第11章 救援
今回、ちょっと意識し過ぎたので語彙おかしいかも知れません。ご了承ください……。
何にもない、真っ白な空間。
視覚に強烈に訴えかけてくる『白』と、床に触れた脚が感じる、少しヒンヤリした温度。
それら以外は、声も、音も、匂いも、
何一つ存在しない、“無”の空間。
徐にろ立って歩き彷徨ってみても、ただただそれのみが続くだけ。
──そんな場所に行くんだと思っていた。
だって私、
一度死んだから。
いや、この言い方は語弊を生んでしまう。
正しくは、
私はつい先ほど、一度、死を実感した。
“暗殺ヘリ”の機関銃砲は、確かに連射していた。
その音は聞こえたから。
しかしその弾は、1発として私に当たることはなかった。
しかしそんなの、有り得るはずがない。奇跡でもおかしい。おかしすぎる。
何故って、5000発の弾が、奇跡で一弾も当たらないなんて、そんなの宝くじで一等当てるより難しい。
ましてその弾を放ったヘリの操舵手はさっき、私がその弾を回避することを見越してその後ろにある化学薬品を撃ってきたような奴だぞ。
あまりに条件が厳しすぎる。
奇跡とかいうレベルで済まない。
なら……一体何故……!?
「ゼェ……ゼェ…………!」
「ハッ……!?」
荒い……息……!?
炎の向こうから……!?
誰が……誰の息……!?
「……ゼェ……ゼェ……!」
……この声って……!?
まさか…………!!
必死の思いで炎を突っ切り、その正体を知った。私は、驚きと衝撃で、失神しそうになった。
其処に転がって居たのは、
恐らく私を完全に始末するために、一点集中して放たれたと思われる弾丸を、
その背中に全て浴びて、
皮膚はほぼ無く、筋肉も抉り取られ、ポッカリ空いた穴に“堅構骨”を剥き出しにし、まるで乱雑に食べられた後の魚のような状態で、うつ伏せに倒れる、
遊賀 高貴、
彼の、ボロボロな身体だった。
言葉を失った。と言うか、この様を見て絶句しない人間などいないだろう。
しかしその原因は、見るに耐えない、その残酷な光景だろう。
私の場合は違う。
私は、彼の意思に衝撃を受けたのだ。
彼は、何ゆえかは解らないが、その意思で、
同じ目的を持つ仲間の攻撃を、敵に当てまいと、その一身に全て受けたのだ。
これは裏切りの行為であることは言うまでもない。
裏切り。しようと思っても、そう容易に出来るものではない。
ましてあの鬼隊長を裏切るのだ。後で何が返ってくるかは想像に難くない。
いや、そんなことを考えるまでもないか。
あれだけの攻撃を受けたのだから。
むしろ今こうしてここに横たわり、微かにでも息があることが不思議な程だ。
それらの不可解なこと全ての答えを知るために、私は彼に駆け寄った。
「…………どう……して……!?」
私は訊いた。
すると彼は小刻みに震えながら私を見上げ、
「ああ……よかった、生きてたか……」
と、安堵の笑みを見せると、残った僅かな元気を振り絞って話した。
「……人間の心臓は……何処にあるか……知ってるか……?」
何も考えていられず、とにかく彼の質問に応えようと、私は胸の中心よりやや左にズレた位置に、拳をトンとおいた。
「そうだ…………ゼェ……常識だわな」
「そんなに喋らなくても……!」
「良いんだ……ゼェ……喋らせてくれ」
私は、この男が直前まで敵だったことをすっかり頭から飛ばしていた。
と言うよりきっと彼は最初から、
私たちの仲間だったんだ──。
「……オレたち“人造人間の其処にも……同じように心臓がある。
“動力源”…………。 ……蓄電された電気を……放出し、身体中に……流す役割を持ってる……ゼェ……!
其処を潰られねぇ限り…………オレたちは瞬殺はされねぇ……。出来ねぇ仕組みに……なっているんだ………」
──きっと彼はあの男に命じられ、その通りに演じていただけ。
そうして奪われていた“意思”を、こうして最期に取り返したんだ──。
「……ハハハ……!可笑しな話だ……!人間ならこんな傷……即死レベルだ……。けどよ……“人造人間”は、あれしきの弾丸じゃ……蜂の巣にもなれやしねぇ……。
皮膚……まさに化けの皮が剥がれ……機械の部分が現れるだけよ……。
なのに……なのにだぜ……!?
痛いんだ…………!!物凄く……!!
