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第9話 動き出す運命
(あの人の心に、変化が生まれた。)
屋敷の窓から、王国の方へ視線を向ける。
「姉上。」
凛とした声に、ゆっくりと振り返る。
「ヴァルセリオン王国へ行ってまいります。」
「……セイラ。あなたが行かなくても――」
「姉上。私が行きたいのです。」
まっすぐな言葉だった。
「目的を果たしたら、すぐに戻ります。
ですから、どうかご安心ください。」
セイラは姉の手を取り、そっと握る。
「……わかったわ。どうか無事で。何かあれば、すぐに駆けつけるわ。」
「そのようなことにならぬよう、努めます。」
セイラは静かに一礼し、部屋を後にした。
扉が閉まる。
「……これ以上、振り回されたくないのよ。」
その声には、わずかな恐れが混じっていた。




