きょうきょうきょうきょう二話没案
この作品はAIを使用しています。ストーリーの構成と下書きは自分でやっていますが、読みやすい文章にしてもらうためにAIを使用しております。ほとんどの文章力はAIのものです。ご了承ください。
「……給料、出ます?」
その瞬間。
洞窟の空気が死んだ。
パチッ、と松明が爆ぜる音だけが妙に大きく響く。
盗賊たちが一斉にレイを見た。ヒイロを見る。もう一度レイを見る。そしてボスを見る。
まるで「今なんつったコイツ?」と確認するように。
「あはは。なーんちゃって」
ニヤリと笑ったレイは、ヒイロの縄を瞬時に解き、アジトの中へ勢いよく突き飛ばした。
同時にポケットから謎のカプセルを取り出し、地面に叩きつける。
たちまち、白い煙が周囲を覆った。
「なっ、煙幕!?」
「作戦開始だ!!」
レイが大声で叫ぶ。
「りょうか――あ! 俺もこれ何も見えねぇじゃん!!! まあいいか!!」
「散開しろ!!」
「音を聞け!」
「出口を塞げ!!」
盗賊たちが一斉に動き出す。
(財宝のありかは……)
レイは敵を殺さない程度にナイフを振るいながら思考を巡らせる。
「うおおおおおおお!!」
何も見えていないはずのヒイロは、とりあえず人の気配が多い場所へ突進していった。
その時、洞窟の奥から冷たい海風が吹き込んだ。
「海の近くで俺たちに勝てると思ったか? 俺の固有魔法――『潮流』!」
ゴォォォォ!!
洞窟の奥から大量の海水がうねりを上げて押し寄せてきた。潮流使い自身は、岩場に必死にしがみつきながら激流をコントロールしている。
「この海そのものが、俺の武器だ!」
激流が洞窟を駆け抜けた。
「うわぁぁぁ!?」
二人の体は容赦なく濁流に飲み込まれ、壁へ叩きつけられる。レイのナイフも水流に弾き飛ばされた。容赦なく押し寄せる海水が、ヒイロとレイの口と鼻を塞ぐ。
「――――!!」
(海水!!)
水圧に耐えながら、
レイは入口近くにある、激しく錆びた扉を見た。
「ぐぇぇぇぇええ!! しょっぺぇ!! まずっ!!!」
無理やり水面から顔を出したヒイロが叫び出した。
「なっ!?」
「飲み込むんじゃなかった……喉が痛ぇ……!」
敵がヒイロの奇行に気を取られた一瞬の隙。レイは手元に残っていた予備のナイフを、潮流使いの喉元へ投げつけた。
「チッ!」
潮流使いが咄嗟に首を引く。
一瞬だけ集中が途切れ、口元を覆う海水の動きが止まった。レイは必死に酸素を取り込んで、天井近くにあるもう一つの鉄の扉を睨みつけた。
(……あっちは、錆びていない!)
「おいヒイロ!! 財宝は上にある!!!」
「上ぇ!? ここ洞窟だぞ!? 上とかあんのか??」
「ある!! 行け!!」
「え、今!? こいつら全員ぶっ倒してから行けばいいじゃんか?」
「ダメだ!」レイは叫ぶ。「ここで時間をかけたら、他の奴らが財宝を持って逃げる!」
「……あ」
「お前は強い。でも脳筋だ!!」
「急に悪口!?」
「褒めてんだよ!!」
「絶対違う!!」
「いいから行け!! 上の宝を確保しろ!」
「お、おう!」
ヒイロは勢いよく壁へ向かって走り出した。
「待て!! 行かせるな!!」
盗賊たちが一斉に武器を構える。
しかし――。
ドゴォォン!!
ヒイロは垂直な壁を蹴り、岩肌に足跡を残しながら、重力を無視して天井へ駆け上がっていった。
「な……人間の動きじゃねぇ……」
盗賊たちは言葉を失い、天井へと消えていったヒイロの後ろ姿を呆然と見上げる。だが、すぐに潮流使いの男が冷酷な笑みを取り戻し、視線を下へと戻した。
「チッ……あの馬鹿は上に任せる。それよりお前だ、クソガキ」
潮流使いが不敵に笑い、せり上がる水流に手を突っ込んだ。
「ウォーターカッター!」
放たれたのは、岩をも容易く切り裂く高圧水流の刃。
「おっとォ!?」
レイは地を幾度も這うような前転で、間一髪これを躱す。レイがさっきまでいた地面には、深い斬撃の跡が刻まれていた。
「下っ端にしては芸達者じゃねぇか!」
「喋る余裕があるなら、いつまで持つか試してやる!」
潮流使いが次々と腕を振るい、機関銃のように水弾を連射する。武器のないレイは、洞窟のうねる岩影に滑り込みながら、弾幕を翻弄していく。
水弾が右頬を掠め、血が飛ぶ。後ろの岩柱が真っ二つに裂ける。
「ヒェッ」
「死ねぇ、クソガキが!」
そこに、しびれを切らした大勢の盗賊たちが一斉に斬りかかった。完全に退路を断たれたかに見えたその瞬間、レイの口元がニヤリと歪む。
「ほいっと」
レイは正面から迫る刀の峰に、自らの手のひらを添えてふわりと跳んだ。合気道のように相手の突進する力を利用し、その盗賊の背中を優しく押し出す。
「うわっ!?」
「邪魔だ退けぇ!」
バランスを崩して前へ飛び出した盗賊の胸に、潮流使いの放った水弾が直撃する。「ぶふぉっ!?」と声を上げて崩れ落ちる仲間。
「チッ、役立たず共め!」
潮流使いの顔に、明確な苛立ちの影が差す。その様子を見ながら、レイはジリジリと後退していた。
「チョロチョロとネズミめ……!」
潮流使いの苛立ちが頂点に達する。彼は不意に、魔法の焦点をレイの足元へと絞った。
「――『沈め』」
ゴォォォォ!!