死んじまいてえ……早くこの痛みから逃れてぇ……そんなことしか考えられなく……なるくらいな……」
そう言う彼の眼には、涙が浮かんでいた。
その涙が、一体どれだけの苦難と哀しみと怒りを孕んでいるのか。
それは私に計り知ることが出来るものでは無いことを、私は知っていた。
「……お前に……“賭け”てみたかったんだよ……。
……お前がさっき……必死に叫んでいた時、……勿論オレも居た…………あの場にな。
お前の言うことを聞いていて……オレは感じたんだ……」
彼はその右腕を重たそうに上げ、ギリギリ届いた私の右足の爪先に手を置いて言った。
「お前が……この“人造人間の苦しみを……晴らすんだ……!」
「えっ……!?」
「……何を驚いてやがる……。お前ならきっと…………この人間至上主義世界を……変えられる……!
勝ち切れとは言わない……そんなことは望んでない……。けど……どうか……!
“人造人間”が、人間として生きられる社会を、創ってくれ!」
彼は吠えた。傷に響くに違いない。けど吠えた。そんな傷など気にせずに。だって、
彼が心に抱いた傷は、比にならぬ程、大きかったのだから。
「……オレも昔は……お前みたいに……反抗してた……!けど……警察には……逆らえなかった……!あまりにも……未熟だったから!」
彼の眼から、滝のように溢れてくる涙。
「……だがお前は……いい人間に逢えた。……あの人の話を聞いた時……オレはその人に逢えていたらと……素直に思ったよ。
……オレはお前のことが羨ましい……!
……彼に逢えたことを……無駄にするな……!」
彼の遺言は、痛いほど私の心に突き刺さった。
私は大きく、頷いた。
「……少々……お喋りが過ぎた……。もう……予備エネルギーも切れる……。……最期、ってやつだな」
へへ、と彼はまた微笑んだ。
「……酷いことしながら……最期に説教……こんなヤツを……看取ってくれて…………………あり……がとよ……………」
彼が死んだ直後、まるでその死を体現するかのように、弾丸に焼かれ止まったままだった血液が彼の背中から溢れ出た。
それはまた、彼の無念を集約しているようでもあった。
敵ながら天晴。
いつしか聞いたそんな言葉は今の彼の為にあった──。
──ジャキン──!
その感動にピリオドを打つように鳴ったのはまたもや、あの装填音──“暗殺ヘリだった。
今度はそれを視界に捉えることができた。
そして今までとは違う何かに気付いた。
空中に舞う機体の扉が開き、1人の男が、何か大きな物を持って出て来たのだ。
私はそれが何か、すぐに悟った。
簡易遠狙撃電磁銃。
“簡易”とは名ばかりで、標準の狙撃電磁銃に比べてほんの少し、狙撃手の身体に及ぼす影響が和らぐだけ。
威力も標準のそれと遜色無い。当たった相手は、良くて心臓を撃ち抜かれるだけで済むくらいだ。
短髪の彼はそれをこちらに向け、私に照準を合わせる。
と同時に、機関銃砲も、発射準備を開始する。
ここで私に残された選択肢は2つ。
その1、電磁銃の攻撃を避け、機関銃砲の攻撃を受ける。
その2、機関銃砲を避ける代わりに、電磁銃の一撃を受ける。
どちらの選択肢でも、疲弊した私に残された道は、
『死』のみ。
諦めざるを得ない──。
──それではいけない──。
頭の中で誰かが私を引き止めた。
──そんな諦め方じゃあ、高貴の勇気ある死に対して示しがつかないではないか──。
それもまた私であった。
──あなたには、もう一つ選択肢がある──。
その私はそう言って私の身体を動かす。
──その3……ヘリを撃ち墜とす──!
そして握っていたのは、
高貴の腰に刺さっていた、
一丁の拳銃だった。
「…………ちょっと借りる……いや……借りますね」
わざわざ言い直したのは、彼への敬意の表れ。
死人に口は無いが、私の耳には、
──良いぜ──。
そんな高貴の言葉が届いたような気がした。
今まで拳銃を握ったことは一度も無い。あってモデルガンだ。
それに、拳銃を人に──今はヘリにだけれど──向けることなんて夢にも見たことがなかった。
けどここでもまた、父さんとのある会話が役に立った。
「──良いか?最近の拳銃には、この撃鉄って部分を引かなくても、銃口の上に付いてるスコープに狙いを合わせるだけで、発射準備が完了する仕組みになっているものもあるんだ。
だからもしもの時は焦るな、しっかり集中して、的確に1発入れることだけ考えろ」
「考えろ、って……そんな場面いつ起きるのよ。いま白鷺さんに出された課題やってるトコなんだから邪魔しないで」
「まあまあ、そんなこと言わずに聞いてくれよ。いつ起きるかなんて予測つかねぇんだからよ。……狙いを定める時はだな……」
「もう!向こう行っててってばっ!──」
あの日は確か、白鷺さんの家に居た。定期的に、彼の家に帰ることにしていた。
趣味で集めたモデルガンを自慢げに構え、あれこれと説く父さんをバカバカしいと思いながらも、ふむふむと耳を傾ける私が居た。
その経験が今、活きている──。
両手で構え、スコープにヘリの機体を入れる。
ここで忘れてはいけないのは、相手は自分よりも上にいるという事。
だからスコープは、敢えてヘリの中心からややズレた場所に当てる……。
父さんが言っていたことを忠実に守る。
彼との日々は、決して無駄なんかじゃなかったと証明するように──。
電磁銃の赤いレーザーポインターと、機関銃砲の的が、私に当てられた。
そして。
それら2つが一斉に射撃を開始するコンマ3秒ほど前。
集中力が研ぎ澄まされ、もう世界が止まって見えた私は、それすらも悟った。
だから私は、
引鉄を引いた──。
ほぼ同時。
まず機関銃砲が、連射を開始する。
その弾丸の嵐を、私の放った弾はかいくぐっていく。
当然、最新鋭の技術を搭載した機関銃砲の弾丸の方が、到達速度は速い。
しかし私は、あの弾の行方を目で追っていたことにより、数十発の躱せる弾丸を喰らってしまった。
だが全弾食らうのとは違う。
数発くらい、甘んじて受け入れてやる──!
