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第15弾

題名「現実の小説」


夢のような6畳部屋から飛び出て、小説を書き始めた。

3階の部屋から階段を走り降り、小説は主人公に試練を与えていく。

春だった部屋で、考えをあやまる。空はあんまりにも青で、雲の白が綺麗に映える。秋の装いだ。銀杏並木も黄色に色づいている。

小説は進む。主人公は次々と困難を乗り越えていく。温かい仲間達と、愛想のいい助言者と、人知を越えた力に支えられて・・・。

ふと、筆が止まる。どうしてこんなに主人公は恵まれているのだろうか。現実はもっと不平等で、助けなどなくて、嘘をつかない者など、滅多にいない。・・・まあいい。小説は現実のまねではない。

主人公は幸福で、自分が一番幸せだと思っている。不幸であるときも、世界で一番だと思っている。しかし現実は、世界一、幸福にも、不幸にも主観でしかない。

小説は結末に向かう。着々と、少しずつ。主人公は幸福か不幸を見つけて静かに落ち着こうとしている。現実に静かさは困難であるのに。

扉を開き、暖かな部屋に足を踏み入れる。その時、主人公は余生へ落ち着きを得、小説は終結する。

 椅子に座って前を向く。今日はまだ始まったばかり。

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