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魔王さまのおしごと…迂闊な魔王はどこへ行く  作者: 溶ける男
第二章 領地を得よう!

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16/56

9月16日

1:00

ログインすると、ソフィアさんからの返信が来ていたので、さっそくメールを確認した。


件名:RE:突然ですが…


メールの件ですが、丈夫で手触りがいい動物系モンスターなら、メルケムソーナなんてどうでしょう?

森林ダンジョンのボスで、ミンクみたいな手触りの強靭な皮が特徴のモンスターですよ。

私も領地の素材に欲しいので、一緒に狩りに行きませんか?


メールを読み、すぐにフレンド通信を飛ばす。


「ども、お久しぶりです。今お時間大丈夫ですか?」


「いいわよ。メールの件かしら?」


「はい。もしよければ、一緒に行けたらと思いまして。今日の予定はどうでしょう?」


「そうね、じゃあ10分後にアイビスの噴水前で待ち合わせしましょう。」


話を終え、領地の食堂で軽食を買い、薬屋で回復アイテムも揃えてから、アイビスへ向かう。

ちなみに自分の領地での買い物は、材料費などを差し引いた利益分が懐に戻るため、かなり安上がりになる。

もう少し資金が溜まったら、各店舗の作業場にいい道具を揃えたり、店主たちのスキル強化も進めたいところだ。


そんなことを考えながら噴水前のベンチで待っていると、ソフィアさんがキョロキョロしながらこちらを探しているのが見えた。

こちらに気づかないようなので、声をかける。


「ども、さっきぶりですね。」


「え?」


どうやら装備が変わり、兜の鬼面で顔も隠れていたため、わからなかったらしい。

二人で少し笑いあい、さっそく目的のダンジョンへ出発した。


ダンジョンは、ソフィアさんの領地から2フィールド先にあるらしく、そこそこの難易度らしいが「なんとかなるだろう」とのこと。

パーティを組み、ソフィアさんがクリスタルで領地へ移動。前回のイベント結果について話しながら進む。


ちなみに魔王討伐のNO.1は予想通りガロンさんで、1000万近いポイントを稼ぎ、2位以下に倍近い差を付けて圧勝。

これは、2周目以降の討伐ポイントが「倒した魔王の取得ポイントの10%」になる仕様だったため、一攫千金を狙ったプレイヤーがガロンさんに殺到→返り討ち→さらにポイント増加、という循環が起きたからだ。


討伐者NO.1はヘイヴさんで、ポイントもすごいが討伐魔王数99という記録。

ソフィアさんはというと、100位。イベントには参加せず、ひたすら動物をモフったり素材集めに奔走していたらしい。

ちなみにヘイヴさんの討伐パーフェクトを阻んだのもソフィアさんだとか。


ちゃんと珠だけは交換して、10万ポイント分の報酬はしっかりもらったらしい。

そのアイテムが【テイミングリング】──≪調教≫スキルと同じ効果を持つという、いかにもソフィアさんらしいセレクトだった。


そんな話をしながら、目的地に到着。

多少迷いながらもモンスターを狩り進み、ボス部屋にたどり着く。

道中では、黒いオオカミや熊のような動物系、カマキリやカブトムシのような昆虫系モンスターが出た。


いよいよボス部屋。

中に入ると、そこには3mくらいのずんぐりむっくりした巨大リスが──!


