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魔王さまのおしごと…迂闊な魔王はどこへ行く  作者: 溶ける男
第一章 魔王はじめました
8/56

8月1日

____________________________________

魔王それは世界に混沌と破壊をもたらす異世界の住人。

最凶を決めるためこの世界に降り立った100人の魔王から世界を守れ。


8月1日〜8月31日まで【魔王の降臨】を開催いたします。

このイベント以降、魔王の領地がフィールドと繋がることによりプレイヤーの行き来が自由となります。

プレイヤーの皆さんには、魔王討伐のクエストが発生し討伐ポイントに応じた上位100名には、報酬を用意いたしておりますので奮ってご参加ください


なお、同じ魔王の討伐は1週間に1回までのカウントの対象となります。

対する100名の魔王の方もプレイヤーが領地内でのモンスター及び直接対決による結果に基づきポイントが与えられます。

こちらは、上位10名に報酬を用意しております

____________________________________


1;00

遂にこの日を迎えた。

あの後、素材集め・スキルの強化・装備の作成などに費やした。

ハンマーはそのままに刀だけは新調してみた。


____________________________________

ヨウ刀Ver2タイプ水

ATK+45

属性値 水:10

水の力を宿した刀

*対応スキルが無いため≪アーツ≫の使用は出来ません

品質7

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アクアライト単体では強度が足りなかったため、鉄鉱石と混ぜて濃い青色をした水属性の刀を作ることに成功した。

制作難度が高いためか品質7以上のものが作れなかった。


そして非ログイン時の影武者の設定にも何とか勝利し残りのモンスターも作り準備は万端だと思う、目指せTOP10入りだ。


領地から見える景色は、イベントによりフィールドと繋がったことで少し変わった。

今までは一定の範囲より向こうは、半透明な壁のようなものがあり、ぼんやりと見えていたが、なくなったことによりはっきりと確認できるようになった。

と言っても≪遠見≫のスキルが無いと普通に景色を見るレベルではあるが、取りあえずマップを広げて領地の出現位置を確認する。


 公式HPの情報によると最初の町【アイビス】と言うらしいのだが、そこを中心に半径5km〜20kmの間の中の対応した地形に領地が出現するようになっているらしい。


マップによると大体【アイビス】から南西に7kmくらいの位置に出現したようだ。

現在領地内には、プレイヤーは居ないようなので各店の店主に軽く挨拶を済ませて城へ向かう。

最近知ったのだが、転移アイテムのクリスタルには転移場所の登録と指定が出来るようで一々迷路を通らなくても城へ行くことが出来るようになった。

何気に便利だ。

2階の魔王の間(仮)で椅子に座るとメッセージが届いていることに気が付いた。


____________________________________

ログアウト中のプレイヤーとの戦闘結果を報告します。

 訪れたプレイヤー数    3名

 倒したプレイヤー数    3名

 獲得L       3350L (売上3000L)

 スキル経験値    1320P

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獲得Lはそこそこかな。

店舗の売り上げが3000Lか。

デスペナルティがあるから所持金大量に持って歩き回る奴もいないしな。

スキル経験値は結構あるように見えるけど多いのかな?


デスペナルティによる各スキルから3%×10(ライフスタイルもあるため10%以下の可能性もあるが)で一人から最大30%分×3名の内から70%がこちらの取得するスキル経験値だ。


振り分けるスキルを選ぶことが出来るようなので試しに魔王にすべて振ってみると5%くらいメーターが増える。

…うわぁ引くなぁ。

計算上だとほかのスキルでは、半分くらい増えそうなのに5%って10倍以上必要ということか。

分かっていたけど途方もないな。


確認していると新たなメッセージが届く。

【領地内に4名の侵入者が現れました】

窓から外を確認すると、今まさに町の入り口に4人のプレイヤーが立っていた。

装備から判断すると内訳はタンク1名・物理アタッカー2名・ヒーラー1名ってところだろうか?


