6話。
「ふぁ~あ。ねっむ。」
「なんだ明日菜、寝不足かー?」
あれから家に帰ってまた考え事をしてしまっていた。
気付いたらいつもの寝る時間を大幅に過ぎていたが眠気がいつまでも来ず、結局3時まで眠れなかった。
毎日大体11時頃には寝ている私にはかなりしんどい時間だ。
「んんー・・・ちょっとね~」
無理すんなよ、と和也が私の頭をぽんぽんと二度軽く叩く。
ああ、朝から幸せだけど本気で眠い。今日の授業は潔く諦めて寝よう。
と、思ったのだが、私が寝ようとすると和也が頭や顔に向かって消しカスを投げてくる。
眠いって言ってるだろ今日こそほんとにメガネ割るぞ。
そんな意味を込めて大量の消しカスを作って和也に投げる。
なんとまあタイミングの悪いこと、板書をしていた教師が急に振り返る。
「葛西さん、川島君、消しカスを投げて相手にちょっかいかけるなんて今どき小学生でもしませんよ。授業を真面目に受けないのなら廊下に立たせます。
30分になったら戻ってきなさい。」
「「はい…」」
あんたのせいよ、といわんばかりに和也を睨みつける。
ごめんごめんと手を合わせて小声で謝る和也。
ったく眠いって言ってんのにさ・・・廊下に立ったまま寝ちゃうよいいの!?
とぼとぼと一緒に廊下に出ていく。
「和也の馬鹿。大体先に消しカス投げてきたのあんただから。
全部あんたのせいよクソメガネ。」
「だから、俺への暴言でメガネ使うのやめろよ
あ、コンタクトにすればその悪口使えなくなるな?w
今日でメガネ卒業しようかなー?」
は?だめ。和也はメガネ外すと普通にかっこいいからほかの女子が寄ってきちゃうじゃん。
こいつはクソメガネぐらいが丁度いいの、急にコンタクトなんかにされるとこっちが戸惑うじゃん。
「いや急にメガネじゃなくなるとかそれはそれできもいからやめて。」
ひっでぇ!とムッとする。
素直に思ったこと言えないのはデフォルメですからネ。
でも、素直に思ったことを言ってしまうと私の気持ちが和也にばれてしまうかもしれない。
それがほんとは怖いんだ。
気持ちがわかってしまって私のもとから和也が離れていってしまうことが一番私にとって辛い。
ほらよく言うじゃん、恋は片思いの時が一番幸せだ、って。
「明日菜さ、毎日俺とこうやって絡んでて楽しい?」
和也がこんな弱々しそうな顔して質問してくるなんて珍しい、何かあったのだろうか。
「楽しいよ。
いつも言ってんじゃん、私はあんたといると気分が楽だって」
そっか、ありがとうと少し照れた様子でお礼を言ってくる。
「俺さ、明日菜に隠s・・・いや、なんでもない!そろそろ30分だし戻ろうか!」
え?なんだろうよく聞こえなかった。
まあそんなに気にするようなことでもないでしょ!
眠いから早く教室に戻って眠ろうっと。
この時の私は、和也の言いかけたことをこれっぽっちも気にしていなかった。