短期間強化訓練及びダンジョン攻略-①
「四象景律-節。凩!」
第五十二層。俺はモンスターを一掃していく。
「ファイヤボール。」火属性魔法の初級技。今の俺には魔法威力五の十乗のバフがかかっているため、最上級魔法のゾンネケルン程の威力を出せている。
「ファイヤボールのコストでこれって、アニメキャラ顔負けだなぁ。」ドロップ品を回収しながら呟いているとボス部屋が見えてきた。
「意外と速かったな五十層超えまで。」先日、ワルパフさんにダンジョンに潜れと言われたので、早速来たわけだが、この前のようなハプニングなく順調に進んでいったのだ。
ちなみに、リンは王女としての雑務。シオンさんは私情にて来れないので俺一人だ。
なんやかんやで、こういうの初めてだから少しのワクワクと不安、(これは前回のせいだが…)を持ちつつダンジョンを攻略していた。
ボス部屋の扉の前に着くと一人の青年が立っていた。
「君、入らないの?」俺はその青年に聞いた。
「初めて来たので少し不安で…。」青年は手を頭に置きながら言った。
「じぁさ!一緒に行かね?」俺は青年に手を差し伸べた。
初めてで五十層超え…いや、初めてここまでこれたってことか…?どっちにしろ、待つのは面倒くさい…!
よくある話だが、ボス攻略中は他の人及びパーティーらボス部屋内に入ることができないようになっており、ボスを討伐あるいは死で次の人が挑戦できる。
「いいんですか?!ぜひ、お願いします!」青年は俺の手を握り、握手をした。
「よし、早速行こう!俺は東。君は?」俺は扉を開け始めた。
「ミナミです!アズマさん、お願いします!」凄い日本人っぽい名前…。何回か勇者の召喚をしたことがあるって言ってたけど、流石に違うか…。
「ホンゲェ。」ボスが鳴いた。
こいつは五十二層ボスモンスター。ワニッコロ。超巨大なワニのモンスターかと思いきや、本体はホコリっぽいちっちゃいの。
「ちっこいのが本体なんですか?!可愛い……。」俺は今の情報をミナミに伝えた。
「ミナミ!何歳なんだ?」俺はとんでくるミサイルのようなものを避けながら聞く。
「十七です!」ミナミは軽い身のこなしで避けつつ、答えた。
「同い年じゃん!!タメ口でいいよ!」
ー四象景律-花、椿ー!
俺が思いっきり攻撃を入れるとワニの装甲が剥がれる。
「え?!わ、分かりました!」ミナミは装甲に一撃入れる。
分かってないだろ……。
「ボゲェ!ボゲェ!」ちっこいのが慌てたような様子で飛び跳ねる。
「たっく……可愛いやつだな!ウィング!」風属性魔法の初級技を放つ。すると、ゴゴゴゴと音が鳴り始めワニの動きが止まった。
「ボゲェ……。」ちっこいのが悲しそうな顔をした。聞いてた話となんか、違うんだけど…。本来はワニの装甲が剥がれ始めると、本体からムキムキの体が生えて二ウェーブ目に入るはずだが…。
「魔法付与、火属性。」ミナミは火属性魔法を剣に付与し、ボロボロの装甲をかち割った。
剣に魔法を付与?!そんな事したことねぇ!ミナミの絶加か…?
「ほげ………、■■■!!」
は?!また、…<❜-❜<、よ……!!ダン¿“ε“内が揺れハジ…ル……
クッソ……二…来¢"ε)………マジで!!
°ε°<ホゲ?!
「アズマ!大丈夫?!」ミナミが俺を呼んでいた。
「あ…うん、大丈夫……。ミナミは?」
「僕も大丈夫だよ。」ミナミの手を借りて立ち上がる。
「ぴぃーぴぃー」何か弱々しい鳴き声が聞こえた。
「ん?ちっこいの?!」俺は思わず声を荒げる。
「わぁ!可愛い子だぁ!」ミナミはちっこいのの頭を指で優しく撫でていた。
「ボスは部屋から出れないはずだが…。でも、本に載っていた。情報と違う点がある……。こいつは、ボスじゃないのか?」
俺が聞くとちっこいのは頭をぶんぶんと振っていた。
「じゃあ…誰…?」
「アズマ〜そんな事いいじゃないか〜可愛いし。」ミナミは穏やかな表情で言う。
「まぁ、そうだけどさぁ……。」
「ガルゥ!!!」そんな事を言っているとモンスターの群れがやってきた。
「取り敢えず、コイツラを片付けないと…。」俺は剣を構える。
「そうだね。アズマ、強いし大丈夫なんじゃない?」さっきまでの感じとは違い、めっちゃ馴れ馴れしくなってる…別にいいけど…。
「ちっこいの、肩に乗っといて。」俺は肩をちっこいののほうに向ける。
「名前考えてあげないとね。」ミナミが言った。
「そうだな。」俺は同意しつつ、かつて追い詰められたモンスターに剣を振るった。