4人は、一通り店を見て回った後、飯屋に入っていった。

因みにファンタジーライフスタイルオンラインでは、満腹度というものがあり行動することによって減っていく。

0%になるとMPとHPが時間と共に減っていく仕様となっている。

その為定期的な食事をする必要がある。


飯屋は、初めのころは洋風ファンタジー風味だったが、好みや料理法を伝えたことで、今では店主モンスターのエアリスが提供する和洋中なんでもありの定食屋になった。

味は美味しいうえになんとステータス向上の効果もあるので、他の店主モンスターやビルドベアたち自分も含め定期的に通っている。

しかし、これから攻めてくるプレイヤーにもステータス向上がかかるとなると問題だ。

食事を終えた用で4人は、迷路に侵入したようだ。


領地内では、各モンスターの配置と相手パーティーの位置がわかるようになっている。

ゴブリンたちでは、彼らに歯が立たないらしく遭遇と共に蹴散らされていく。

攻略組かな?

それともゴブリンたちが弱いだけか?

どちらにしてもかなりのペースで通路を進んでいる。

こちらに到着するのも時間の問題だろう。


………

…………一時間が経過した。


どうやら迷路が、苦手のようで同じところをぐるぐる回っている。

因みに≪盗賊≫のライフスタイルや≪マッピング≫のスキルがないとフィールドでの自分の位置情報はマップに表示はされるがダンジョンや迷路の壁などのオブジェクトは表示されないため把握することが困難となる。


≪マッピング≫持ちが居ないのかなと眺めているとステルスヴァイパーにヒーラーが後ろから襲われた。

前衛の3人は、ゴブリンと戦っていた為助けるのが遅れる。

アタッカー2人にゴブリンを任せてギリギリのところで、タンクがヒーラーに駆け寄りステルスヴァイパーに【挑発】を使いステルスバイパーをヒーラーから引きはがす。


【挑発】と言うのは、タンク職が使う敵対者の敵愾心を集めることで円滑なパーティ戦をするためのアーツの一つだ。


ヒーラーは自身に回復魔法を掛けて難を逃れる。

ゴブリンたちを蹴散らしたアタッカー2人も合流してステルスヴァイパーを倒すことに成功したようだが、満身創痍って感じだ。


4人は5分ほど休憩をしてある程度回復したのか、また進みだした。

先ほどよりは確実にこちらに近づいて来ている。

そろそろこちらも迎撃の準備をしないといけないな。

4人の戦闘を見て相性の良さそうなモンスターを召喚しようとして愕然とする。


なんとランクBのモンスターを今の≪魔王≫のレベルでは、1体しか呼び出せないということに今更ながら気が付いた。

ガロンさんのところで知っていたはずなのに完全に失念していた。


取りあえず、キラーリッパーとハイカイゴブリンのMとPをパーティー戦用に設定して4人が来るのを待つこと10分、ようやく迷路を抜けて1階部分に到着したようだ。

城内部はモンスターは発生しないように設定しており2階の魔王の間(仮)以外の部屋には特に何も置いていない。

一応1階の部屋を見て回ったのかそれから5分後、魔王の間(仮)の扉が開かれた。

こちらは、魔王っぽく椅子に座ってみて一言


「ようこそわが城へ、勇者諸君」


とか言ってみた。


アタッカーA「おう、あんたがこのエリアの魔王さんか?

 なかなか面倒なのを造りやがって、ここに来るのにかなり時間食ったじゃねえか!」

タンク「そうですぅ、迷路なんて聞いてないですぅ」

アタッカーB「まぁああいうのも嫌いではない」

ヒーラー「…ん」


と4人それぞれの回答が返ってくる。

おう…なんかイメージと違うな、もう一つ決めていたセリフを言ってみる。

「ところで、迷路で結構ボロボロのようですが、戦闘します?

 やらないなら出口までお送りしますが?」

「ここまで来てやらずに帰れるかぁ??」


ですよねぇ、じゃ早速戦闘に入りますか


「それでは、お手柔らかにおねがいしますね」

そう言ってモンスターを召喚する。


キラーリッパーと自分が前衛で、ハイカイゴブリンのMとPが後衛だ。

迷路ではハイカイゴブリン・Mには【ダーク】をメインで使うようにしていたが、こちらでは、【バインド】を使うようにしている。

これで、足止めをしたところにこちらが、止めを刺せば何とかなるだろう。


キラーリッパーが先制攻撃とばかりに何もない空間に鎌を振ると、4人目掛けて真空刃が飛んでいく。

追尾性能は無いようであっさり避けられるが、分断に成功したタンクとアタッカーAをキラーリッパーに任せて、ヒーラーとアタッカーBに向けて【ダークスラッシュ】を放ちその後ろを追うように駆けていく。

