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第4弾

題名「破壊の始まり」


流れた血に感情はない。そして、血を流した者も、その傷をつけた者も、感情は見えなかった。

時折、聞こえてくる鐘が、この状況の異常さを明確にする。風が吹いているのに、葉ずれの音がない。いや、呼吸の音さえこの場所にはないのだ。

 森の中を通る一本の街道は、もう使われることがないのだろう。草が伸び、煉瓦が砕けている。いや、煉瓦が砕けているのは、争いの結果だ。あちらこちらに落ちている錆び付いていない鉄片が、それを物語っている。

しかし、本当にこの風景は存在しているのだろうか。音が一切ないし、現実離れし過ぎているのだ。 たが、草木は動いている。


草が赤く染まっていた。それだけでなく、壁も赤い。筆が無造作に捨ててある。誰かがペンキ塗りを途中で止めたらしい。

壁はあまり高くない。ツタが壁を壊したのだろうか。ところどころ壁が崩れて、向こう側の水面が見える。

風が吹いた。しかし、ツタも水面も動かない。


『破壊の始まり-人-』と『破壊の始まり-壁-』が、静かに壁から外された。

夜の美術館には、いつも通りの空気が流れていた。


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