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20話「天才少女フェイズ2」

SCARLET20:天才少女フェイズ2


・ブロック決勝戦が行われる中

彼女は控室で眠り続けている。

俺は電子掲示板で馬場久遠寺の試合を見ていた。

対戦相手は青の次のランクである黄帯で

しかもより上級者の証である一本線が入っている。

体も大きい中学生くらいの男子だ。

ベスト20に入ってるのだから相応に強いのだろう。

だが、相手が悪すぎた。

開始10秒ですべての攻撃を制空圏で遮断され

回し蹴りを顔面に受けて昏倒してしまった。

ヘッドギアが砕けて意識を失っていた。

すぐにスタッフに運ばれそのまま病院へ送られていった。

「・・・・・まったくの怪物だな。」

その一言に尽きる。ブロック決勝戦まで進むのに

皆疲労困憊なのに久遠寺は余裕綽々だった。

息一つ切らさずに戦場を後にした。

そしてもう一つ気になるのが離れたブロックにいる一人の少年。

この大会に参加している中で唯一の白帯だ。

しかも三船道場出身。

初心者マークの白帯からは

想像もつかない殺気と風格で相手を圧倒していた。

「三船出身となるとやはり・・・・・。」

「・・・あの人はパーフェクトサイボーグです。」

彼女が目を覚ましていた。

「知っているのか?」

「はい。生まれた時から遺伝子操作や薬物投与などで

完全に心身を戦士に変えた完全人造戦士パーフェクトサイボーグです。」

「・・・・三船の最高傑作か。」

ここまで来るともうどうしようもないな。

「で、体はどうだ?」

「・・・まだ疲れています。けど、やる気は俄然湧いています。」

立ち上がり電子掲示板を見る。

トーナメント表に書かれてある馬場久遠寺と

自分の名前を見つめてこの子は燃えているようだ。

「・・・・戦うのか?」

「はい。棄権しろと言われましたが私は退きません。」

「・・・・そうか。ならもう止めはしない。全力で戦って来い。

奴の全戦30秒以内フィニッシュ神話を止めてこい。」

「それだけではありません。あの人の制空圏を破って見せます。」

「・・・・やけに強気というか戦意があるな。」

「・・・・あの人には借りがあるので。」

借り?スパーリングで倒されたことか?それとも・・・・・。

「・・・・・ああ、あの時の。」

「・・・・思い出さないでください。」

そういわれてもあんなに近くで女子中学生のあそこを見たのは・・・・・

「そこまでにしてください。

二度と思い出さないでください、いいですね?」

割と本気の怒気がこもっていたので追憶を中断した。

「昼飯はどうする?試合まで1時間半あるが。」

「食欲ありません。」

「なら水分補給をしろ。送熱のダメージがまだ残っているだろう?」

「・・・了解です。」

彼女とともに購買へと向かう。

「もう、そこは大丈夫なのか?」

俺は杖で彼女の下腹部を指す。

「・・・・大丈夫ですがもう少しデリカシーを覚えてください。」

「・・・・やけにツッコミが鋭いな。」

まあ短時間で2度もあそこの話をされては困るだろう。

そしてそのあと昼休みを過ごし、

ついにベスト10の決勝戦の時間となった。

「驚いたよ。まさか美咲ちゃんがここまで勝ち進んでくるなんて。」

「・・・。」

相変わらずの久遠寺。彼女は何も言わずに視線を相手に注いでいる。

「死神さんも壊されるとわかってて行かせるなんてひどいことするね。」

「黙ってろ。誰がお前の思い通りに事を進ませるものか。」

「進むよ。久遠には力があるから。

どんな矛も制空圏で防いでどんな盾だって一撃で粉砕する。」

「おしゃべりはそこまでです。

・・・・馬場久遠寺さん、覚悟をしてください。」

「久遠ちゃんって呼んでってば。」

互いに構える。

ほかの8人の選手も闘志を集中させて構える。

「これより決勝戦を開始する!1ラウンド180秒の全3ラウンド!