その瞬間、レイの足元から岩肌を噛み砕くような轟音が響いた。洞窟の床から湧き上がるように発生したのは、巨大な渦潮。レイは瞬時にその中心へと引き込まれ、激しい水流に翻弄される。
「うわっ、と! ……チッ、動けねぇ!」
脱出しようと足を掻くレイだが、渦の吸引力は凄まじく、身動きが取れない。
潮流使いは勝ち誇ったように笑った。
「これで逃げられまい。王道の拘束、圧殺……舞台ごと死ねぇ!」
潮流使いは両腕を天高く掲げた。洞窟の奥から、今度こそ逃げ場のない大津波が膨れ上がる。
レイが後退する足を止めると、背中に冷たい感触が伝わった。振り返ればそこは――長年、潮風に晒されてボロボロになった、あの錆びた扉。完璧な行き止まりだった。
「チェックメイトだ! 『潮流』――!!」
大砲のような激流が津波となってレイへ押し寄せる。一本道の洞窟。盗賊たちは今度こそ勝利を確信した。
(かかったな……!)
レイは、その錆びた扉の直前で、思い切り横の岩肌へと跳んだ。岩の出っ張りを掴み、そのまま懸垂の要領で天井付近へ身を引き上げる。
ドゴォォォォン!!!
レイがいた場所に激流が直撃する。しかし、その威力をまともに食らったのは、長年の塩害で限界を迎えていた錆びた扉だった。
衝撃で扉が完全に吹き飛ぶ。その瞬間、海へとつながる崖が完全に開放された。
「な、に……!?」
扉が壊れたことで、洞窟内に溜まっていた大量の海水が、決壊したダムのように外へと一気に流れ出し始めたのだ。
「うわあああ!? 流される!!」
「止めてくれ! 戻せ!!」
「クソ……! 足場が……!」
潮流使いは必死に腕を振るうが、足を踏ん張る地面はすでに激流に削られ、体勢は崩壊している。
「馬鹿な……! 俺の水が……!」
「あいにくだな」
天井の岩場にぶら下がっていたレイが、不敵に笑った。
「どれだけ大量の水を操れても、足元がウォータースライダーになっちまったら踏ん張れないだろ? ――潮時だよ」
「しまっ――うわあああああ!!!」
潮流使いと盗賊たちは、自分たちが生み出した激流の引き波に巻き込まれ、悲鳴を上げながら真っ逆さまに下の海へと流されていった。
静まり返る洞窟。
「安心しなー! 下に岩棚があるから死にはしないよー!!……あ、聞こえてないか」
レイはすとんと地面に着地し、落ちていたナイフを拾って息を吐く。
「ふぅ……。やっぱり、物件のメンテナンスをケチるアジトはダメだな。さて、上は……」
ドガァァァァン!!!
一方その頃、天井の鉄の扉が強烈な音を立てて派手にぶち破られた。突っ込んできたのは、ヒイロの頭突きだ。
「とうッ!」
着地した場所は、きらびやかな金銀財宝が積まれた財宝庫。
「チッ、下が騒がしいな……」
そこには、大きな袋に財宝を詰め込んで逃げようとしていた、大柄な盗賊のボスがいた。
「よっす!こんにちは!!!」
「………!!」
相対するヒイロとボス。
「とりあえず、そのお宝くれたりしない?」
「お前は……あの重圧の中動いたとか言うやつか」
ボスはお宝の前に立ち塞がり、腕を前に出す。
「果たして、この攻撃にも立ち上がれるかな? 『有獄鎖』!!」
ジャラリ……
現れたのは、まるで生き物のように脈打つ黒い鎖。
「うおっ、なんか生き物みたいで気持ち悪ぃ鎖!」
ヒイロは顔をしかめながらも、一切躊躇することなく地面を蹴った。凄まじい踏み込みに、頑丈な石造りの床が蜘蛛の巣状にひび割れる。一瞬でボスの懐へと肉薄し、その大振りの右拳を容赦なく叩き込んだ。
「これでもくらえぇぇ!!」
大砲のごとき一撃。しかし、ボスの前に突き出された黒い鎖が、まるで意思を持つ蛇のようにうねり、ヒイロの拳を正面から絡め取った。
バキィィィン!!!