尻尾をフリフリしながら構えるメルケムソーナ(以下、リス)。

こちらも武器を構えてソフィアさんを見ると──


彼女は手をワサワサ動かしながら、奇声を上げリスに飛びかかった。


「きゃぁぁぁぁぁぁ!! かわいすぎるぅぅぅぅ!!!」


「きゅ? きゅぅぅぅぅぅ!!!」


振り払おうとするリスの攻撃を華麗に避け、懐に飛び込み、撫で回す。

お腹をなでなで、背中に回って尻尾のフサフサを満喫──

30分後、ついにリスはピクピクと痙攣し、動かなくなった。


勝利アナウンスが流れ、ソフィアさんのテイミング成功。

こちらに歩いてきた彼女の頬はほんのり赤く、恍惚とした表情──思わず背筋がゾクッとした。


当然、討伐していないので素材はゲットできず。

リポップを待っていると、ソフィアさんが謝りに来る。


「すいません、あの子を見たら抑えられなくって……」


まぁ、そうだろうな。

とはいえ、敵の攻撃パターンはだいたい把握できたし、リスも戦力になったので問題ないだろう。


ちなみにテイムされたリスは、大きなリボン付きで超かわいくなっていた。

試しに撫でてみると、信じられないくらいの手触りだった。暴走する気持ち、わかる。


その後、リスポーンしたリスを2人と1匹で撃破し、無事に十分な素材をゲット。

刀の試し切りにもぴったりだった。


別れを告げ、領地の工房へ直行。

リスの皮をなめして裏地用に加工し、各パーツにカット。

今日の戦闘で得た改善点をもとに、新たな鎧の設計図を考える。


炉にダークミスリルを投入し、ハンマーで鍛え、皮を縫い付けて──ついに完成。


____________________________________

黒鬼鎧Ver1.2


DEF+97 MDEF+58


闇耐性(中)、衝撃耐性(小)


ダークミスリルで造られた鬼を模した異界の鎧。

高い闇属性値で同属性の攻撃威力を減少させる。

メルケムソーナの毛皮により、衝撃も緩和される。


品質5

____________________________________


黒く妖しく光る鬼武者鎧。

構造改善も上手くいき、裏地の手触りも完璧。わざわざ狩りに行った甲斐があった。ソフィアさんに感謝だ。


さて、次は領地選びだ。

今日は二つ目のフィールドに向かう。

ここは二番目に小さな草原で、アイビスと自領地の間に位置している。


道を整備したりしても面白いかもしれない。

まずは、どんな主がいるのか確認だ。


情報を調べればすぐわかるかもしれないが、できるだけ見ないようにしている。

自分で歩き、自分で探す──それが冒険だ。


草原を歩くこと1時間。

今回はやや駆け足で探索し、半分ほど見て回ったところで──

上空から何かが接近してきた。


巨大なワシだ。

……いや、最初は1mくらいかと思ったが、感覚が狂っていた。

近づくと、10m級の巨体だった。


旋回しながら風の刃を飛ばし、竜巻を起こしてくる。

何度か竜巻に巻き上げられ、上空へ吹き飛ばされたところを、猛スピードで突進してくるワシ。


ギリギリでかわし、ワシの足にしがみつく。

そのまま体をよじ登ろうとすると、振り落とそうと大暴れ。


死にたくないので、必死でしがみつきながらチャンスを狙う。


足を強く引っ張るとバランスを崩すことに気づき、地上近くまで誘導。

離れ際、お腹に刀を突き刺す──!


「キュィィィィ!!」


地上に降りたワシに追撃をかける。

【一閃】で片足の切断に成功すると、バランスを崩して地面に倒れ込んだ。


首元を狙い刀を振り下ろすが、切断には至らず。

その瞬間、ワシは再び飛び上がる。

──刀を首に刺したまま。


両手で刀を握り、引きつける。

首を徐々に切断しながら、ワシのHPを削る。


──だが、ワシも最後の力で急降下を始める。

巨大な岩に激突させる気だ!


「うおおおおお!」


≪属性付加≫で攻撃力を高め、全力で引き裂く。

時間が引き伸ばされたような感覚。

──バンジージャンプで体験したあの集中──


ギリギリで、ワシの首を切り落とす!


力尽きたワシは、そのまま落下。

慌てて地面に飛び降り、転がりながら岩にぶつかって止まる。


HPはギリギリ1割未満。

立ち上がり、消えゆくワシを見届ける──


勝った。


両手を突き上げ、叫び声とともに後ろに倒れた──


ゴンッ!


後頭部を岩にぶつけた音を聞いた瞬間、意識が暗転した。


目が覚めたのは、魔王の間の椅子の上だった。

どうやら後頭部を打ち、残りHPがゼロになってしまったらしい。


えっと、これ……条件クリア扱いになるのかな?


とりあえず、ワシの素材がアイテムボックスに入っていることを確認。

今日は疲れたので、このままログアウトすることにした。


____________________________________

ヨウ


装備スキル

≪魔王12≫ ≪属性付加50≫ ≪孤軍奮闘37≫ ≪武運7≫


控えスキル

≪中級採掘62≫ ≪中級鍛冶45≫ ≪初級革加工43≫ ≪福運15≫ ≪中級錬金術8≫

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YouTubeにて主題歌配信中「魔王様はじめました」
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