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自称「管理人」(後編)

 桐生たちはどれも勿怪な顔をする。トンボ型の飛行物体の目の辺りをジッと見つめて、


「カメラがついているのかな? ということは俺たちのこと、いまもよく見えているわけだな。ついでに声も拾っているようなら答えるけど、どこから来たかって? それはそっちが作った『穴』からだよ。空の上の」


 桐生が指さした上空に、すでに「穴」はない。


「そういうことを聞いているんじゃない。どこの星の生まれで、その能力はどこで身につけたか、本当に同じ人間なのか、そういうことを聞いているんです!」


「どこの星って言われても、同じ地球だけどね。国も言ってしまうと、日本だ。日本生まれの日本男児。そっちも日本語を喋っているみたいだから、同じ日本人ということかな。ちなみに姿を見てわかるように人間だよ。能力については、一パーセントの才能と九十九パーセントの努力だね」


 はぐらかした言い方をすると、


「何か、ムカつく人だ」と癇癪を買う。


「そう? ちゃんと答えているつもりだけどね。逆にこっちが聞きたいんだけど、そっちは何者なんだ? 名前と性別と生年月日と住所と電話番号まで教えてくれると嬉しいんだけど」


 すると相手側は鼻で笑う。


「そんなことを答えるわけがないでしょう。声を変えているのにこちらの素性をべらべらと喋る馬鹿はいませんよ」


「そりゃそうだ。それなら俺たちはそっちのことを何と呼べばいい? ペンネームみたいなものはないの?」


「ペンネーム? フンッ、いまどきはハンドルネームでしょ。でも残念ながら、それも答えられませんね。あえていうならこの世界の管理人ですね」


「ちなみに、性別は?」


 桐生は間髪入れずに聞く。自称「管理人」は少し黙って、


「おっと、そうやって少しずつこちらの情報を引き出そうという魂胆ですか。危ない、危ない。悪いですが、答えられませんね」


「それならオカマちゃんでいいか。それでオカマちゃん、君はいまどこにいるんだ? この世界の中か? それとも外か?」


 相手は、また少し間を作る。


「本当に人を苛立たせるのが得意な人ですね。私は管理人です。中でも外でも自由自在に出入りできます。中からもあなた方を観察できますし、外からでもできます。しかし、あなた方はここから出られない。塔の出口を使うしか方法がない!」


「モンスターは、どうやって制御している? まさか自分でコントロールとか? それともすでに動きがプログラミングされているとか?」


 相手が苛々し始めようが、桐生は自分のペースで話す。相手の感情を逆撫ですることも、無論、承知の上である。


「そんなことをいちいち答える必要もありませんね。あなた方の勝手な想像にお任せしますよ」


「それじゃ勝手に想像するけど、オカマちゃん、この世界が作られた世界だというなら、お前が一人で作ったのか? 俺が思うにそれは違うと思うんだが?」


 今度は二息ほどの間があって、


「いいえ、私一人で作ったものです」と答えた。


「いや、嘘だね。お前は能力者のことも知らなかった。きっと『あちら側』というものも知るまい。だから俺たちがどういう人間なのかもわかっていない。どういう仕組みでこの世界が作られているのかまだわからないが、一人でできる代物じゃない。仮に一人でできる天才だとしたら、能力者のことを知らないわけもない。絶対に協力者がいるはずだ。それは誰だ?」


 のらりくらりと話しているようで桐生の目はずっと鋭い。



続きます

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