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まもられる、まもられてる…まもる

12 女神の加護



「すんすん…女の人の匂いがする」


生徒会室を出ると外は夕暮れ時だった

ヘラが俺の匂いを嗅いで顔をしかめる


いぬころさん?


「具体的にはラッセルさんの独特なシャンプーの香りがする」


いや、ラッセルも怖いがこっちも大概だな?


「紅茶貰ったからな」


「シャンプーの!匂いがするって言ったの!」


「おおぅ」


学生の姿はもう見えない、もう少しすれば魔物が湧き出す、狩るにしても何人かで集まるべきだし、昨日の帰りからすると俺ら二人では帰りが安全とは言えない



「ラッセルに杖を見せてな?それで向こうが興奮して近づいてきてたんだ」


嘘は言ってない、興奮の度合いは言いたくない



「ラッセル…また増えた…」


増えてないぞ?むしろ命の…貞操の危機だったぞ?


あ、危険が?それは増えたね、明らかに目をつけられたね、うん


あまり思い当たる節が無いなぁ?と首を傾げたらまるで心を読んだように返事するヘラ


「いいえー、呼び捨てになってたから懐柔されたと思ったんですー」


「懐柔?ないない」

どっちかって言うと心の壁の破壊だし

距離感詰めるの下手よね


「いやしかし、ヘラが来てくれて良かったよ…一人で来たのか?」


「うん、格闘部のとこ向かったら認可されて明日から、それでチェリーはまだみたいだったから…あ、えっと入りたい人が一人私のとこきたよ?」



人気じゃん、格闘部


「アクセサリー開発部の部長さんだったかな」


シンクのクリムゾンって呼び出してくれた人か

…男じゃん!…いやぁ、なんか安心するよ


ほら、女性恐怖症が助長しそうだったし?


格闘部と近接武器学部は相性がいいし、そちらで習ってる人がいるなら部活動としても捗るだろう



寮には何とか魔物が枠前にたどり着いた

すれ違いに寮スタートの討伐勢とすれ違ったが、今日はそんな元気はない



部屋にたどり着き、やはり料理を作ってくれているお姉さんに感謝しながら夜ご飯となった


「むぐむぐ…そういえばお姉さんって名前なんだ?」


「おや、言ってませんでしたか?」

「え、チェリー知らなかったの?」


そう、知らなかったのよね


「私はエリンシアって名前です…趣味は料理でこの学園の、別の寮で働いていたこともあるんですよ」


「ほえー…いつもありがとうございます」


「いえいえ、監視のついでですよ」


そんな笑顔で言うことじゃなくない?



食事を終えてエリンシアさんは退室していった


「…風呂入るか」


機械世界ならゲームとかやってたかなぁとか思いながら、今じゃやることねぇなぁ、と風呂に入る


変わらず狭い湯船だが入れるだけマシだ



風呂から上がり寝巻きに着替え外を見る


気味の悪いメダマや、でかいコウモリ

が空を飛び回っている


うーん、非日常



さて寝るかと思ったところで腕を取られる


「…ヘラ?」


見るとヘラはいつか買ってあげたスケスケの服を着ており

顔が赤く、濡れた髪が色っぽかった



「学友として接してくれのは嬉しいけどさ、たまには奴隷らしく…乱暴にして欲しいな…」


……おいおいおい、それはやばい破壊力を含んだ言葉だぞ?


チェリーボーイの意味教えたろ?

つまりはそういうことで、そういう奴にそのセリフは理性掻き消える



「ヘラ…」



ヘラをベッドに寝かし、四つん這いで上になる


儚くも美しく、触れたら壊れそうな姿

頬は燃えるように赤く染まり、その目は期待か恐怖か、潤む瞳は美しい



……!……!


いやしかし、残念か良かったか、自分でもよく分からないが、結果としては理性が耐え残り、勝ってしまった


「いや、くっ…」


ベッドから降りて部屋のソファーの方へ逃げた


「へっぽこどーてー」


ヘラの言葉が胸に突き刺さった



その夜ソファーの上で悶々としながら、いつの間にか睡魔にのまれていた





「…夢か?」


「ん…」


目が覚める

朝日が眩しい、ベッドの上で起きた

隣にはヘラが寝ていて…


「ヘラ?」


「…んぁ、おはよ?」



「あ…れ?昨日俺は手を出したのか?理性ボロ負け?」


ヘラの寝巻きはいつもの寝巻きで昨日見たスケスケではない

…誰だよスケスケなやつ買ったのは、おれか…


「だしてないですぅ…変な体制だったから寝かしてあげたんですぅ…」


見ればベッドの横にはソファーが移動していた


このソファー足がコロコロのやつだったらしい



「…もぅ、意気地無し」


寝転がりながらヘラが俺の体を突っつく


「…ちなみになんでヘラは一緒に?」


「疲れたからそのまま?」


ヘラのベッドよこでしょーが


「どうした?体調悪いのか?」


「しんがーい、悪いのはチェリーの男気ですぅー」


何だこの可愛い生き物


襲うぞ?…襲えなかったんだった


「んしょ…ちょっと早いね、チェリーはまだ寝てていいよ?」


そう言いながら起きるヘラ


「んふふー、チェリー、好きー」


そういって頬にキスをして寝室を出ていった


「………ねれるか」


ほんとにヘラか?あれ、酔ってるのか?


