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冬の狼  作者: CANDY
薄明の章
289/355

ACT254 夜にいたる扉④

 ACT254


 埋め尽くす霧。

 点在する人家の位置はわかった。

 数人を先行させる。

 大凡の改めが終わってから、公爵とジェレマイアを囲むようにして村へと進む。


 視界は悪い。

 足下に雪は無いが、所々に凍り付いた名残りの固まりが見えた。


 ヤンとイグナシオの姿は無い。

 鶉の気配が移動しているという。

 それを追わせて、更にサーレルの手勢も距離を置いて追わせた。

 物音はしない。

 風が時折吹き抜けて、背の高い木々が梢を揺らす。

 自然の呟きだけが行き過ぎる。

 村の囲み、多分、集落として一番のにぎわう場所の囲みに行き着く。

 囲いは低い石積み。

 その後ろに丸太の杭がある。

 小さな村としては頑丈だ。


「集会場と小さな教会、鐘楼に商店が二件。鍛冶と覚しき建物。人家は囲みの外に広がっています。それぞれの家々にも囲いや柵があったようです」


 報告の通り、それら小さな村を構築していた物は、過去の話だ。

 今は壊れ、痕跡のみがある。

 村の広場、馬寄せの側に井戸がある。

 井戸は崩れて、中は瓦礫が詰まっていた。

 見回せば鐘楼らしき突き出た建物が傾いている。

 側の店らしき小さな木造家屋は、まき散らされた生活用具が泥にまみれていた。


「大鎚でぶち壊したような感じか?」


「何かが衝突して突き抜けている。建物は攻城兵器を叩きつけた時のような挽き潰され具合だな」


 ジェレマイアは教会の残骸に顔をしかめた。

 教会に攻撃をしかける輩は特殊だ。

 ここまで信仰が浸透した社会で、神官の住まいを破壊するなどありえない。

 大きな戦で、たまたま砲弾が撃ち込まれたというのなら別だが。


「どんな兵器なら、可能だ?」


「愚問だ。

 小さな村を破壊するだけの為に使う兵器は無い。

 村を潰したいなら火をつければいい。

 証拠も残らないだろう。

 恨みなら、尚更だ。

 兵器はあるが、利用する価値は無い」


 霧が時折きれると、その隙間から囲みの丸太が見える。

 それらはたたき折られて散乱していた。


(グリモアの主よ、まさか馬鹿な事を考えてないかい?)


 不意に悪霊が話しかける。


「死体は見あたらないか?」


 問いに、戻った者達が首を振る。


「住人だけが見あたらない。家財は破壊されているが、そのままだ」


「いつ頃だと思う?」


 お互いの視線からわかる。

 ジェレマイアと公爵、そして自分の考えは多分同じだ。


(馬鹿な、と言おう。

 聞き捨てならないね、主よ)


 声が大きく届く。

 ジェレマイアにも届いたのか、自分の背後に視線を向けた。


(バルディスの娘は、マレイラで理の一つを変えた。

 そして、ミリュウでも。

 彼女はいくつもの、理を解いた。

 それはニンゲンを生かす為だった。

 だが、同時に、邪悪な物も解き放ったのではないか?

 君たちは、どこかで彼女の努力と決断を、そんな馬鹿な行為だと思っている。

 で、グリモアの主よ、僕の意見はこうだよ。)


 悪霊は笑顔で宣う。

 それはそれは馬鹿にしくさった笑顔でだ。


(彼女は強かった。

 そして君達は弱いのだ。

 心が弱く硬い。

 君達は、彼女を弱者と考えている。

 だから彼女の優しさが、悪を呼んだのではないか。

 と、疑うのだ。

 だが、それは間違いだ。

 君達は弱い。

 それはそれは弱い。

 だから、グリモアからは半端な力しか引き出せないし、神の祭司でありながら、邪悪な者を見抜けない。

 彼女は悪に対して怯え恐れたが、ニンゲンから向けられる誹謗中傷を恐れるような弱者ではなかった。

 彼女はニンゲンを恐れはしなかった。

 ニンゲンこそ悪だと言うのに。

 まぁ弱者では無いが、彼女も愚かだ。

 無様に生き残った者を見れば理解できるだろう。

 恩を仇でかえす醜いお前たち。

 親を殺され、肉親の情を絶たれ、そして種として迫害されようとも。

 彼女の力はバルディスと同じく、ニンゲンを生かそうとした。

 なのに、彼女を守ろうとするお前たちでさえ、この有様だ。


 滅びればいいのにね。


 魔が溢れ、凶事が起きるのは化け物の所為でも、彼女の行いの所為でもない。

 君達、ニンゲンの業だ。

 聞き捨てならないし、腹立たしい。

 まさに愚かだ。違うか主よ?

