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39話「頂上に至る者達」

SCARLET39:頂上に至る者達


・そういえば忘れていた男がいた。

「まさか2回戦の相手はお前とはな。」

「相変わらず相手のことを見ない奴だな。」

斎藤新。俺のクラスメイトにて中学時代3年間のライバルであり

そしてこの2回戦の相手。

周囲のギャラリーもまた一段といやがる。

マスターホワイトや馬場雷龍寺までいる。ご丁寧なことだ。

「では!選手は前へ!正面に礼!お互いに礼!構えて・はじめっ!!」

号令がかかる。そして同時に俺の拳とあいつの膝蹴りが命中する。

この前のあの少女程攻撃的ではないがしかし間違いなく脅威的ではある。

・・・あの少女の膝に対処できたのもこいつのおかげかも知れない。

けど今はそれより・・・!

斎藤はその長い脚を存分に生かした足技を無遠慮に放ってくる。

足技の技量や速度は赤羽を遥かに凌駕しているのはさすがというべきか。

俺の足運びや動作も見慣れているからか戦いづらいことこの上ない。

しかし、それが苦戦していい理由にはならない。

この1年間・・・実質半年位だが足が使えなかった分

腕の鍛錬は絶やしていなかった。

俺自身が赤羽や久遠と言った後輩に出会えたおかげで

新しい技や戦術の発想が出来た。

人生我以外皆師とはよく言ったものだ。

「・・・ん、」

斎藤の動きが止まる。

何故なら俺が集中して制空圏を形成したからだ。

完全に攻撃を止めて集中すれば久遠の精度に匹敵する。

・・・それでも防御だけしか肩を並べられないがな。

俺の陣地と斎藤の陣地を囲碁の対局のように頭の中で立体化して

敵味方全ての攻防の隙を見切り次に行われるであろう動作を予測、

そして見つけたどうしようもない隙間に拳を放つ。

「っ!」

矢のように鋭く速く放たれた拳が斎藤の右下腹に命中する。

同時に熱を超速度で送り込む。

「送熱か・・・!」

斎藤が熱から逃げるために俺の手を払うと

同時に全く同じ場所に拳を叩き込む。

当然それもまた払われるがそれでもまた同じ場所を殴る。

まるで囲碁で言うコウのように無限に連続してダメージを稼いでいく。

これから逃げるためには横に飛ぶしかない。

そして思ったように斎藤が右に飛ぶと同時に拳を放つ。

サイドステップ時に無防備な胸を晒すと計算した空の位置に、

まだ斎藤の体が移動仕切っていない状態の空に拳を放つ。

「せっ!!」

「ぐふっ!!」

予想通り体重が両足に戻っていない宙に浮かんでいる状態の斎藤の

無防備となっていた鳩尾に丁度俺の拳が突き刺さり、

60キロ以上はあるであろう斎藤の体を隣のコートまで吹っ飛ばす。

「おわっ!?」

丁度対戦していた二人の足元に斎藤が転び倒れる。

「・・・少しやりすぎたか。」

見たところ斎藤も気絶しているようだ。

「・・・本当に男の人に容赦ないよねあの人。」

「・・・確かあの人学校のクラスメイトだったはずでは?」

何だか教え子二人の渇いた言葉が聞こえる。

「そ、そこまでっ!勝者・甲斐廉!」

やや遅れて審判の声が響き無事勝利をもらった。

それから空きのペットボトルに水を汲み斎藤の顔にぶっかける。

「ぶぱっ!!」

「よう、起きたか?」

「お、お前、もう少しクラスメイトに対して遠慮ってものを・・・」

「これくらい慣れっこだろう?」

「・・・全く相変わらず男相手に容赦しない奴だな。」

「間違えるなよ、女の子相手でも向かってくるから容赦はしない。」

「・・・そう言えば私も最初の稽古でありながら

何回か気絶させられましたね。」

「うわ、ひどっ!」

「・・・・・。」

この場に俺の味方はいないのか?

「・・・!」

その時だった。条件反射で俺は身構えた。

そのすぐ後に斎藤も立ち上がって身構える。

何故ならマスターホワイトが殺気を帯びたまま

こちらに向かってきていたからだ。

まさか、ここでやろうっていうのか・・・!?

