表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/27

「はい」と言え

ターニングポイントです、毎時間投稿中です

14 返事は『はい』しか認めません



「どんくさいけど、対人戦の抑えるところは抑えている感じだね…関節狙ったりと気概は買うよ…普通に自己トレーニングが必要かな?」



距離を取りたいと理由で選んだ槍がそこそこ使いやすい武器、自分に馴染むものと判明した



初日から良い成果と言えるだろう


コラプト先輩とオウギ先輩が中心となって組手を回していく


コラプト先輩も槍は得意らしい


近接武器学部だと必修が似たような授業らしく先輩達も手馴れていた



遠慮がちそうなスフレやタフラスも優しく教えてくれる先輩たちに果敢に攻めていた



驚いたのはラッセルで初めは長い鉱石の棒を使ったりしていたが最後は無手でオウギ先輩とやり合っていた、さながらカンフー映画だ



オウギ先輩と違い、息を切らしていたが戦闘慣れしている



「ラッセル、無手でそれだけやれるのか」

声をかけながらタオルと水をわたす


本当はスポーツ飲料水などが良かったが世界の壁的に情報が出回ってないらしく無いものは金があっても用意できなかった

無念…



「…あ、えぇ、ありがとうございます…召喚獣の武器ですからね、本体は真っ先に狙われますから」


「へぇ、ラッセルも召喚獣の武器だったのか」


「…え、知らなかったのですか?」


ぱちくりと瞬く


もうすぐ日が暮れるためみんなにこうやってタオルと水を渡していたがラッセルとはまともに話になるとは思ってなかった


いやしかしまともじゃないか

以前の距離の詰め方が脳裏にこびりついてたらしい


「おう、転校生だぞ?」


「いえ…スターダストの称号は学園外の方も知ってる方が多くて…」


…あれ?俺今無知晒した?


