失われた大陸と研究員の性について
目覚めるとそこは雪国だった・・・。
という小説を読んだことがある。
気分はそんな感じだが、現実は少し違った・・・。
目覚めたらそこはジャングルのような深い森の中で、乗ってきたはずの船はどこにも見えない。
・・・船はおろか見渡す限りが森林しかないが。
人員は・・・仲間の研究員(女)生体兵器が2人。
彼女はその特徴的な瓶底眼鏡で周囲をキョロキョロと見渡しており、生体兵器はといえば俺たちの周囲を哨戒しているのか、結構離れている。
他の連中はどうしたのだろうか・・・?
とにかく呆けている場合ではなさそうだ。
彼女に声をかけて武装を確認すると特に不具合はなさそうだ。
銃弾はあまりないが生体兵器が持ち運んでいた弾薬入れにおよそ1000発。
何らかの改造を施した武装らしいが俺にはよく分からないので、彼女に聞いてみると・・・
「このハンドガンはこのスリットから空気を取り入れて圧縮、開放ができる。
文字通り空気銃だな。動力は生体電気だからエネルギー切れは心配不要だ・・・だが実験段階の機構
でもあるから過信はするなよ。あと当然実弾より遥に威力は弱いから注意しろ」
と、教えてくれた。
じゃあ弾薬は500発ずつで大丈夫か。
生体兵器の2人はエネルギー銃を持っているし問題はないだろう。
どうせなら俺達の武装もそちらにして欲しいところだったが、実用されている武器は護衛の分しか用意が出来なかったのだろう。
とにかく、みんなと合流する事と食料の確保が重要だろう。
俺はポケットから方位磁針を取り出して確認してみたが・・・おかしい。
針がグルグル回って定まらない。
地場が狂っているのか?
彼女の方位磁針も同じなようだし、間違いはないだろう。
なら太陽を目印にするしかないな。
こんなところであちらの世界の知識が生きてくるとは、何があるか分からないものだな。
俺達は慎重に移動することにした。
太陽の位置は中天よりもやや下がっている。
現時点では俺の知識じゃあどちらが西かは判断出来ないな・・・。
それよりも足場の安定しない森の移動は疲労度が高い。
ましてや俺や生体兵器はともかく彼女は体力面では劣るし、森なんて慣れてもいないだろう。
ここはより慎重に1時間毎に休憩を挟むことにした。
これがどれだけの効果をもたらすかは俺には判断できないが、多少の披露軽減にはなるだろう。
昼は携帯食料と、水筒の水を飲んで凌ぐ。
満腹感は全くないが、ここが安全とは言い切れない以上は警戒感の薄れやすい満腹状態は避けるべきだ。
できれば町か村に辿り着きたいが、あまり期待は出来ない。
せめて森が開けた処には出ておきたいし・・・。
そこなら焚き火も出きるしテントも張れるスペースが確保できる。
交代しながらならある程度の質を確保して睡眠も取れそうだ。
結局お望みの条件の広場に到着出来たのはとっぷりと日が暮れてからの事だった。
主に彼女があちこちで植物やら動物やらを調べようとした為だ。
じっとりとした目で彼女を見つめているとさすがに言い訳を始めたが・・・これが研究員の業と言う奴か。
調べずにはいられない・・そんな研究員の性を見せつけられた一日だった。




