表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虫から始める魔王道  作者: 稲生景


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/340

43話 東西大決戦

総合評価400を達成しました。

これからもよろしくお願いします。

 ――ランド大樹海、中央。

 一匹の魔物が、静かにその場に佇んでいた。東の森王である。


「……来たか」


 その言葉とほぼ同時、西の森からもう一匹の魔物が姿を現した。


「久しいな、西の森王よ。四ヶ月ぶりだったか?」

「……そんな下らんこと、覚えていない」

「クハハハ、相変わらずだな」

「……その傷、どうした」

「ん? これか?」


 東の森王は胸の傷跡に手を当てる。


「南の森王とやり合ってな。この傷はその時のものだ」

「南の森王……」

「ああ、あいつも面白い奴でな――」

「どうでもいい」


 西の森王は東の森王の話を遮ると、一歩前に出る。


「今やるべきことはただ一つ。貴様を食い、腹を満たすことだ」

「クハハハハハ! やはり食うことしか考えていないな! だが我を食らうことはできんぞ、なぜなら――」


 東の森王は大きく翅を広げ、両腕を掲げる。


「貴様は我に敗れるからだ!」

「戯言は腹の中で言うがいい!」


 その瞬間、西の森王が猛然と突進してきた――!


「この辺りに来るのは久しぶりだけど、あまり変わってないね」

「そうじゃのう」


 私はミミズさんと共に、大樹海の中央付近までやってきていた。


「もう少し進めば、私たちが出てきた穴があるはずだけど……」

「うむ。まあ、今は隠してしまったから正確な場所はわからんがのう」

「あの時、いきなりキラーマンティスとヘルスパイダーが殺し合いの真っ最中で、本当に危なかったよね」

「そうじゃったな。しかし! 今のお主なら、あの二匹を同時に相手しても勝てるじゃろう!」

「いやいや、さすがに二匹同時は無理だと思うよ……」

「何を言うか! それくらいできなければ、あのクルーザーを倒すことなど不可能じゃぞ!」

「それは分かってるけどさ……」

「魔王たる者、どんな敵にも臆さず立ち向かうものじゃ! 立派な魔王を目指すなら、度胸を鍛えい!」

「努力はするよ。……とりあえず今日は戻ろうか――ん?」

「どうした?」


 前方から、風を切る鋭い音が聞こえてきた。音は次第に近づき――


 目の前の木々が真っ二つに裂け、巨大な衝撃波が私たちを襲った!


「うわあっ!?」

「ぬおおお!?」


 私とミミズさんは、ギリギリでその衝撃を回避。風圧が木々をなぎ倒しながら、さらに奥へと突き進んでいく。


「あ、危なかった……ミミズさん、大丈夫?」

「なんとかのう……死ぬかと思ったわい……」

「それにしても今の……衝撃波? いや、あれは――斬撃?」

「むぅ……確かに、斬撃に近かったのう」

「この先に何かあるのかも……」

「考えても仕方ない、行ってみるぞ」


 私たちは、衝撃波――斬撃が飛んできた方向へと向かった。


 森を進んでいくと、次第に破壊音が聞こえてきた。


「この音……ただ事じゃないのう」

「ミミズさん、空から見よう。周囲の状況を確認しよう」

「うむ、それは良い考えじゃ」


 私はミミズさんを乗せて空を飛び、上空から周囲を見渡す。


「……! あれは!」


 視線の先、二匹の巨大な魔物が激しくぶつかり合っていた。

 一体は、私が以前戦ったあの東の森王。そしてもう一体――


 頭胸部と腹部が分かれ、体毛に覆われた巨体。八つの単眼、八本の脚。間違いない。


「オオツチグモ……!」


 オオツチグモとは、北アメリカ南西部から南アメリカ、熱帯アジア、地中海、アフリカ、ニューギニア、オーストラリアなどに分布する大型のクモ。通称タランチュラとして知られている。


 毒グモと恐れられているが、実際にはそれほど強い毒は持たない。


 私はその姿を見る。その体色――間違いない。ルブロンオオツチグモだ。

 南米の熱帯雨林に生息し、世界最大種として知られるこのクモは、大きいものでは体長20センチを超える。


 ……だが、今目の前にいる個体は、どう見ても桁が違う。見たところ、体長は3メートル半はある。


 私はオオツチグモに鑑定を使い、ステータスを確認した。






 ステータス

 名前:なし

 種族:ゴライアスバードイーター

 レベル:200/300

 ランク:A+

 属性:地

 称号:西の森王、大喰らい

 スキル:毛針

 エクストラスキル:岩の鋏角、岩の槍、鋼鉄の体毛

 ユニークスキル:熱死光線







 西の森王――


 そうか、こいつが西の森を支配する魔物なのか。

 そう思った瞬間、東の森王が攻撃を仕掛けた。


「《斬撃》!」


 西の森王は回避を試みたが間に合わず、腹部に斬撃が命中する。


「ぬうっ!」

「クハハハ! どうした、西の森王! 食い過ぎて動きが鈍ったか!」

「ほざけ! 《岩の槍》!」


 西の森王が前脚二本で地面を叩きつける。すると、大地が盛り上がり、鋭い槍の形を取る。


「喰らえっ!」


 その言葉と共に、岩の槍が東の森王めがけて射出された――!