「いえ、自惚れが過ぎましたね

…アプローチもから回るわけです」


「なんて?」

後半小声で聞き取れなかった


「いえ、少し考え事を…部活動、良いですね…違った見え方が開かれるようです」


「んー…そうか、まぁ良い成果になってるなら良しだ」


そう言ってオウギ先輩とコラプト先輩にも水とタオルを持っていく



他のみんなは壁をせに思い思いに過ごしている


「お疲れ様です、コラプト先輩、オウギ先輩」


「おう、おつかれ」


「ぶちょさん、おつかれにゃー」


「お二人に負担が大きそうですが…」


「オウギでいいよぉ…んく…ぷはー

…こんくらいなら負担にもならないかな」


「俺もコラプトで構わない…そうだな、講義と違って教える立場というのも、また違った見え方があって面白い」



「何かに変換されてるならいいんすけどね、無理は禁物ってことで」


「まぁ相手が変われば攻め方も守り方も変わる、そうやって学んでいけるだろう」



二人と話していると頭にタオルが被さる


「チェリーもおつかれ」


ヘラが水を持ってきてくれたようだ


「あぁ、ありがとう…ペットボトル欲しいよなぁ…」


コップで渡すのは細々してるしキャップは欲しいよな


「ぼとる?…あ、やっぱりシャワー欲しいわね」


文化系か運動系かと言えば運動部なので汗もかく、ここから寮には少し距離があるので浴びたいものだ


施設増加はありかもしれない



「部活ってどうやって終わるの?」


「終わり方か…俺の中だと施設に感謝を述べて終わるんだが」


「施設に感謝…か?」


パルやみんなも集まってきた

夜の始まり直前なので自然に終わる流れと言うやつだろう



「あぁ、使わせてありがとうの念を込めるんだ」

「いいわね、それ…うん、それで行きましょ!」



そんなわけで玄関で並んで全員で「ありがとうございました」と声を合わせる


ピシャリ


夜の風が心地よく感じる


「なんか、やった、って感じね」



格闘部初日の活動はいい始まりとなったのではないだろうか





帰る途中にゾンビが沸き出したが難なく寮に着く、皆部屋の近い階段の方へ向かうため寮の玄関口で解散となった


俺とヘラ、エリンシアさんは離れの渡り廊下は一階からしか繋がってないため早くに別れることになる



「…そんで、どうしてラッセルが残ってるのよ」


ヘラが唯一着いてきていたラッセルに突っかかる


「…いえ、少しチェリーさんと話がしたいと思いまして」


「……ふぅん?」


突っかかるような様子だったヘラが大人しくなる


「そ、チェリーの帰りが遅かったらとんでくるからね?」


そう言ってエリンシアさんと離れへと歩いていった


意外にもあっさりと引いて驚いた

もっと突っかかるかと思ったのだ

…突っかかって欲しかったのはある



「ヘラさんの感知は特殊ですね?」


「謎センサーでもあるのか?」


「そう、それですよ」


どれだよ…



「その、センサー…他にもカーテンから色々と、機械世界に随分と詳しいようで」


「…あぁ、そういうこと

まぁ、機械世界出身だしな」



話があるとは俺が機械世界出身のことを話したかったのか、まぁ隠すことでもないが、俺が魔法世界の知識を得るための駒のように

魔法世界からすれば俺は機械世界の情報の塊なのだ



まぁ残念ながらこちらの世界には魔素とかいう魔法関係の謎成分があるせいでいわゆる現代チートとか機械再現とかで無双出来ない、役立たないのだ


現実はそんなに甘くないぜ



さて、ラッセルはどんな情報が欲しいのだろう、なんでもは知らないからな?ググれることだけ


頼んだぜ!スマホの辞書アプリ!



「あ、あれ?簡単に認めるのですね?」


「隠してなんになるのよ」


おや?そもそも第一段階から予定外らしい



「うぉーい、姉さまー」

「あら、アトリ」


階段の方からテロテロとちっこいのが走ってきた頭に鳥乗せてる、ふわふわで可愛いやつ


「誰だ?妹…んぁ?」


あれ?こいつ見覚えあるぞ?


「妹のようなものですね…アトリ、挨拶なさい」


「ほいほい、……ん?お前どっかで見たことあるですね?」



「「あ、店の前の!」」



ゴッドリータイガースタッフを買った直後に絡んできた子だ!


「あんときのちみっこか!」

「誰がちみっこですか!姉さま!こいつ土地の杖を買ったやつですよ!」


「あら、知り合いでしたか…まぁゴッドリータイガースタッフが土地の杖とは見れば分かりますよ、だから持ってきてくれて嬉しい…と、昨日言ったわよね?」


「よく聞いてませんでした!ヨダレ垂れててキモかったので!」


「…」「…」

アトリと呼ばれた子供がビシッと敬礼しながら姉さまもとい、ラッセルの痴態を晒す


「姉さまガラスごしにもヨダレ垂らしてましたよねぇ〜背が届かなくてふくの大変だったんですよ!」


「ちょっと黙って?」

「わかりました!」


「その妹敬意足りてなくない?」


「妹ではないのですが…スターダスト家について教えましょうかね?」


「あ、そんでその男!


『杖から召喚出来ないんですよ!』」



「ちょっと、だま……」



ラッセルが固まる


なんだよ、文句あっかよ

…てか言ってないか?


言ってないね、見てないの?

…二限でも見せてないね


「まぁ、そうだな、うんともすんとも言ってくれない」



「へぇ…そうですか…


スターダスト家、ドラゴンスタッフを継ぐものとしてここに宣言します


チェリー、私と今、ここで戦いなさい、逃げは負けとしてみなします


私が勝てばあなたは私の物、このアトリのようにスターダスト家に尽くしてもらうことにしましょう


勝てば…そうですね、なんでも言うことを聞きましょう


さぁ、返事は『はい』しか認めません」



人が変わった


ばっと右手をこちらに向けて宣言する


どこから吹いてきたのかラッセルの白い髪の毛がふぁさぁ…と揺れている



な、か、かっこいい!!



じゃない、なに?勝負

なんでよ、あと、アトリがなんか奴隷みたいな契約結ばれてること仄めかさなかったか?


それを俺にも?ほえ?


「返事は!」


「は、はい!」



その瞬間、ラッセルを中心に世界が塗り変わっていく


建物の中ではない、しかし外でもない

風もなく、静かだが


大地は無限に平面が続いており

空には大きな大きな蒼い月が浮かんでいる


そして数え切れないほどの星が煌めいていた

へぇ、ふーん、そうなんですか、そうですか


しかたがないですね



運が悪かったと思って、諦めてください

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