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虫から始める魔王道  作者: 稲生景


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42話 我慢の限界

今回はオリーブ視点です。

「うぅ……」


 私は今、自室のベッドでふて寝しています。


 ヤタイズナさんたちがこの国を離れて、もう一ヶ月。

 ここしばらくはウィズからもらったカブトムシさんのぬいぐるみ(命名・ヤタイズナさん)を抱きしめて、なんとか我慢してきました。だけど、もう駄目……限界です。


「ヤタイズナさんに会いたいよぉ……」


 我慢の糸がぷつりと切れた。

 ヤタイズナさんに会いたい。どうしようもなく、会いたい。


 ヤタイズナさんと話したい。

 ヤタイズナさんに触れたい。

 ヤタイズナさんに――


 ああ、駄目だ。想いが溢れて止まらない。

 ヤタイズナさんのことばかり考えていると、扉がノックされた。


「お姉ちゃん! 私だよー!」


「……どうぞ」


 ウィズが扉を開けて部屋に入ってくる。


「お邪魔しまーす……って、どうしたのお姉ちゃん? ぜんぜん元気ないけど」

「うう……ウィズぅ!」


 私はベッドから起き上がり、ウィズに飛びついた。


「わ、わっ!? ど、どうしたのお姉ちゃんっ!?」

「ウィズぅ……ヤタイズナさんに、ヤタイズナさんに会いたいのぉ……」


 そう口にした瞬間、込み上げてきた気持ちが涙になってあふれてきた。


「お、お姉ちゃん!?」

「ぐすっ……あのね、ひっく……もう我慢できないの……ぐすっ……ヤタイズナさんに、会いたくて仕方ないのぉ……」


 駄目だ、涙が止まらない。

 ウィズが困ってるのに、泣き止まなきゃいけないのに――止まらないよぉ……


「う、うぅぅ……」

「お姉ちゃん、落ち着いて。ヤタイズナさんに会いたいんだよね?」

「ぐすっ……うん……」

「だったら任せて! 私がヤタイズナさんのところに行って、お姉ちゃんの元に戻ってきてってお願いしてくるよー!」

「ぐすっ……え?」

「もー、お姉ちゃん、そんなに会いたいならもっと早く言ってくれればよかったのにー。そしたら私、すぐに動いたのに!」

「だって……ウィズを困らせちゃうと思って……」

「何言ってるの! むしろ嬉しいよー! だって、お姉ちゃんが私を頼ってくれてるんだよー?」

「……本当?」

「本当だよー!」

「で、でも……これ以上、ウィズに迷惑をかけられないよ……」

「お姉ちゃん」

「な、なに……?」


「たしかに私はちょっと頼りないかもしれないけど――でもね、大好きなお姉ちゃんのためなら、なんだってできるんだから! だから……」


 ウィズが私をぎゅっと抱きしめる。


「もっと私を頼ってくれていいんだよ? お姉ちゃんが笑ってくれるだけで、私は幸せなんだから」

「ウィズ……」

「だから私に任せて! 絶対にヤタイズナさんにもう一度、お姉ちゃんに会ってもらえるようにするからー!」

「……ありがとう、ウィズ」

「お礼は、ヤタイズナさんを連れて帰ってきてからにしてよー!」

「ふふっ、そうね」

「よーし! さっそく準備してヤタイズナさんに会いに行くぞー! すぐ戻ってくるから、待っててね、お姉ちゃん!」


 ウィズはそのまま部屋を飛び出し、外へと走っていった。


「……本当に、ありがとう、ウィズ」


 私は窓の外を見上げる。


 ああ、ヤタイズナさん。

 大好きな貴方に、早く会いたいです。


 そして、もう一度、伝えたい。


 ――貴方のことが、大好きですと。







「第15回・次回予告の道―!」

「はい、今回はあの不届き者が主役だったわけじゃが……」

「オリーブ、あなたの気持ち、心に響きました」

「お、ついに気づいたか」

「そこまでカブトムシのことを好きでいてくれるなんて……私、感動の涙で前が見えませんよ!」

「……全然気づいておらん……」

「さて、それじゃあ次回予告を始めましょう!」

「次回は再び“奴”が現れるぞ!」

「奴って……まさか、オ・ケラ!?」

「いや、今回は奴ではない」

「それじゃあ一体誰なの?」

「それは次回のお楽しみじゃ! では、次回――『東西大決戦』!」

「「では、次回をお楽しみに!」」


 ※このコーナーは作者の思いつきで書かれているため、次回タイトルが変更される可能性があります。ご了承ください。

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