激しい衝撃音が響き渡る。だが、砕け散ったのは鎖ではなく、ヒイロの突進の勢いだった。
「……え?」
ヒイロの動きがピタリと止まる。
拳は鎖にガッチリと掴まれたままだ。それだけではない。鎖と接触した右拳から、じわじわと奇妙な感覚が広がってくる。まるで、自分の腕が自分のものではなくなっていくような、恐ろしい感覚。
「がははは! 無駄だ! この『有獄鎖』に捕らえられたものは、その肉体の『所有権』を俺に奪われる! 貴様のその自慢の怪力も、今は俺の管理下だ!」
「な、に……くそっ、離せぇ!」
ヒイロは左拳で鎖を引きちぎろうとしたが、その左腕もまた、別の鎖によって瞬時に巻き付かれ、動きを封じられた。引っ張れば引っ張るほど、黒い鎖は生き物のように皮膚へ食い込み、ヒイロの体から「力」そのものを吸い上げていく。
「う、動かねぇ……!? なんだこれ、体がめちゃくちゃ重い……!」
全身の筋肉から命令が拒否されているかのように、指一本動かすのにも凄まじい労力がかかる。
「終わりだ、小僧」
ボスは容赦なく、身動きの取れないヒイロの腹部に向けて、丸太のような太い脚で強烈な前蹴りを叩き込んだ。
ドゴォッ!!!
「がはっ……!?」
防御の踏ん張りすら効かないヒイロの体は、そのまま後方の壁へと激しく吹き飛ばされ、金貨の山に突っ込んだ。
(力が入らない……!)
「ほう、まだ意識があるか。なら、これで完全に終わりにしてやる」
ボスがゆっくりと歩み寄ってくる。その手には、鎖が集まって形成された、禍々しい巨大な鉄槌が握られていた。
振り上げられる影が、床に倒れ伏すヒイロを完全に覆い隠す。
ドゴッ!
振り下ろされた鉄槌がヒイロの額をかすめ、激しい衝撃とともに血が流れ出した。視界が赤く染まる。
「…………っ!」
しかし、その奥にあるギラギラとした燃えるような陽色の瞳が、一瞬だけ敵を怯ませた。
ヒイロの脳裏に、ほんの数時間前の記憶がよみがえる――。
『なぁ、ヒイロ。提案がある』
レイは真っ直ぐとこちらを見て言った。
『ん?』
『お前の力を、オレのために使え』
『……?』
『もちろんタダじゃない』
そう言って、レイは拳を前に突き出した。カバンの口から、割れた鏡の欠片がちらりと覗く。夕陽を反射したその光は、まるで何かを企んでいるみたいに妖しく瞬いた。
レイの口元がわずかに吊り上がる。
『一生食い物に困らないようにしてやる』
――たった数時間前に出会っただけの関係。
俺たちは何も知らない。お互いのことを。
でも、それでも。
「お前の力を、オレのために使え」
約束は、果たさなくっちゃなぁ!
飯を食わせてもらった恩もあるしな!
ぼーっとする、視界が赤い。
だからなんだ!
今動かせないのは、鎖のかかった右腕と左腕。まだ足は動く。なけなしの力で立ちあがろうとするが、
「おおっとさせないぜ?」
ボスは容赦なく、ヒイロの右足をも鎖で絡めとった。ヒイロはまたバランスを崩し、どさりと尻餅をつく。
「まだ動けたか……しぶといな」
(攻撃の瞬間……間がある。鎖を絡めさせるための、一瞬の間が!)
残ったのは、左足一本。
「俺さぁ……バカだから……よく言われるんだよね」
ボスが左足にトドメの鎖を絡めさせようと、腕を振るった。
その瞬間、ヒイロは残った左足にありったけの力を込め、床を爆発させて前へと飛び出した。
正面から迫る黒い鎖。ヒイロはあえてそれを避けず、激痛を無視して腹筋に力を入れ、体を限界までしならせる。
狙いは足じゃない。最初からこれ一点。
「頭ぁ使えって!!」
唯一自由な、己の「頭」――!
ガチィンッッ!!!
ボスの顔面に強烈な頭突きが直撃し、その視界が真っ白に弾け飛んだ。
動かなくなったボスを横目に
「や、やったか?」
ふらりと倒れ込むヒイロ。
そしてそのまま意識を失ってしまう。
「……ククク。甘いな」
ボスは血を垂らしながら立ち上がる。
「最後まで詰めが甘い。だからガキなのだ」
巨大な岩を持ち上げる。
意識を失ったヒイロに影が落ちる。
そして――
ピシュッ
「……?」
何かが、ボスの首筋に刺さった。
「な、に……?」
「お前がな」
声が響く。
壊れた床の穴の下。
そこにいたのは――
「ちゃんと部下のことも気にしないとね」
吹き矢を構えたレイだった。
ザ王道で本当この話好きなんだけどレイとヒイロの関係値がお互い初対面の信頼度じゃなさすぎたので泣く泣く没。読んでくれた人は本当にありがとう。