私は、もうそろそろ予備に切り替わりそうなくらいしか無い動力を使い果たす勢いで、残りの弾丸を全て回避し続けた。
それでもなお、私は弾を目で追いかけ続けた。
そしてその時は、遂に訪れた。
弾は、ヘリの機体の下部、ちょうど動力源庫のある辺りを貫いた。
あのヘリのパイロットごと撃ち抜く──。
その目的こそ叶わなかったものの、
ヘリはバランスを崩し、
機関銃砲、及び電磁銃の攻撃は、見事に私の居た場所から逸れてしまった。
さらに嬉しい誤算が生じた。
機体が、爆発したのだ。
一瞬で木っ端微塵になってしまうような大爆発では無かったが、相手の計画を狂わせるには十分過ぎる程の決して小さくない爆発だった。
そして気づけば、機体はクルクルと旋回しながら、海に叩きつけられ、
ッバァァァァン!!!!
と今度こそ大爆発を起こし、破裂し、跡形も無くなった──。
──そして正に個人的制裁を加えた後、現在に至る。
血も、涙も、感情も、感覚も。
今の私からは、全ての【大事なもの】が失われている。
かと言って、自分から拾おうともしていなかった。
どうせならこのまま、立ち尽くしていたい。
せめて、この炎が止むまで──。
「…………あっ!!」
【大事なもの】の内の1つ、“記憶”が、私のもとに帰ってきた。
そして思い出させてくれた。
父さんの存在を。
もしかすると、もしかするかも知れない。
仮にもしかしなくても、せめて何か彼を示してくれるものを──。
私は慌てて、彼の身体を捜した。
誰も彼の身体に触れていなければ、彼は今──!
「……!!……居た!」
私が怒り狂った場所──ちょうど倉庫奥の中心辺りで、彼の身体は、雑に荷物にもたれかかったまま動いていなかった。
見た所、まだ彼の身体は綺麗だ。彼自身の血と、炎による煤に汚れているだけで、あとは大した変化は見受けられない。
これならまだ……!
そんな淡い希望を抱きつつ、私は彼の身体に駆け寄った。
すぐに止血して治療すれば、何とか生き返れるかも知れない。
それくらい彼の身体は、死後とは思えないような整い方をしていた。
そして彼の脈をとろうと、彼の手首に触れた時だった。
彼の皮膚が、ボロボロと剥がれ出したのだ。
細かく砕けた皮膚はその瞬間、倉庫内に吹いた風に舞った。
そのさまは皮肉にも美しく、さながら桜吹雪の舞のようだった。
この症状って──。
私には心当たりがあった。
つい最近、白鷺さんに教えて貰ったある薬品の名前が、私の脳裏をよぎった。
“散消薬”。
その薬品の名だ。
皮膚、血管などに投与することで、その後数分で、身体中の細胞が原子レベルで蝕まれ、崩壊寸前になる。
あとは少しの力を加えるだけで、皮膚が剥がれ、血管は刻まれ散り、やがてその人間の全てが無くなる。
スパイや暗殺者の為に開発された薬で、誰かを殺したり、あるいは所持者自身が追い詰められた時に、証拠を残さずに自殺する為に用いられる。
けど一体誰が……!?まさか父さん自身が……いやいや、そんなはずは無い。第一そんなことをしなきゃいけないほど、隠していることもなかったはずだ。
そう考えながら、辺りの様子を探る。
すると見つかった。
恐らくその“散消薬”を投与したモノと思われる注射器が、1人の警官の死体の手元にあったのだ。
きっとこれもまた、正の仕業だろう。
この男はたぶん父さんに対して、我々の想像を遥かに凌駕するくらいの復讐心を持っていたに違いない。
完全自己至上主義の精神が生んだ、実に身勝手な復讐心を。
その復讐心はそのまま部下をも巻き込んで、このような結果を遺した。
私を捕らえ連行するという目的は、恐らくただの大義名分。
最初からこの男の脳の中には、こうなる画しか、描かれていなかったのだろう。
父さんの死体を持ち帰り、あわよくば蘇生する。
その微かな期待は水泡に帰した。
誰からともなく突きつけられたその事実に、私はもう、涙すら流せなかった。
父さんの身体は、私の触れた手首から連鎖崩壊を始め、僅か1分程で跡形も無く消え去った。
せめて彼を、土に還して、安らかに眠らせてあげたかった。
こんなやるせない、歯がゆい、悔いしか残らないお別れなんて……!
