第36弾
題名「宴」
断定はしない。確定はしない。推定はしない。決定はしない。定めることは何一つしない。それが私の立場。真実はまったく違うけれども。
さぁ、宴を始めよう!
狂ったように体温を求めた奴が、今ではまったく動かない。冷たくはない。今はまだ。唇には、鮮やかな紅。
人の生き方をどうこう言うつもりはないが、ただ一度の口づけで勝手に死なないでもらいたいものだ。求めておきながらのこのざまはあまりにも無様だ。
歌え!踊れ!狂い舞え!宴に礼儀はいらぬ!
「いずれ、真実はいらなくなる。それにもかかわらず、なぜ真実を開く。その過程と結果を理解しているのか?」
「いいや。・・・ただ“今”真実が欲しいだけだ。」
「自己満足だけならば、やめておけ。お前以外にも被害はおよぶぞ。」
「あきらめろ、と言うか。あきらめられるものならば、とうにあきらめてるさ。」
「あきらめない、と?」
「あきらめない、だ。」
「後悔しても付き合わないからな。・・・勝手にしろ。」
無礼講だ!無礼講だ!呑み狂え!
歌姫の声。天を揺らすがごとくに響き渡る。唯の一人も客はいない。草木たちが風にゆれる。
舞姫の音。声に合わせて艶やかにただよう衣。音が運ばれるままに舞うが、みるものはいない。
呑め!飲め!咎める者などいないのだ!
あぁ、なんということだ。すべてが無へとかえっていく。