では、全員構え!!決勝戦・開始っ!」

最後の号令が下り、今日最後の戦いが始まった。

赤羽美咲が馬場久遠寺と合いまみえる時が来た。

久遠寺は今まですべての試合を30秒以内で終わらせている。

そしておそらくそれは彼女に対しても十分可能だろう。

だが、

「はあっ!!」

いつもより格段にキレのいい白虎が繰り出された。

「一度破られた技を使うなんて。」

久遠寺は制空圏を形成していともたやすく防ぐ。

そして着地するよりも早く彼女の胸に拳を叩き込む。

「ゲームオーバーだよ、美咲ちゃん。」

久遠寺の拳を受けた彼女は一気に後方まで吹き飛ばされる。

が、

「・・・あまり舐めないでください。」

彼女は平然と着地した。

そして片手を前に構える。玄武の構えだ。

「へえ、制空圏だ。

ちっちゃいけどこの短期間で使えるようになるなんてね。

けど、そんな赤ちゃんせーくーけんじゃ久遠ちゃんには歯が立たないよ?」

直後に久遠寺は彼女の前に出した手を払い、回し蹴りを叩き込む。

「くっ!」彼女の体が畳にたたきつけられる。

たった2発だ。

時間にしてまだ8秒。

なのにもう彼女は無視できない大ダメージを負っていた。

「はあ、はあ、ま、まだです・・・・!」

彼女が息を荒くしながらも立ち上がる。

「一撃必殺を2発も受けてまだ立てるなんて。

よっぽど私が憎いみたいだね。

もう立ってるのもやっとなほどダメージ受けてるのに。」

いつも通りにべらべらと喋る久遠寺。対して彼女は再び片手を前に出した。

「・・・・ひょっとして美咲ちゃん私のこと馬鹿にしてる?

そんなものでさ、」

再び久遠寺が距離を詰めて彼女の手を払い、腹に拳をぶちこむ。

「少しでもこの久遠ちゃんの障害になれると思ってるのかな?」

「・・・・・・な。」

「え?美咲ちゃん今何か言った?」

「・・・・年上をなめるな!!!」

「っ!」

彼女が久遠寺の拳を受け止めてそう叫ぶ。

同時に彼女の拳が久遠寺の顔面にたたきこまれた。

「・・・・驚いたな。」

彼女がここまで怒りの感情を表すなんて。

おまけに彼女のスタイルにそぐわない顔面パンチとは。

「・・・・・」

久遠寺は自分が何をされたのかわかっていないのか

鼻血を流しながら立ちずさんでいた。

「ぬあああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

雄たけびを上げた彼女は無防備である久遠寺に

次々と攻撃を叩き込んでいく。

得意のスピードに稽古で付けた

パワーの効いた連打が久遠寺の小さな体に叩き込まれていく。

「はああっ!!」

そして抜群のスピードの回し蹴りが久遠寺の顔面をひっぱたく。

「せっ!」

倒れた久遠寺に下段払いをして一本を入手する。

「・・・・これは・・・・」

まさかの事態だな。

よほど久遠寺に対して怒りがあったのか彼女に似合わぬ猛攻。

既に30秒も過ぎている。

久遠寺の制空圏も破られている。

そう、囲碁を通して彼女は制空圏同士での

戦いなら相手の制空圏を利用して一時的に破るという手段を得ていた。

けれど久遠寺の方もよほど自分の制空圏を過信していたのか

ここまでこっぴどくやられるとはな。

けど、だからこそまずいかもしれない。

ああいうタイプは、

「・・・・わたし・・・・・そーなんだ・・・

・・・なら、壊さないとね・・・・」

キレると手が付けられないタイプだ・・・・!