 これから目にする怪異全ては、君達ニンゲンが呼び寄せた物だ。

 公王は理解していただろう?

 誰が悪だ?)


 それから不思議そうに首を傾げた。


(今のニンゲンは、位階が下がっているにしても、魂の歪みが酷い。

 何だろうか?

 恐怖、無知、そう、偏見だね。

 君たちがヤンより劣るのは、常識とやらの所為か)


「グリモアは違うと言っている。

 理が変化し、裁定が下される前の事だと。」


(そうだね、皆も賛成してくれているし、少し喰らってやろう)


 悪霊の呟きと共に、或る景色が断片のように視えた。


 鉄の小箱。

 人皮の本。

 鍵。

 腐り黒い泥になる男。

 干からびた老人。

 そして、女の白い手。


「どういう、事だ?」


 白い霧に包まれた村の中央で立つ己の姿を誰かが視ている。

 俺の姿を見ている。

 見返す己自身、まるで亡霊のようだ。

 笑うのは誰だ?


「どうしたカーン?」


(どうだい、少しは君がしがみついている常識を壊せたかな?)


 問いに、ブルリと頭を振った。


「多分、シェルバン公の死の頃だ」


「見たところ、そんな前では無いと思うが?」


「始まったのは、春の兆しが見えた頃。そして、この西の端にある村まで届いた。そう、考えられないだろうか?

 ここが最後だ。

 この通路が公に知られていないとするなら、ここを破壊し尽くした何かは、ここを最後としたのではないか?」


「東か」


「ツアガ公とやらの本拠地は、マレイラの海路を利用して行き来する。

 直通の陸路は無く、北西は絶滅領域に繋がる山。

 西南王都方向も山、そして東もマレイラの、シェルバン公の鉱山へと続いている。

 極北方向の海だけが外部と繋がる。

 つまり、マレイラが蓋の役割をしていた。違うか?」


 湿った霧が体を濡らす。

 寒々しい世界。

 壊れた村。


「ここで議論しても答えはでない。

 ともかく、村を調べてみよう。それから」


 何を考えているのか、ジェレマイアは大きく息を吐いた。

 それから、の先の言葉は無い。


「殿下の居城は何処にあるんだ?」


「北東の海岸沿いだ。城は海辺にあるそうだ。考えていたのは、教団の拠点を順番に進むつもりだった」


「主要な街や村にあるのか?」


「村や町を繋ぐ道といっても、整地はなされていない。

 教団の布教図どおりに進むつもりだった。」


(残っているかな?フフッ)


 霧の中、皆、それぞれに考えに沈んだ。


「意図の一つは、これだと思うか?」


 指さしてジェレマイアに問うと、彼は頷いた。

 教会の瓦礫、行方知れずの神官。


「領地端の村を破壊するには、それなりの理由があろう。

 何を相手にするとしても、我々が邪魔な存在であることは確か。

 村に常駐する神聖教の神官がいれば、それを殺すとするかもしれない。

 村ごとというのは、考えられないが」


「危険を避けるならば、布教順路は避けるべきだが」


「同じく破壊の跡があれば、その意図が何かをつかみやすい。そして、殿下の領地が全てこのような有様なら、派兵要請も可能だろう」


 それに公爵が指をあげた。

 そして何とも苦々しい表情で告げる。


「いずれ、夜を迎えるならば、どの領地でも変化と荒廃が起きるはず。派兵要請に答えられるだけの中央軍の余力はあるのでしょうか?」


 まず、無い。

 王都の守りは外せない。

 腐土の包囲もだ。

 そして主力の獣人兵士は自領を優先する。

 次に神聖教の布教範囲の治安維持と交易路の確保。

 それだけで手一杯だろう。

 できるとすればマレイラの海上封鎖ぐらいだろうか?


「少なくとも神官の身の安全をはからねばならないだろうな」


 議論したところで、今できる事は限られている。

 村を隅々まで調べる事が先だ。


「この様子では、陽が落ちるのも早そうだ。

 公爵と祭司長だけでも、通路に戻り夜を過ごすか?

