ…


 が、


 別段、私は、ユリコに同情しなかった…


 当然、私が、悪いのは、わかっている…


 誰の目にも、明らかだ…


 しかし、開き直るのではなく、ユリコにすまないとは、思わなかった…


 それは、単純にユリコが、嫌いだったからだ…


 これに、理由はない…


 生理的に無理なのだ…


 そして、それは、ユリコもまた同じだろう…


 ユリコもまた、私が、嫌い…


 別に、自分の夫や息子が、私に盗られたとう事実を抜きにしても、私を嫌い…


 生理的に受け付けない…


 そういうことだろう…


 私とユリコが、例えば、エレベーターで、二人きりになれば、互いに、息もできない…


 互いに、相手と同じ空気を吸いたくない…


 それほど、互いに、互いを、忌み嫌っている…


 だから、もはや、私が、ユリコから、夫や息子を奪ったことなど、なにも、関係がない…


 嫌いだから、嫌い…


 それが、答えだからだ…


 つい、最近、ネットで、矢田トモコ冒険譚という小説を読んだ…


 そして、あの小説を読んで、思ったのは、おそらく、あの矢田トモコという主人公には、モデルが、存在するのでは?


 と、いうことだった…


 たぶん、作者が、見知った身近な人間をモデルにしたに違いない…


 この世の中に、あれほどの愛されキャラは、存在しないから、きっと、モデルの女性を何十倍にも、増して、作り上げたのだろう…


 そして、私は、病院の待合室で、スマホで、あの小説を読みながら、


 …こんなふうに、生きられたら、どんなに、楽か?…


 あるいは、


 …こんなふうに、生きられたら、どんなに、人生が、楽しいか?…


 と、考えさせられた…


 なぜなら、あの矢田トモコには、敵がいないからだ…


 あの矢田トモコは、誰からも愛され、周囲の人間を、魅了する…


 その結果、周囲の人間は、皆、矢田トモコを助ける…


 実に羨ましい…


 私もあんなふうに、生きたい…


 偽らざる本音だった…


 私は、平凡…


 平凡な人間だ…


 ルックスは、美人といわれ、他人様よりは、よいが、それだけ…


 それだけの人間だ…


 あの矢田トモコのような非凡な人間ではない…


 なぜ、あの矢田トモコを非凡な人間といったのか?


 それは、彼女が敵を作らないからだ…


 普通、生きていれば、誰もが、敵を作るものだ(笑)…


 敵=嫌いな人間を作るものだ…


 もちろん、周囲にあまりにも、敵を作りすぎれば、普通に、考えれば、本人に、なにがしかの問題があると考えるのが、普通だ(笑)…


 が、


 大抵の人間は、学校のクラスや、会社の職場に、一人や二人は、嫌いな人間は、老若男女問わずに、いるものだ…


 むろん、私も、同じ…


 例外ではない…


 思えば、私には、学生時代から、私を憎むものが、複数いた…


 もちろん、私が、なにか、したわけではない…


 私が、他人様より、ルックスが、良く生まれたことが、悔しくて、仕方がないのだ…


 羨ましくて、仕方がないのだ…


 人間は、嫉妬の生き物…

 

 自分より、優れた人間を、嫉妬し、憎む人間が、少なからず、いる…


 要するに、自分より、優れているのが、許せないのだ…


 だから、憎む…


 だから、嫉妬する…


 そして、そんなことを、経験した私から見れば、あの矢田トモコという人物は、実に、不思議…


 摩訶不思議な存在だった…


 同時に、この世の中に、絶対、存在しないとも、言いきれない存在だった…


 この世の中には、敵を作らない人間も、ごくわずかだが、存在する…


 別に、お釈迦様でも、なんでもなく、ただ、性格が、いいのだ…


 そして、その性格は、生まれつきのもの…


 ルックスと、同じく、生まれつきのものだ…


 そして、なぜ、私が、ここまで、矢田トモコを例に出して、敵を作らないことの重要性を説くか?


 それは、今も、言ったように、私が、敵を作る人間だからだ(笑)…


 そして、私の目下の敵が、ユリコ…


 私のパートナーである、藤原ナオキの元の妻である、藤原ユリコだった…


 私にとって、あのユリコは、難敵…


 実に、厄介な相手だった…


 正直、二度とお目にかかりたくない相手だった…


 が、


 それは、ユリコも同じだったに違いない…


 私とユリコの関係といえば、寺沢武一のマンガの中の主人公のコブラと、コブラの宿敵のクリスタルボーイのようなもの…


 会えば、互いに忌み嫌う仲…


 それは、互いに、嫌というほど、分かっている…


 そして、私が、今、なぜ、彼女のことを、言うのか?


 それは、またも、彼女と私が、関係することが、わかったからだ…


 あのユリコと関わることが、わかったからだ…


 だから、ユリコのことに、言及したのだ…


 ユリコは、平凡…


 ルックスは、実に平凡な女だった…


 十把ひとからげと言ってしまえば、それまでだが、どこにでもいる、平凡なルックスの女…


 歳は、四十代前半…


 まだ、大学生のジュン君の母親…


 そして、実は、彼女は、ビジネスでは、したたかなやり手だ…


投資ファンドの代表でもある…


 要するに、ルックスが、イマイチだが、頭が、いいというやつだ…


 そして、その頭の良さを生かして、社会で、成功している…


 そういう女だ…


 同時に、彼女を解くカギがある…


 それは、稀に見る、イケメン好き(笑)…


 彼女の元の夫である、藤原ナオキも、イケメンだった…


 だから、ナオキに惚れた…


 そして、ジュン君を身ごもった…


 と、信じていたが、さにあらず…


 ジュン君は、ナオキの子供では、なかった(笑)…


 ナオキと、同時期に、ユリコが、付き合ったナオキとは、別の男の子供だった…


 そして、その男に捨てられた…


 だから、ナオキの子供だと、言い張った…


 当たり前のことだ(笑)…


 二股をかけていて、一方の男に振られた…


 が、


 すでに、妊娠している…


 だから、振られていない、もう一人の男の子供だと、言い張った…


 そういうことだ…


 ズルいし、人間性を疑うが、この世の中には、そういう事例は、枚挙にいとまがない…


 って、いうか、ありふれている(笑)…


 私は、たまたま、ユリコのことを、知って、ここで、言及したが、世の中には、いくらでも、あることだろう…


 いや、


 いくらでもは、ないか(笑)…


 が、


 皆無では、ない…


 そういうことだ…


 そして、ユリコが、ナオキとは、別人の男の子供を身ごもったにも、かかわらず、ナオキの子供と、言い張ったのは、その男が、ナオキと、ルックスが、似ていたから…


 だから、ジュン君の本当の父親が、ナオキと違っても、バレないと、ユリコは、思ったと、かつて、私に語った…


 私が、


「…ジュン君の父親は、誰ですか?…」


と、いきなり、言ったから、ユリコは、面食らったが、私が、


「…DNA鑑定しましょう…」


と、提案すると、あっさりと、白旗を挙げた…


言い訳することが、できなくなったからだ…


が、


私と、そんなやりとりをするぐらいだから、余計に、ユリコは、私を憎んだ…


殺しても、殺したりなりないくらい、憎んだ…


が、


そのユリコは、先日までは、私に優しかった…


原因は、ジュン君だった…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。