摂氏100度の火照り。
「.....っ」
「そーい...」
「...はい..」
「ほーい」
海道邸最上階、天井が透明な断熱板で日の光が入る開閉式の1レーンという一年中入れるプールにて、久留米は半ば夢遊状態でタワワなビーチボールを靡かせている紫髪の美人とビーチボールラリーを続けていた。
「あれ...あんまり楽しくない?水着きつい?」
「あ、いえ...その、12月に家で、それも青空の下プールに入ってる違和感がすごくて...」
紐で調整できる競泳水着にフリフリがついた有り合わせの水着が合ってなかったと思ったカレンであったが、久留米の言い分も尤もであった。
「はははははっ....環奈ちゃん面白いー」
「わっ...やりましたね....っ!」
カレンの目覚めの水掛けに頬を膨らませた彼女は水鉄砲で応戦した。
「っ.....ふぅ」
楽しんでくれて何よりと彼女らの様子をチラッと確認した彼は、嫌な金持ちっぽいサングラスをかけてプールサイドの整う用のベンチで寝そべっていた。
「ぁ...あの、海道くんは泳がないの?」
ストレッチを終えてパーカーっぽい中性的な水着を着た白木は申し訳なさそうにそう聞く。
「ん...俺は朝泳いだから」
サングラスを額にかけて、露出は少なくとも弾けている白木の水着姿をしっかりと見た彼はもう一度体を横にしてサングラスの位置を元に戻した。
「ふぅーん....そっか」
あんまり乗り気じゃない彼を前に白木は後ろ手に口先をとんがらせて、わかりやすく少し拗ねていた。
「!...サウナなら、今日はまだ...」
「う...うんっ、行こ行こ!」
彼と一緒ならどこでも良い白木は起き上がった彼の手を連れてジャグジー側のサウナへと向かった。
一回目は慣らしに短めにして5分くらいに済ませて、側のシャワーで汗を流して水風呂へと直行した。
「...っ..はぁ...冷えてて最高だね。」
「...あぁ...っ」
際どい吐息を横に込み上げてくる熱を頭ごと水風呂に沈めた。
「うわー水温9度!何周目ですか?」
「まだ一周目」
「ずるーい、私も入るー」
「全然スペースあるから、入っていいって」
備え付けの冷蔵庫から飲み物を取りに来たカレンたちが仲良く水風呂に入っている彼らに気づいて、久留米は中々見ない冷えた水風呂に驚き、カレンはよくわからん反応を示し、結局皆で入る形になった。
「っぅ...自動ろうりゅも最高ぉ...」
「うわ...これは効きますね」
おまけ程度でつけた二個目のサウナ施設であったが、品質はかなり好評であった。
「....スゥ」
「...うーん」
するとカレンがサウナに集中している清澄越しに白木の水着をじっくりと神妙な面持ちで見始めた。
「えっとぉ...どうかしました?」
「ん...やっぱり、初めに勧めた水着も見たかったなって」
「っ...!」
カレンがとんでもない事を呟くと、目を瞑りながらも海道くんの頭の中で数々のシュミレーションが稼働する。
「あぁ...えっとぉ....流石にその...すみません」
(どんだけ攻めてたんだ?!)
身を捩って口を抑えているであろう白木を確信しながら、目を瞑って集中している顔を崩さずにして海道くんはあらゆる可能性について想像を走らせる。
「あ、清澄ぃ。どんな水着か気になるぅ?」
「いいや(めっちゃ気になりますめっちゃ気になります。)」
15年の付き合いになるカレンは僅かに眉をぴくらせた海道にそう囁くが、彼は後悔を帯びた即答で返した。
「ふぅーん....そういえば、水着の感想まだ聞いてなかったから今、聞かせてよっ」
「むっ...」
カレンは腕を組んで集中していた彼の顔を両手でサンドイッチにして無理やりこっちに向けさせると、閉ざしていた目は火照ったカレンの顔から下へと引き摺り下ろされる。
「...あのぉ、私も聞きたいなぁ」
そして、久留米もひょこっとカレンの横から体を出して上目遣いで彼の涼しい顔を見上げる。
「....」
久留米の黒の競泳基調の水着に、包まれた黄金比の胸、そして健康的なくびれの下に日頃からの運動習慣を感じさせる筋肉のバランスの良い健脚というか真っ白い太もも。
カレンの方は、紫色の三角ビキニに添えられた不用意にいつも当ててくるバランスの良い胸、その下にバキバキに割れた腹筋にしなやかで柔軟な太ももと、短くとも確かに確認した彼の感想は誰にも予想できなかった。
「....機能的に問題ない。」
「....ぷっ..はははははっ、なにそれ」
「ま、まぁ...それはそうですけど...」
強いて絞り出した答えは間違いではないが、カレンは気に入ったようで久留米は釈然としていなかった。
「でも....な、なんか...サウナの中だと、よく目が合いますね。」
「!...気のせいだろ」
彼女らの反応を確認して今一度目を瞑ろうとするが、この一瞬で久留米が彼の違和感に気がついてしまった。
「ふふーん...清澄ぃ、おっぱいを見ないようにしてるのかなぁ?」
女性は見れらている場所を察知できるため、その辺の知識があった彼は首から上へ視線を固定するために彼女らの目を見ており、カレンはその意図を言い当てた。
「.....っ」
その発言に白木はどうしても生物学的に差が出てしまう胸元を自分と比べてしまう。
「無理してないか確認してた。って意図だよ。」
「っ...成程。」
「ぷぅー...本音だから余計気に入らなーい。環奈ちゃん、水風呂行こー」
浮気とかを疑われた時にしか働かない回路が機能し、彼女らを納得する答えが反射的に出て、久留米は彼の気遣いに絆され、カレンも彼の優しさにキュンキュンしながら彼女と共にサウナから出て汗を流しにシャワーへといってしまった。
「....ふぅ」
「あの....僕が勧められたのは....」
なんとか切り抜けた彼は一息ついていると、肩を白木にツンツンされその方を向くと白木は彼の耳元に顔を寄せる。
「...ハイネック水着だよ..もし..」
「っ....お先。」
最後のピースが埋まってイメージが完成し、沈めたはずの熱が湧き上がり彼は堪らず立ち上がってサウナから退却した。
ーーーーバタンっ
「.....もし、見たいなら後で...って、僕..何言おうとして」
ドアが閉まる音の後、一人になったサウナ室で白木は伝えきれなかった続きを呟き、サウナの熱とロウリュにやられて口走りそうなったことを自省していた。
日本国召喚獣管理省関東庁召喚獣総合事案即応科。リリースしました。