久遠寺は立ち上がると彼女にまっすぐ向かっていく。

彼女は冷静に玄武の構えを取る。

だが、その手を払われ拳が彼女の顔面にぶち込まれた。

「っ!!」

ヘッドギアが砕け、後方に倒れる。

が、倒れそうになった彼女の手を久遠寺が掴んで止めた。

そして次の瞬間。

「虎徹絶刀征!!!」

久遠寺の今までにないパワーの籠った回し蹴りが

彼女の腰に叩き込まれた。

「ああああああああああああああああ!!!!」

悲鳴を上げて倒れる彼女。

「おい!!」思わず体が前に出てしまう。

「Mr.甲斐!ストップ!!」

あわててスタッフに止められてしまう。

「離してください!あの子が!!」

「今は試合中です!!抑えてください!!」

「くっ・・・・!」

久遠寺の一撃。

音がかなり危険だった。もしかしたら骨が砕けたかもしれない・・・・!

「・・・・ふう、まさか虎徹を使うことになるとは

思わなかったよ美咲ちゃん。

さ、立って。続きやろう?まだ試合は2分残ってるよ?」

久遠寺が冷静さを取り戻す。

対する彼女は腰に手を当ててうずくまったままだ。

「うううう・・・・!!!」

うめき声をあげたまま微動だにしない。

「・・・もう、美咲ちゃんは。死神さんと約束したんじゃないの?

全力を尽くすって。

美咲ちゃんの全力は年下の女の子から一本奪うだけで終わりなの?」

「だ・・・・黙りなさい・・・・・!」

何とか声を上げて立ち上がる彼女。

しかしその表情は苦痛のまま。

「・・・・・本当に立ったよ、この子。

虎徹絶刀征は名前の通り相手の刀を絶やして征する一撃必殺なのに。」

久遠寺が驚きの表情をする。

「くっ・・・・い、行きますよ・・・・!」

彼女が無理矢理体を動かして久遠寺に向かっていく。

だが、彼女の攻撃はすべて制空圏で防がれてしまう。

そして掌底の一打で彼女の体が後方に吹き飛ばされてしまう。

「うううううううううううううううう!!!」

「・・・・もうやめよう?

美咲ちゃんの体はさっきの虎徹で限界を迎えている。

感触からして君の腰骨は砕けている。

難しいことはわからないけれど

取り返しのつかないことになるんじゃないの?」

「ううっ・・・・!」

それでも立ち上がってしまう彼女。

「今までのことは謝るからさ、

もう降参してよ。私は美咲ちゃんを壊したくない。」

「言った・・・はずです・・・・・!

黙りなさい、と・・・・・!

年上を・・舐めるなと・・・・・!」

彼女の手が久遠寺の方に置かれる。

「・・・・熱いよ、美咲ちゃん。」

送熱か。けれど・・・・。

「そのまま・・・・燃え尽きてください・・・・・!」

彼女は送熱を止めない。

今まで以上の熱で俺まで汗をかいてきた。

久遠寺も汗を流している。

残り時間はあと10秒となった。

一応一本取っているためこのままいけば彼女の勝利となる。

だけど・・・・。

「・・・・ごめんね、美咲ちゃん。

美咲ちゃんをこれ以上傷つけたくはないけれど

私、負けるわけにはいかないんだ。

だから、この一撃で終わらせるね。」

そういうと久遠寺は彼女の手を払い、気を右足に集中した。

「ま、負けない・・・・・!」

彼女は久遠寺に拳を打ち込んでいく。

久遠寺は気を集中しながらそれらをすべて制空圏で防いでいく。

そして・・・・・。


「ごめんね、美咲ちゃん。」

反省している。美咲ちゃんを壊したくはない。

でも、ここで負けるわけにはいかないんだ。

私は一度も負けちゃいけない。

ありがとう、そしてごめんね。美咲ちゃん。

私が君にしてあげられることはこの試合を

後一撃で確実に終わらせることしかない。

だから・・・・・。

「虎徹絶刀征!!」

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