厨二病、VRMMOを発見する
制服を着て左手で左目を抑えた少女が、夕陽に照らされた寂れた公園にただ一人立っていた。彼女の名は、日向 渚。今年で中学2年生になる。華の女子中学生である。ただし...
「影よ、我の眷属となり形を為せ!サモン シャドーウルフ!」
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沈黙が公園に流れる。そう、彼女は中二病である。
それもかなり重症の、通行人がいれば通報されるレベルの
「くっ、なぜ、闇の一族の血統クリス・フィア・レオニアの声に応えぬのだ!」と一人で嘆く渚。
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ぐぅ~ 空腹を伝える腹の音が響く
「我の晩餐の時間か。」とポケットから安物の懐中時計を取り出す。17:40を指している
「さて、我が根城に帰るとしよう。」そうつぶやくと中学校のカバンを背負いスマホを弄りながら帰路を辿る。
ふと、SNSを流し目で見ているとあるゲームの予告が目に付く、〚EmpiresStory〛西洋甲冑を纏った騎士と炎を飛ばした魔法使いがデカいトロールと戦っているPVが流れていた。
「魔法!これだ!」ピピッと厨二センサーが反応し声を出す渚、「いつリリースなんだ!?」と予告を見ると1週間後の9/14であった。なんと偶然か誕生日の次の日であった。
「我の誕生日の次の日ではないか!必ず母上に買ってもらわねば!」早足で家に帰る渚であった。
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ガチャッと勢いよくドアを開ける。
「ただいま~!」元気よく帰宅の挨拶をする渚
3秒ほど間が空いてから「おかえりー」と帰ってくる。
手を洗い制服から部屋着へと着替える。
「ご飯できてるよー」とリビングから声をかける母
「はーい」と返事をする。
(前我の喋り方したら怒られたから普通に話さないと...)
そう自制しながらリビングの椅子に座る渚。
テーブルの上には、白米と味噌汁、焼き魚が並んでいた。
「いただきます!」と手を合わせながら元気よく食材への感謝をする。白米を口に含み、焼き魚をあとから合流させる。
そして、味噌汁で流し込む。(美味い)
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その後、食事も終わりに差し掛かった時
「誕生日プレゼントなにがいい?」と質問をする母
渚は待ってましたと言わんばかりの目を煌めかせ言った。
「Empires Storyっていうゲームが欲しい!」