アタッカーBが魔法を相殺したところへ間髪入れずに刀による攻撃を仕掛ける。

1撃目は入ったが、2撃目を防がれて鍔迫り合いに持ち込まれていると、ヒーラーが【詠唱】を始めた。


因みに、ファンタジーライフスタイルオンラインでは魔法を使うのに必ずしも詠唱はでは必要ない、何より詠唱なんて恥ずかしい。


魔法発動のプロセスには、発動までの時間【ヒートタイム】→【発動】→次回使用可能まで時間【クールタイム】とあり強力な魔法ほどヒートタイムもクールタイム長くなる。


 ≪詠唱≫のスキルを取ることで、【ヒートタイム】中に発動する魔法に関する自身のイメージを詠唱できるようになり更に上位スキルに


≪詠唱破棄≫

 一定回数使用した詠唱魔法をイメージのみで発動することが可能

 スキルレベルに応じて【ヒートタイム】【クールタイム】の減少


≪加重詠唱≫

 【ヒートタイム】を詠唱によって延長することで魔法の効果を増加

 延長した時間に応じて【消費MP】【クールタイム】の増加


≪同時詠唱≫

 複数属性の魔法を詠唱により同時発動・合成・複数展開が可能


などがある、厨二心が少しくすぐられるのは自分だけではないはずだ。


アタッカーBの妨害によりヒーラーの詠唱が完了したようで、無数の光球がヒーラーの周りに浮かんでいる。


「…行け!ホーリーボール!」


バッと手を前にかざすと応じるように無数の光球が、自分目掛けて飛んでくる。

なんとか刀で弾き躱したが、流れ弾がハイカイゴブリン・Pに当たり光の粒子となって消えてしまった。


4対3になり相手にも合流されてしまう、ここぞとばかりに畳み掛けてくる4人、タンクにこちらの攻撃を弾かれアタッカーAが必殺の一撃を放つ。


絶体絶命のピンチだ。


その時、ハイカイゴブリン・Mの放ったバインドが今まさにアーツを放つ寸前のアタッカーAに命中し拘束に成功する。


お返しとばかりに無防備なところへハンマーに持ち替え【フルスイング】をお見舞いすると、きりもみしながら何か叫びつつ飛んでいくアタッカーAに一瞬気を取られたタンクの眼前にキラーリッパーが躍り出る。


対応が遅れて一撃を喰らってしまうタンクに運悪く≪死神の鎌≫が、発動し一気にHPを0にする。

 ≪死神の鎌≫はBまで上げて発動確率3%ってどうなんだろって思ってたけど結構凶悪なスキルのようだ。


 一気に2人減ったことで、形勢は逆転しハイカイゴブリン・Mとの【ダーク】による波状攻撃でヒーラーに止めを刺したところで残るはアタッカーBだ。

キラーリッパーの真空刃による牽制を躱し、此方へ迫る。

闘志むき出しに繰り出される攻撃を刀で受け止めて動きが止まったところへ、またもハイカイゴブリン・Mの【バインド】が決まる。


拘束されたアタッカーBに向かって


「またのご来場をお持ちしてます!」


と笑顔で告げハンマーを構え【フルスイング】を発動する。

この拘束されている相手に強力な一撃をお見舞いするのは、クセになりそうだな。

そんなことを考えながら飛んでいくアタッカーBに向けて手を振っていると。


システムメッセージが届いた、

____________________________________

倒しましたプレイヤーからの戦闘報酬です

 獲得L         400L

 スキル経験値    24500P

____________________________________


獲得Lは低いが、スキル経験値を大量にゲットすることが出来た。

やはり先ほどのプレイヤーは、スキルレベルもかなり高かったんだろう。

3%ずつとはいえ非ログイン時に訪れたプレイヤーの経験値と比べると20倍近い。

早速≪魔王≫に全振するとレベルがあがり7になった。

PvPはあまりやったことが無かったが、モンスター戦とは違った駆け引きがあるようで中々楽しめた。

それから1時間ほど領地内で武器の修理や食事などをしながらプレイヤーが訪れるのを待ってみたが、誰も来ないようだったのでログアウトすることにした。


____________________________________

ヨウ

装備スキル

 ≪魔王7≫≪中級鍛冶15≫≪中級採掘22≫≪幸運67≫

控えスキル

 ≪初級革加工42≫


お読みいただきありがとうございます

誤字脱字・感想などありましたらよろしくお願いいたします

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YouTubeにて主題歌配信中「魔王様はじめました」
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