「やめてください。」

と、赤羽が奴の前に向かった。

「あ、赤羽!!」

「マスターホワイト。試合に出るために調整されたあなたが

試合外で誰かを襲えるように出来ているとは思えません。

襲ってしまえばあなたのAIは自己矛盾により損傷しますよ。」

「・・・・・・・・・」

やがて奴の進行が止まり踵を返して去っていった。

な、何だったんだ今のは・・・。

「・・・すみません。」

「・・・構わないがもしかして君はまだ・・・」

「・・・・・少し席を外します。3回戦までには戻ってくるので。」

目を合わせないまま彼女は俺の横を通り過ぎていった。

「・・・甲斐、こいつは・・・」

「・・・今は放っておこう。」

「ね、ねえ死神さん。一体どういうこと・・・!?」

「・・・赤羽はまだ三船と接触しているかもしれない。」

彼女のことだから大丈夫だとは思うが・・・。

「・・・私、見てこようか?」

「・・・いや、いい。大丈夫だろう。」

後方で今の会話を見ていたスタッフが2名いなくなっていた。

きっと後をつけて行ったのだろう。

ならば問題にはならないはずだ。

「・・・ん、」

コートを見る。俺と斎藤がさっき戦っていたコートでは

馬場雷龍寺と毒島が並んでいた。

どうやらあのふたりの試合らしい。

どっちも正統派で実力者だ。

俺達を囲んでいたギャラリーもほとんど

数を減らすことなくそのまま見物を続けている。

「では、はじめっ!!」

号令がかかり両者制空圏を形成しながら接近する。

久遠ほどの精度はないがしかしそれはフットワークを軽くするために

わざとしているように見える。

そして互いの陣形がぶつかり合うと間隙を探りあいながら

手数よりもスピードを意識した攻撃を重ねていく。

毒島の方が足が長いからかやや雷龍寺の届かない距離から蹴りを襲わせる。

しかし当然奴もそれに気付いているからかむしろ打たせて隙を窺っている。

毒島の廻し蹴りが雷龍寺の腰に命中するとすぐさま距離を詰めて

間隙に次々と攻撃を放っていく。

毒島も後手ではあるものの防御に勤しむが

攻撃の質は雷龍寺の方が圧倒的に上だった。

朱雀ほどではないがフェイントや変調がごく自然に加わっていて

それでいて朱雀のように足を止める必要がないためか

毒島の防御を完全に上回っている。

無理に応対しようとすれば生じた隙に重い一撃が叩き込まれる。

互いにパワー、スピード、手数どれも一線級でありながら

しかし偏ることなく正面から或いは側面から攻撃を放っていく。

「・・・くっ、」

派手さはないがそれ故に厄介な動きだ。

そしてそれだけでトップエースまで上り詰めた馬場雷龍寺の強さは本物だ。

最初の方はまだ互角そうに見えたこの試合も

1分を越えたあたりから徐々に傾いてきていた。

そして2分を過ぎ残り30秒を切ったあたりでは

もう完全に雷龍寺のペースになっている。

基礎能力では毒島は赤羽や久遠よりも上で

恐らく遠山よりも一枚上手だろう。

だが、その毒島でさえこのザマだ。

里桜が勝てないのも無理はないだろうな。

「そこまで!」

第一ラウンドが終わり結果は引き分けとなったが

それは決着の判定を急ぎすぎないための便宜的な措置に過ぎない。

実際は毒島はもうボロボロだった。

第一ラウンドの2分30秒を持ちこたえるだけで限界のようだった。

これではもう第二ラウンドは消耗戦のようなもの。

実際それから30秒ほどで毒島は体力が限界に達してしまい

試合中に倒れて気絶してしまった。

「・・・・・。」

「死神さん、どう?ライ君に勝てそう?」

「・・・厳しいだろうな。俺を10とすれば毒島は7か8程度。

だが馬場雷龍寺は12か13はあるだろうな。」

「・・・ちなみに私は?」

「制空圏を除けば3か4くらいだろう。

制空圏あるなら5か6か。」

「・・・きびしー。」

「小学生で俺の相手になれるっていう時点で十分すぎるんだがな。」

「美咲ちゃんは?」

「・・・4か5だな。」

飽くまでも相性は無視しているから

一概にはこれだけで勝敗が分かるわけではないが。

・・・馬場雷龍寺とは番号が近い。

このまま勝ち進めれば直ぐに当たるか或いは

最後らへんに当たることになるだろうな。

・・・出来れば一番消耗しているその日のラストである

4回戦と8回戦には当たりたくないな。

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