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冬の狼  作者: CANDY
薄明の章
327/355

補足説明 プラス

インターバル、補足なので読まなくて大丈夫です。裏なのでメタ。ネタバレと言うほどではありませんが、その要素はいらん場合は飛ばしてください。

<次のお話前のインターバル的な解説、プラスその他>


 ◎ウルリッヒ・ホメス・モルデン南部ザハイール領大公爵バルドルバ地方侯爵領主の一行の目的と人員、その他について(中央軍統括長直属隊隊長ウルリヒ・カーン・バルドルバ卿がお仕事上の名前です。実は他にも爵位と領地と職位とかつきますが、通じやすい爵位を二つ並べています。

 南部ザハイール地方が、例の砂漠地方のヤバイ土地の事で、ここは本当の父親からの相続です。

 そしてバルドルバは変わり者食道楽の人からの相続です。どちらも功績と殺害数によって手に入れた為に、本人は嬉しくありません。もちろん、きちんと人々の暮らしが立ち行くようにしています。


 ◎今回の目的は、水源地調査。

 建前は、首都ミ・リュウの渇水を改善するための水源地調査です。

 首都から北に位置するツアガ公爵領へと秘密裏に地下から侵入しています。

 秘密通路は海神マークのついた距離感と錯覚を起こす通路で、現在は出口を壊して閉じています。本来は神官の許可により不思議な力で通行ができる通路ですが、出口の村が化け物により滅んでいるため封鎖しました。


 ◎ツアガ公爵の領地は、東側のマレイラから海路のみ、お山に囲まれた場所です。

 北の絶滅領域から東側のマレイラの鉱山に向かって海に切り取るように山が囲んでいます。

 もし、首都からツアガ公の土地に向かう場合、まず、アッシュガルトの東の港に向かう事になります。

 東マレイラは首都、王都とはこの北の山から続く湖沼と川に分断されており、一旦東南に街道を下ることになります。

 そこからアッシュガルト港から船に乗り、東回りで北側に向かい、海流と岩礁の北東部の海を越えます。これだけでも一苦労ですが、やっと公爵領に入ったとしても、非常に海流が複雑で所々に渦潮があり、難所が続いています。交易もあまり盛んに行えないのは、このせいです。

 今回は特別に、首都から緊急通路を使ってその北側の港と反対側の南の端の村が出発点になりました。

 北北東がツアガ公の本拠地である海に突き出た半島の城が目的地になります。

 位置的には、このマレイラに向かう港に近いお城です。


 ◎このツアガ公領地は、東と西で領地を分けて運営されています。

 開拓と林業がメインの西のリシャルデン地方で代官のメルドンが治めるのがシリス。

 東の海運と商業が一応営まれているのが東のユシュル地方で、レワルドという男が代官を勤めています。


 ◎シリスにいたユージンのお話

 シリスにおいてユージンを名乗る者が語る事によれば、ツアガ公の領地は二つに割れて争っている。

 東と西に分かれ、イアドという地下を管理する事についての立場や考え方が原因だと。

 ツアガ公の領地は、忌み地であり悪いものを封じている。

 その為に、ツアガ公の一族は、この土地に縛られている。

 その代償として、ユージンのような身寄りの無い女が生け贄として渡され、代々、命で購ってきた。

 しかし、その生き方、イアドに縛られる事を良しとしないのが、東のユシュル地方の都市ニナンの代官であるレワルド。

 そしてこの西のリシャルデン地方のシリスを治めるメルドンが、旧体制、公王の妹であるロドメニィ殿下である。もちろん、ツアガ公本人と叔母のヨジョミルも、今まで通り災いを押さえて、この地を守るべきだという考えだ。

 だが、そもそもそんな犠牲を払わなければならない事とはなんであるか?

