第56・57・58・59弾
題名「無題2」
愛を思えば悲しく
己れ思えば辛く
いづれの答えを行おうか
去り行けば苦しく
立ち止まれば虚しく
明るきものはなし
立ち直る人に憎しみの祝福を
幸せで在り続ける人に嫉妬の歌を
心は満たされず
会うことあれば嘆き
話せば腹立たしく
現実が変わらない
心が渇き
心が嘆き
心が求め
心が叫ぶ
愛はどこ
と
題名「レリの山歌」
壁鏡が開いてレリを呼び出した人が現れた。彼は、数段の段差の上の椅子に腰掛けた。
夢 夢 幻でも
想わねば 見えず
一時の 分身に
語らずに いられぬ
答え歌が朗々と響く。‘力’のある歌ではないが、強く心を揺さぶる。
嘘 嘘 魂さえ
想わずに いられぬ
一時の そら似に
語らずに いられぬ
レリの表情に変化はない。しかしどこか歌の前後では違っている。
「うまくなっただろう?どうだ。」
「はい。前に聴かせて、いただいた時より、心、動かされました。」
「そう見えぬが、‘歌い手’にほめられて悪い気はせん。」
そう言って笑う。彼は、目でレリに尋ねる。
金は 眠らじ
銀も 眠らじ
鉄は 飛びおきただけ
石も 飛びおきただけ
山は 若く
山は 動かず
山は 眠った
彼は静かに首をふり、レリはこうべを垂れて、彼に答えた。
題名「ジオラマ-踏切」
遮断機が降りていて、100m先に電車が近づいている。その踏切に親子が笑いあっていて、もう一人女性が遮断機が上がるのをじれったそうに待っている。反対側には、自転車の後ろかごに野菜を乗せた老人がいて、その隣に、茶色のリュックを背負う男性が立っている。
親子と女性側の道の遠くから5・6人の男子達が走ってくる。遮断機が上がるころにちょうど着くだろうか。
題名「頼れない人間-理由例」
怖いのです
裏切りではないかと
怖いのです
うまく話せないから
怖いのです
わがままじゃないかと
怖いのです
自分自身ではなくなるのが
怖いのです
他人の親切が
怖いのです
一人ぼっちになるのが
怖いのです
誰かと一緒にいることが
怖いのです
頼る代償が
怖いのです
信じられないから
怖いのです
誰にも心を渡せないから
これが私の生きてる理由




