第13話
<side恭夜>
シルフィード達三人によるガイル殺人未遂の後、昼休みになり今はニアを含めた六人で食堂に向かっている。
「てゆーかさ、何でオッサンは教師クビにならないんだ?」
この学園に来てもうすぐ一ヶ月になるのだが、今だにオッサンの午前中の授業は自習しかした事が無い。ひどい時には午後も自習の場合もある。
「この学園も教員が足りないんだ。生徒がとてつもなく多いからな、教員はどんなに居ても多過ぎる事にはならないからな。どんなに使えない人材でも実力があれば雇ってるんだ」
つまり、人員さえ居ればとっくにクビにしているって事か。
『ジャンケンポン・・・・・・』
俺は注文したカレーライスを持って席に着き、アレンは俺の正面の席に着く。その後ろでは、毎度の事ながら四人でジャンケンをしている。
「そういえば、あいつ大丈夫だったかな?」
「あいつ?」
「ガイルだよ、ガイル」
「ああ、大丈夫なんじゃない。彼、頭はすっからかんだけど体は人一番丈夫だからね」
「ふ〜〜〜ん」
俺はそう答えてカレーライスを頬張る。
「勝ちました!勝ちましたよ兄様」
「くっ!まだだ、まだ片方空いている」
『ジャンケンポン・・・・・・・・』
・・・・・まだジャンケンしてたのか四人共
結局俺の左にニア、右にツバキ、アレンの左にシルフィード、右にティアが座る事なった。
「くそっ!次こそは必ず」
「私も次こそは恭夜さんの隣に」
「次も勝のは私よ」
「いくら姉様でもこればっかりは負けられません」
「おっ!シルフィード達も居たのか?」
ある程度食事を進めていると聞き覚えのある声がして振り返ると、先程までの足跡も消えケロッとしているガイルがいた。
「・・・・また殺されに来たのか?」
シルフィードはガイルを睨み付ける。いや、シルフィードだけじゃない、ティアとツバキもだった。
お〜い、三人共背中から黒いオーラが出てますよ
ガタガタガタガタ
あまりの恐怖でニアが俺にへばり付きながら震えている。
「いや、マジでもうしませんから許して下さい」
ガイルも今度こそ自分の生命の危機を感じたのか、残像が残る程の速さで土下座し額を地面に擦りつける。
「・・・三人共、もう許してやってもいいんじゃないか?」
「けど
「こいつも相当反省してるだろうし、もう覗きなんかしないだろうさ」・・・・今回だけだからな」
「二人もいいな?」
「わかったわよ」
「恭夜さんが言うならしょうがないですね」
シルフィードに続いて二人も折れる。
「ほら、ニアも、もう大丈夫だから離れてくれ」
そう言って腰の辺りにへばり付いていたニアを離す。
「いや〜〜〜、助かったぜ。え〜と
「恭夜でいい」恭夜」
そう言って適当に空いてる席に座る。
「なんか、キャラ変わってないか?」
さっき見た時は何て言うか少しキザッたらしかったけど今はお調子者っぽいぞ。
「何て言うか・・・・・ノリで?」
いや、俺に聞くなよ
「そういや、教室でも助けてもらったけど、・・・転校生か?」
「ああ」
「やっぱそうか。どうりで見ない顔の筈だぜ。俺はガイルだ。クラスは戦士で属性は地だ。ちなみに二つ名はドラゴンランサーだ」
「俺のクラスはパラディンだ。属性は風・火・水・雷だ」
「ああ、お前が漆黒の騎士だったんだな」
それを聞いて俺の口元はたぶん引き攣ってるだろう。いや、絶対に引き攣ってる。
「学園中の女子が噂してたぜ」
ズゥゥゥーーーーーーン
俺はそれを聞いてその場に崩れ落ちる。
「あっ、おい、どうしたんだよ」
「ガイル貴様、許さん」
「フフフ、ガイルさん。死より苦しい絶望を味あわせてあげますよ」
「えっ!俺が悪いのかよ!?」
「恭夜、大丈夫?」
「恭夜兄様、元気出して下さい」
「・・・・・・・・ありがとう二人共」
「ククク、アハハハハハハハ」
俺が崩れ落ちると同時にシルフィードとティアはガイルに武器を向け、ガイルは両手を上げて降参のポーズを取ってる。ツバキとニアは俺の肩を手を置いて心配してくれ、アレンは腹抱えて笑っている。
「た、助けてくれ、恭夜」
「・・・・・・二人共止めてやれ」
「むぅ、わかった」
「わかりました」
そう言うと二人共素直に退いてくれる。
「ふぅ〜、助かったぜ。でも一体どうしたんだよ恭夜?」
「恭夜はその二つ名が嫌いなんだよね?」
「・・・・・ああ」
「何でだ?カッコイイじゃねぇか、漆黒の騎士」
「・・・俺はそんな大層な人間じゃない」
「そんな気にすんなよ。二つ名なんてほとんど使われないんだし」
「そうだ、そうだぞ恭夜。ガイル、お前今初めていい事言った」
そうやって皆で俺を元気づけてくれる。
そうだよな、いつまでもこんな事でクヨクヨしてられないな。
「もう大丈夫だ。ありがとな皆」
「気にすんな、俺達もう親友だろ」
「あんたが言うな」
「ヘブッ!」
ぐっと親指を立てて言うガイルにツバキが綺麗に右ストレートを決める。