 イアドは冥府の蓋であって害悪ではない。しかし、自己犠牲を求められても人生を投げ捨てろと強制される事は間違いではないだろうか?と、言う話をする。

 一見すると正しい言葉にも思えるが、彼女は実態の無い人形であり、この主張はどこまでが本当かはわからない。


 ◎お花ちゃん


 謎のお花で殺人鬼の毛髪に居を構えている。

 澱んだ眼をした長命種の男の毛髪に、花が咲いているという一種視覚の暴力。

 お花ちゃんその一、ダナエちゃん。

 代官のメルドンの娘で、シリスの行政官。

 生前は美人で勝ち気なお嬢様であったが、男運がなかった。面食いなので、殺人鬼がお気に入り。

 お花ちゃんその二、ベルちゃん。

 本当のユージンである長命種の幼女。本名のベルルシアは養母からつけられた大切な名前。

 なぜ、お花になったのか。

 お花ちゃんは、あの黄泉の岸辺に咲くお花です。

 魔女の呪いでもありますが、ヤンやカーンによって呪いが解かれてお花になりました。

 なぜ、お花になるのかは内緒。


 ◎エンリケさんはストーカーでは無い、はず、多分


 拷問大好きお医者さんでクールに決めているエンリケさん。そんなハードボイルドだった彼は、やんちゃな双子の弟と霊的合体進化しました。どうもオヤジギャグと女好き属性が弟から継承されて、不本意ながらクールな男の仮面が剥がれるという惨事に。たぶん、兄貴分のモルダレオと同じ、真面目な顔でオヤジギャグを言い出す香ばしいオジサンになっています。

 お顔は美形の中身がフウテンのタイガー。つまり元々愉快だったのですが、ふざけた弟が兄貴のストレスを軽減してやろうと箍をはずして二三本ネジを緩めた結果です。

 その霊的な緩みでビミンと繋がっている訳です。

 本来のエンリケはストイックそのものなのですが、融合したのは死ぬ原因も女グセの弟。

 弟の好みど真ん中で、うわっ兄貴、この子可愛いよ、ちょっといいじゃん。と、軽いのりでワクワク。もちろん、本人はストイックでござるなので、女の子をストーカーする意図はありません。ですがビミンからすると、うわぁキモイという変な対応になるわけです。女の子の夢に割り込むとか普通に気持ち悪いので自粛したいが、弟は今もワクワクしている。一応の善意。


 ◎影竜騎士とツアガ公そして、目的の再確認


 目的地に向かう前に、影竜騎士と子供を保護する事になった一行。

 代官の街が結局破滅していたので、彼ら共々ツアガ公の本城に向かわねばなりません。

 本来であれば、イアドの上層部を通れば、東のニナンへは時間をかけずに向かう事ができました。

 しかし、今回の巨大な蟲の異形が出てくる程に、イアドは拡大。人間が通れるような世界ではありません。

 そもそもイアドは、悪い物を封じる場所で、人間に害をなす存在ではないのです。

 古の守護者の一人が置いたルールのひとつに過ぎないのです。ヨルガン・エルベという人物が構築した防御機構というのでしょうか。

 さて、目的は水源探査でもツアガ公の内乱でもありません。

 癒す者を探して、一日も早く彼女を目覚めさせることです。

 それにはツアガ公にまず会わねばなりません。

 この土地がモーデンの出現した場所であり、問題の集約地であるからこそ、神が怒りを向ける場所にこそ、その災いの元があるはず。これが一行と公王の考えでした。

 しかし近道が断たれ、領地そのものも蝕まれつつあるのをみてとり、当初の予定を変える必要があります。

 まずは、街の害虫掃除と影竜騎士との情報のすりあわせをしなければなりません。


 ◎ミダスとダメージ管理


 彼が負傷し飢餓状態で活動できたのは、どうしてか。

 これは腐土領域の法則と同じ原理を使っています。

 つまり、ミダスは死んでいるのです。

 仮死状態で、本当の死人ではありませんが、ちょうど死霊呪術師に支配をうけている状態です。

 このため、頭部の完全な破損などの重欠損や状態異常の全身石化以外は、滅多に死にません。まぁ死んでいますから。

 理性がある死体であり、飲み食いもできますが、あくまで仮契約の生です。

 むしろ腐土の死体よりも残酷で、離反する者がでるのは当たり前です。

 そして彼は語っていませんが、ツアガ公の一族経営みたいなものですので、拒否権が無いのです。

 後継者がいる成人を、影竜騎士にしていくのですが、この為に結婚も氏族間以外はできません。後は、公王係累の生け贄と結婚できます。


 ◎擬きと成り変わりって何だろう


 この世界は、眼に見える現実と眼に見えない世界が混じり始めています。

 善悪も、生も死も、新しいルールを決めようと戦っています。

 絶対の悪はありませんし、善もありません。

 ですが、この世界には特有のルールがあります。

 大蛇の神もアッシュガルトを掃除した黒い神様も、悪くて善い神様でした。

 シェルバンを壊滅させ、首都の地下で実験をしていた魔女でさえ、許す心があります。何を許したかは内緒ですが。

 ハーディンが使った指輪など、どうみても魔物です。

 このルールを当てはめると擬きも成り変わりも、もしかしたら二つの意味があるのかもしれません。

 そして一番悪いのは、弱い立場の者を殺したりした人間なのです。

 争いの原因は、化け物ではなく全て人間なのです。


 ◎指輪はどうなったのでしょう?


「フフフッ」


挿絵(By みてみん)

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