未成年でしょーが?

よくわからん



口数が少ないながらも朝食をとり、二人で寮の部屋をでる


「よし!さっ!いくわよ!チェリー!」


気合を入れたのか、いつものヘラが戻ってきたような感じだ


階段をおり、寮の本館と離れが繋がる廊下を進み始めたところで…ヘラの足が止まった



「あら、おはようございます、チェリーさん、ヘラさん」


「ラッセルせん…」

「ラッセル、次はないですよ?」


ひぅ


もはや恐怖の象徴になりつつある白く長い髪をサラリと伸ばした学園ナンバーツー

ラッセルがそこにいた



笑顔で圧を飛ばしてくるのこ?せっかくですので転校生との親睦も深めようと思いましてそーですか…それ付き従う、私、淑女としての立ち振る舞いを実行しているに過ぎません」


「それは私が淑女としてはふさわしくないって言いたいのですか?」


「あら、そういう訳では無いのですけれど…とはいえ私の淑女感では殿方を引っ張る姿は淑女とは言えませんね?」


だれかこいつらどうにかしてくれ


そんなやり取りを校舎間近までやっていた

そんな所に見知った影が


「お、あ、クイルとタフラス!おーい」



「あっチェリー」

「あん、チェリーさま…」


ラッセルのなかで俺はいったいどうなっているのか…想像妊娠とか背中から刺してくるのとかやめてな??


後ろからは二人が言い合っている声が聞こえてくる、周りは人が増えていき…ただ言い争ううちは安全かとも思ってしまった



今朝は一限から講義に参加した

男子四人で一つのホログラムを形成して雑談しながら受けたのだ


不思議とこっちの方が自分は能率上がった気がしたよ



二限は相変わらずの必修だ

タフラスの毒とレックの雨を受けるとみるみるうちに体力を持ってかれた


強いと思うが火力が重視されている現時点ではあまり評価されていないらしい

まぁ相手が魔物ならそうだろうな、実感がわかないのはあるだろう



イベントなどは生徒会主体と書いてあった気がする…ラッセルに提言してみるか?

出来れば会いたくないなぁ


そんなラッセルは体育館の壁にもたれて様子を見ているだけだった


目が合うとぺこりと軽く頭を下げるだけ、綺麗な花には毒とかそういうことか?

いや、あれが普通なのか?



例によって男子は早めに退散となり更衣室で時間を潰すことになる



「…と、このようにドローンを飛ばすことで校庭の様子を見ることができる」


「「「おおおっ!」」」


通信機の発注はしてみたが遠隔通信は骨の折れる開発のようであまり期待はできない

魔法世界対応のスマホを大金はたいて買った方が早そうだ



しかし使うとなると機械世界出身とバレかねないため量産を進めているのも含めて学園での広告塔になると提案してみた


財力はそのまま力と見なされたのか、それともただの気まぐれか案外機械世界の進出技術部も乗り気らしい


魔法世界でネットの独自な地盤を作るのは大きいのだろう



二限の終わりの時間が近くなると誰がそうしたか、無言となる

画面には着替えている女性たちが


誰が漏らしたかこれは勝手に映っているだけらしい、わかる



…ラッセルは白髪というのもあって目立つ、いや、目立つのか勝手に意識してしまってるのかはっきりしてないが


…これまた可愛らしい下着ですこと



三限も受けてから格闘部へと向かう

ヘラとスフレとタフラスで部室に着く



道中にエリンシアさんと出会う、お弁当を持ってきてくれたようだ


「ありがとうございます」

「いえ、今朝は私が普通に寝坊してしまったので」


寝坊しても朝食は用意してくれるとは…すごいなこの人


「あとこちら、試作品ですが魔法世界対応のスマホとなります」


…おや、話をすれば


「試作品!?チェリーは何個も持ってるんですか!?」


タフラスが驚いている



「いや、そういう訳じゃないんだけどな?…とりあえずエリンシアさんと…ヘラは持っててくれ」


「わ、いいの?」


「あら、私もですか?」


「連絡は取りやすい方がいいですし…ヘラは昨日みたいにすれ違う事を減らしたいからな」


気にかけるなと言う方が無理な話だろうて


「わー!ありがとー!」


ヘラは無邪気に喜んでいた

スマホつかって無双とかはしません、断じて、決して、絶対に(鉄の意志)


してたら木の下に埋めてもらって構わないよ!

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