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22話「嵐の火種」

SCARLET22:嵐の火種


・4月18日。月曜日。

新しい学年での生活もだいぶ慣れてきた日頃。

一昨日は久遠が清武会に参加した。

交流試合から自分なりに努力を重ねたのか

初参加にして優勝を収めた。

さすがに制空圏は何度も破られたがそれでも十分にすごい。

これでもうすでに清武会の次のランクの大会である

カルビ大会への参加が認められた。

カルビ大会は6の倍数月にあるから再来月にはもうカルビだ。

けど久遠はその大会には出ずにもう一度8月の清武会に参加してから

12月のカルビ大会に出るらしい。

一方、赤羽はやはり病み上がりということもあり

今回は清武会には参加しなかった。

そして6月の交流試合に参加した後8月の清武会に参加する。

「ねえ、思うんだけどさ。」道場。

あれから通うことになった久遠が口を開く。

「死神さんのその足って治らないの?」

「久遠、失礼です。」

「だって少なくとも私が知ってる中じゃ一度も手術してないじゃん。」

「しかし、」

「気にするな、赤羽。

久遠、この足は一度の手術で治せないほど複雑に壊れているんだ。

だから月2のペースで少しずつ治療を受けている。

・・・まあそれでもいつ治るかはわからないんだがな。」

「美咲ちゃんのは2週間で治ったのに?」

「まあ、壊され方が違ったしな。」

久遠にはまだ三船のことは知らせていない。

言うと本人は怒るだろうが久遠を巻き込みたくはない。

「さて、赤羽、久遠。今日の稽古を始めるぞ。」

「了解です。」

「はーい。」

二人が返事した時だった。

いきなりドアが開いて外から一人の少女が突撃したのは。

「れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇんくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!!!!!!」

「え?おわっ!!!」

いきなりタックルをかませられてそのまま後ろに倒れる。

「か、甲斐さん!?」

「うわっ!い、いきなりなんなの!?」

驚く二人。けどそれ以上に俺の方が驚いていた。

「・・・・いてて。・・・・・って!!!」

「はろはろー!会いたかったよ、廉君。」

やっとそこで奇襲を仕掛けてきた犯人の顔を見れた。

「き、キーちゃん!?」

目の前にいたのはまぎれもないあの子だった。

「どうしてここに・・・・!?」

「あれ?連絡してなかったっけ?僕今日帰国したんだよ。」

「あの・・・・・甲斐さん。そちらの方は?」

「・・・・・もしかして、」

「あ、ああ。この子は、」

えっと、通称はなんだったっけ?

「僕の名前は甲斐三咲って呼んでくれていいよ。

この通り廉君からはキーちゃんって呼ばれてるけど。」

「・・・・甲斐・・・・三咲・・・・」

赤羽がまじまじとキーちゃんの方を見る。

「あの、死神さん。同じ苗字ってことはもしかして・・・・。」

「ん、ああ。その、なんだ・・・・。」

「僕と廉君は恋人だよ。ところで君たち誰?」

あっけらかんと告げてしまったキーちゃん。

いや、まあ間違ってはいないけれど・・・・。

とりあえずキーちゃんに二人のことを紹介する。

「へえ、赤羽ちゃんと久遠ちゃんか。廉君のお弟子さんってわけだね。」

「私は違うけどね。ところでさっきの君の発言からして

甲斐三咲ってのは本名じゃないみたいだけど?」

「うん。本名じゃないよ。けどこの名前でいいじゃない。」

「・・・・。」

赤羽が複雑そうな目でキーちゃんを見ている。

そういえば、下の名前が同じか。

そして俺のことを名字で呼んでいるから

キーちゃんを何と呼べばいいのかわからないって感じか。

「まあ、久遠ちゃん。

僕の名前なんて気にしなくていいからキーちゃんって呼んでよ。」

「・・・・今わかったけど君、私と似たようなキャラだよね。」

・・・確かに久遠とキーちゃんは性格的に似ているところがあるな。

でもまあとりあえず。

「キーちゃん、」

「なに?」

「これから稽古始めたいんだけど・・・・。」

現状を注意するところから始めよう。


・いつも通りの稽古を終えた。

ただいつもと違うのは一人多いことだ。

とりあえず稽古が終わり、赤羽と久遠がシャワーを浴びている間に

1月から起きたことをキーちゃんに話した。

「そう・・・・右足が。」

「ああ。まあもう慣れたから大丈夫だよ。

それよりキーちゃんはアメリカ留学の方はどうだったの?」

「うん。なかなか楽しかったよ。

本当は廉君を連れてまた行こうと思ってたんだけど

その足じゃ難しそうだね。」

「・・・・・ごめん。」

「ううん。いいよ。僕は一緒にいれればそれでいいから。」

「そういうムードは二人きりの時にやってくれないかな?」

そこへ久遠と赤羽が更衣室から出てきた。

「二人とも、今日はすまなかったな。稽古時間が削れてしまって。」

「いえ、私は構いません。」

「相変わらず稽古内容は厳しかったしね。」

久遠がくたびれた様子を見せる。

それから一息ついて4人で道場を出る。

「ところでキーちゃんはどこに住むことにするんだい?」

「そりゃ廉君の家だよ。ほかに誰もいないんでしょ?」

「あれ?死神さんって一人暮らしだったの?」

「・・・・まあな。」

「ねえ、赤羽ちゃん。」

「私ですか?」

「君以外に赤羽ちゃんはいないでしょ?

廉君から聞いたけど赤羽ちゃんもひとりだったよね。

もしよかったら3人で暮らさない?」

「き、キーちゃん!?」

「・・・・いえ。お邪魔でしょうから遠慮しておきます。」

「そりゃそうだよ、

ラブラブカップルと同居しろなんて中々な罰ゲームだよ?」

久遠があきれた表情でキーちゃんを見る。

・・・・このあたりは久遠の方が上か。

「ねえ、キーちゃんって歳いくつ?

今までどこに住んでたの?死神さんとはどこまで行ったの?」

おい久遠。せっかくほめたのにすぐそれか。

「えへへ。全部ひ・み・つ。」

「む~。じゃ、死神さん。」

「ん?」

「今の質問全部答えて。」

「え!?俺が!?」

いやまあ、全部知ってるけどさ。

「・・・・・・・廉君?」

この笑顔の威圧感が怖すぎる。

「じゃあさ、今何か月?」

「おい小学生。その辺にしとけよ。」

ここでちゃんと釘を刺しておこう。

どっちの意味で聞いたのかわからんが。

「では、私たちはここで。」

「じゃーねー、死鍵さんカップル。」

誰が死鍵しにかぎさんカップルだ。上手いネーミングだけど。

「あの子たち、いい子だよね。」

「まあね。」

「・・・・不倫とかしてた?」

「まさか。」

・・・・赤羽に関しては何度かヌードを拝ませてもらっているけど不倫ではない。はず。

「ん?」

家の前。高級そうな車が止まっていた。

連盟のスタッフか?けど俺に用事だったら道場に来た方が速い気もするが。

「これってあの会社の車じゃない?」

「あの会社?」

「そう。医療メーカーの甲斐機関。」

「・・・・・。」

嫌な予感がしてきた。

よく見れば家の中の電気もついている。

少し足早に家の中に入る。

「・・・・遅かったな。」

「何勝手に上がりこんで文句言ってやがる。」

そこで俺は再会した。

「ほう、いつの間にそんな言葉を覚えた?」

どこまで冷たい目で抑揚のない声色で俺を貫くこいつは。

「・・・・もう一度だけ言ってやる。何しに来たんだ?親父。」

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