「《大鎌鼬》ッ!!」


 東の森王が咆哮とともに振りかぶる。周囲に現れた巨大な風の刃が唸りを上げ、一直線に岩の槍へと放たれた!


 轟音とともに激突! 風と岩がぶつかり合い、轟々と爆ぜ、砕け散る!


「クハハハ! 《風の鎌》ッ!」


 東の森王の両の鎌が風を纏い、刃と化す。風圧で地面がえぐれ、草木がなぎ倒される!


「ぬぅぅぅううッ! 《岩の鋏角》ッ!!」


 西の森王の鋏角に、岩が次々と噴き上がるようにまとわりつく。硬質の巨牙となって煌めいた。


「はああああっ!!」

「ぬおおおおっ!!」


 二体が同時に跳びかかり、風の鎌と岩の鋏角が空中で激突!

 衝撃波が空を裂き、地を揺らし、二体は弾き飛ばされる!


「ぐおおおおおッ!?」

「ぬぅぅぅぅぅッ!?」


 東の森王は木々をなぎ倒しながら激突し、西の森王は地面に叩きつけられた!


「ク、クハハハ……やはり戦いは愉しいなぁ、西の森王よ……」

「この戦闘狂め……」

「はっ、貴様は喰うことしか考えておらんではないか!」

「それが悪いのかッ!」


 西の森王が立ち上がり、全身の体毛を逆立てる!


「《毛針》ッ!!」


 針のような体毛が一斉に飛び出し、東の森王を狙う!


「《暴風》ッ!!」


 だが東の森王の放つ暴風が毛針を弾き、地面へと落とす!


「クハハハハ! そんな小細工で我を倒せると思ったか?」

「……もういい」

「ぬ?」


「ちまちま技を出すのも面倒だ。次の一撃で貴様を葬る……!」


 西の森王の鋏角が開く。同時に口内に眩い光が集まり始めた。


「来るか……ならばこちらも最強を見せてやろう!」


 東の森王が天に両腕を掲げる。風が渦を巻き、体を中心に暴れ狂う!


「喰らうがいい――《死神の暴風刃》ッ!!」


 その一声とともに、振り下ろされた両腕!


 風が一点に集中し、次の瞬間――空に轟く、巨大な竜巻が生まれた!!


「う、うわあああああああっ!?」


 遠く離れていた私たちの方にも暴風が押し寄せ、身体ごと吹き飛ばされそうになる!


「ぬおおおおお!? 落ちるぅぅぅぅぅッ!!」


 ミミズさんが慌てて私の胸角にしがみついた!


 竜巻は木々を巻き込み、地鳴りを立てて西の森王へ迫る――!

 だが西の森王は動かない。なおも光を集め続ける――!


「充填完了……消え去れ! 《熱死光線》ッ!!」


 次の瞬間、口から放たれた極光が、真っすぐに竜巻を貫いた!


 天地が震える轟音と共に、大爆発が巻き起こった!!


「があああああああああああああッ!!」

「ぐおおおおおおおおおおおおッ!!」

「うわああああああああッ!!」

「ぬおおおおおおおおッ!!」


 東と西の森王が爆風に吹き飛ぶ!

 私たちも巻き込まれ、地面に激突した――!


「い、痛たたたた……ミミズさん、大丈夫?」

「な、何とか……のう……」


 ふらつきながら立ち上がり、空へ舞い上がって戦場を見下ろす。


 爆心地には巨大なクレーターが穿たれ、その両端に、満身創痍の森王たちが倒れていた。


「ク……クハハハハ……またもや、引き分けか……これで通算……200回目だな……」

「……フン。また貴様を喰い損ねたわ……」

「クハハハ! 喰われずに済んでよかったわ! また戦えるのだからな!」

「貴様と一緒にするな……」


 西の森王が立ち上がり、東の森王に背を向ける。


「もう戻るのか?」

「当然だ。戦闘狂と戯れている暇などない。……巣に戻って、飯にする」

「そうか、それは残念だな。次は――いつ戦う?」

「……六ヶ月後だ」


「クハハハハ! よかろう! 楽しみにしているぞッ!!」


 西の森王は森の奥へと去り、東の森王も反対方向へと消えていった。




 ――……えーっと、なにこれ?


 東と西の森王は仲が悪いって聞いてたけど……実際には、まるで“宿敵”と書いて“友”と読む関係じゃないの……?


「それにしても……すごい戦いだったね……」

「うむ、全くじゃ。だが、お主も立派な魔王を目指すのなら、あれくらいの戦いはできるようにならねばな」

「う、うん……が、頑張るよ!」


 私たちは再び空へ舞い上がり、巣へと帰っていった――。







「第16回・次回予告の道ーっ!!」

「というわけで、今回も始まりましたこのコーナー!」

「今回は西の森王の初登場だったね!」

「うむ。作者は最初から“タランチュラ”にすると決めておったが、どの種にするか最後まで迷っておったのう」

「で、最終的に“ルブロンオオツチグモ”になったと」

「そういうことじゃ。まあ、この話はさておき……次回予告といこうか!」

「次回は、私のしもべの一人が……なんと! 進化するよ!」

「一体誰が進化するのか? それは――次回のお楽しみじゃ!」

「というわけで、次回――『更なる忠義』!」

「お楽しみにっ!!」


 ※注意:このコーナーは作者の気まぐれで書かれているため、次回のサブタイトルが変更される可能性があります。ご了承ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