そう思っていた時だった。
視界の端で、何かが輝いた。
「……アレ……って…………?」
私たちを包み込み燃える炎に照らされ、紅く光るそれに向かって、私は手を伸ばした。
拾ってみるとそれは、
白鷺さんと父さん、そして私の笑顔が映る写真の入った、掌に入り切るくらいの大きさの、
ペンダントだった。
父さんへのプレゼント、と私が恥じらいながらあげた、写真立て入りのペンダント。
彼はその時、大して喜んだようには見えなかったけど、それでも、
物持ちの悪い父さんが、
今まで大事に持っていてくれた……。
それを知り、掌にペンダントを乗せたままじっと見つめていると、
その掌を、
父さんの『身体』が覆った。
粉々になり宙を舞う、
彼の、
皮膚が、
骨が、
筋肉が、
内臓が、
心臓が…………。
父さんからの様々なメッセージを受け取った気がした。
彼はきっとこれからも、
父のように私を見守り、
母のように私を包み続けてくれている──。
私は泣いた。やはり涙は嗚咽と共に溢れてきた。
泣いて、泣いて、
泣いて泣いて、泣いて泣いて泣いて、
泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて、
泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて…………。
────────────────────。
数分後。
私は倉庫を出た。
ひとしきり泣いて、彼の身体が天へと昇っていくのを見守ってから、もう葬式を済ませたような気持ちで外に出た。
もう少し居たい所だったけど、次なる追っ手が来るかもしれない。
そうなったら、いよいよ今度こそ逃げきれなくなる。
と、その嫌な予感は既に現実になりつつあった。
パトカーのサイレン。
遠くで聞こえる。
早く逃げなきゃ。
すぐそばにあった高貴──さんの死体を、丁寧に倉庫の壁に寄せ掛けた後、
私はその一歩目を踏み出した。
その時だった。
視界が、
グラリ
と揺らいだ。
否、正しくは、
乱れた。
視界に映ったその映像を私は見たことがあった。
テレビ。
また、テレビだ。
白鷺さんの家、そしてトラックに備え付けてあった小型テレビは、何せ電波の拾いが悪かった。
有料サービスにさえ加入していれば、今や全世界の何処に居たって日本のテレビの電波が拾える時代なのに、
ちょっとトンネルに入ったり、ちょっとアンテナがズレたりしただけで、
すぐに音が飛んだり、画像が乱れたりする。
今はその後者が起こっている。
すると直後。今度は視界の中心に、
『WARNING!!WARNING!!WARNING!!』
と警告を表す文字が流れ出し、更には、
『ACTIVATE SUB ENERGY(予備エネルギーを起動)』
とその視界を支配するくらいの大きさの表記が。
ああ、これか──。
これが、私の最期、か──。
多分、今この場からは逃げ切れても、
白鷺さんの家まで何キロもある道中で倒れちゃうんだろうなぁ……。
いや、車を起動すれば良い。
白鷺さんに頼めば、あとは彼が…………。
ううん、ダメだ。
もう駐車場を探す気力も、ましてそこから良い車を捜して判断して、ボンネットを開ける気力なんてもう無い……。
…………ゴメンね、父さん、高貴さん。
私……頑張るけど……
もう…………ダメかもしれない……。
弱気になりながら、誰かに引っ張られるように、一歩一歩、前へ行く。
それに合わぬスピードで、サイレン音は近づいて来る。
いっそこのまま……捕まってやろうかなぁ……。
本末転倒な、そんな作戦が頭をよぎったと同時、
一台の一般乗用車が、
私の前で急停止した。
見たこともないその車を目にして、
無警戒だった心が、警戒心によって引き締まった。
まず運転手を確認する。
が、夜の暗闇と、見えないように黒く加工されたドアウインドウがそれを妨げた。
だが、そのドアウインドウが開き、運転手が自ら顔を覗かせた。
その顔を見て私は条件反射的に、戦闘態勢に入った。
「大丈夫、攻撃しない」
運転手は言った。
けど信じられるはずがない。
だってそいつは、
あの狙撃手だったのだから──。




