袋を断っただけなのに人生が終わった
はじめまして。
勢い強めの異世界転生コメディです。
まともな主人公が、まともじゃないヒロインたちに振り回されます。
深く考えず、笑って読んでもらえたら嬉しいです。
俺の名前は、佐藤悠斗。
どこにでもいる普通の会社員――と言いたいところだが、ひとつだけ昔から自覚していることがある。
俺の周りには、やたらと話の通じない人間が集まる。
いや、正確には、話は通じている。言葉も意味も届いている。
ただ、その先の着地が、毎回おかしい。
「なんでそうなるんだよ」
それが口癖になったのは、もうずいぶん前のことだ。
そして今、俺は心の底から思っている。
――あの頃の人生は、まだマシだった。
「なんで全員ボケなんだよ!!」
青空の下、俺の叫びが草原に響いた。
事の始まりは昨日。
仕事帰り、コンビニで弁当と飲み物を買った俺は、なぜか袋を断った。
その瞬間は持てる気がした。
だが現実は甘くなかった。
弁当、飲み物、デザート、おしぼり、箸――全部持てるわけがない。
店を出た瞬間、バランスは崩壊。
おしぼりが落ち、箸が滑り、弁当が傾く。
慌てて戻ろうとした。
その時。
足元のおしぼりを踏んで、滑った。
バランスを崩して、頭をドアにぶつけた。
視界がぐらりと揺れる。
最後に見えたのは、空中で綺麗に回転するカツ丼だった。
――そして、死んだ。
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気づいたら、白い空間にいた。
「佐藤悠斗さんですね」
目の前には、やる気のなさそうな女神。
「おめでとうございます。異世界に転生します」
「軽いな!?」
「今日はちょっと忙しくて」
「仕事かよ!!」
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そして現在。
俺は異世界の草原に立っている。
青空、風、そして――
「勇者様ぁ〜♡」
いきなり腕に絡みつく美少女。
「やっと会えましたね♡ 私の旦那様♡」
「知らない!!」
「昨日、結婚しましたよね?」
「してない!!」
「前世で♡」
「前世便利すぎるだろ!!」
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「フッ……来たか勇者」
黒マントのイケメンが現れた。
「まともそうな人!」
「俺は魔王だ」
「敵じゃねぇか!!」
「安心しろ。今日はオフだ」
「休日制度あるの!?」
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「こんにちは。私は賢者です」
眼鏡の美女が現れる。
「やっと常識人!」
「IQは500あります」
「すごいな!?」
「でも九九はできません」
「なんでだよ!!」
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俺は確信した。
この世界、全員おかしい。
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「では勇者様♡ 旅に出ましょう♡」
「説明しろ!!」
「世界は丸いです」
「そこじゃない!!」
「あと私はパンよりご飯派です」
「優先順位!!」
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その時だった。
空からドラゴンが降ってきた。
「グオオオオ!!」
「うわ王道!!」
「誰か戦え!!」
「はい♡」
ヒロインが前に出る。
「ドラゴンさん、落ち着いてください♡」
「会話で解決!?」
「あなたは今、疲れています」
「カウンセリング!?」
ドラゴンが泣いた。
「効いたぁぁぁぁ!?」
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「名前つけましょう♡」
「なんで!?」
「タケシで♡」
「急に日本名!?」
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こうして俺の異世界生活は始まった。
婚約者を名乗るヒロイン。
オフの魔王。
九九ができない賢者。
カウンセリングで落ちるドラゴン。
「ツッコミが追いつかねぇ!!」
俺は叫ぶ。
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――これは、ツッコミが世界を救う物語。
第1話読んでいただきありがとうございます。
テンポ重視のコメディで、ボケとツッコミを詰め込んでいます。
この先、ヒロインはさらに増えていきます。
少しでも面白いと思っていただけたら、ぜひ次も読んでください!