 今からなら土砂を掘る時間もある」


「通路は無いという事にせねば。

 ここにいた者も、子供の為以外に開かなかったのだ。

 たとえ、俺に何があろうとも開いてはならない」


 死体さえ見つからぬのなら広場に留まる意味もない。

 村の西側、森へと続く道の側にある残った建物の場所へと移動する。

 ここは比較的破壊から免れていた。

 野営するにしても遮蔽物がほしい。

 加工前の丸太が山積みになり、乾燥するのをまっている。

 頑丈かどうかは別としても、一撃目のあたる物が必要だ。

 そして肝心の建物は南向きの長屋のようなつくりである。


(おやおや、鈍いなりに感じているんだね)


「製材所か」


 防風林と岩が建物の背後にあり、破壊をそらしたのかも知れない。

 細い水の流れもあり、木材加工用の鋸や鉈、刃物類が残っていた。

 扉を破られた様子も、荒らされた様子もない。

 代わりに、奇妙な汚れが住居内に残っていた。

 村の中を改め、水場の水を調べていたエンリケを呼ぶ。


「水質の汚濁、感染元になるような物は今のところ検出無し。マレイラ変異体のような異物も見つかりません。」


「これは何だと思う?」


 白い寒天のような物が付着している。


「誰も触っていませんね?」


 念を押すとエンリケは採取するべく細い棒を持ち出す。


「触ったら不味いか?」


「不味いですね」


 にべもない答えに、皆の視線が手元に向く。


「多分、いますよ」


「どういう事だ?」


「自分の想像どうりなら、先に散乱していた家屋に残る汚物と同じですね。あちらは乾燥してしまって残っていなかった。」


「残っていない?何が残っていると思うんだ」


「汚物の主成分が窒素を含む有機化合物でした。こちらは水分を含んでいる。

 どちらも自然界にある物質ですので、それ自体に毒性はありません。

 ですが、破壊活動の場所に残るなら関係がある。

 では、このような物質は通常の自然界の何に含まれているか?」


「もったいぶるな」


 エンリケは肩をすくめた。


「人間を含む動植物を構成している物ですね。」


(つまり生き物の粘液だよ)


 ブヨブヨとした固まりを採取すると、それを製材所の机に置く。

 余計な道具類を床に落とすと、検査薬と器具を広げた。


「ですから、それに残る物を見れば、おおよそ、何が生み出した物かが判断できます」


 それにターク公がため息をついた。

 簡易器具を組み立てる姿を嫌そうに見やる。


「今度もあまり聞きたくないような気がしますね」


(まぁ、このエンリケという男は、僕に似ているね。

 原則的に筋道が通った答えを探して夢中になる。

 だから多少被害が周りにでても、あまり考慮しないんだよね。)


「大丈夫です公爵。大した話でありません」


(ほら、こういう言い回しの時は危険だよ。)


 と、エンリケは硝子の大皿に固まりの一部を置く。

 そしてもう一つを細かく切り分けると、拡大観察用の器具に置いた。


(動いてる、動いてる)


「こちらが薄く切り分けた物で断面を拡大しました。

 これが何かという以前に、見ていただければ触らなかった事が喜べますね」


 まず、自分が覗く。

 薄紫の薬液に浸った物には、無数の蚯蚓のような物が蠢いている。


「生き物か?」


 公爵達に場を譲る。


「見たくなかったですね」


「何だかもう、食欲減退する事ばっかりだなぁ」


「寄生虫ですね。

 マレイラ変異体とは違い、小型の哺乳類に寄生する一般的な虫です。」


「哺乳類の種類は?」


「鼠が最終宿主で、時折、その鼠を食した小型哺乳類が感染。そして感染した哺乳類を食べた人間も寄生される事があります。まぁ生で食べなければ大丈夫です」


「感染症状は?」


「寄生完了し、その哺乳類が同じく死ぬ前に、人間が捕食した場合。

 まぁ生で食べた場合、やはり脳と中枢に移行して炎症を起こします。

 程度は人それぞれだですが、身体麻痺か精神異常が主症状ですか?」


「火を通せば大丈夫か?」


「我々獣人ならば、発熱などの免疫反応で対処できます。

 長命種の方だと、どうでしょうか。

 生で食べるという事がなければ、あまり考えなくても大丈夫ですし、感染したと思えるならば、抗真菌薬で対処可能でしょう。

 そして肝心の粘液の主は何か?

 虫の形が特徴的なので、判断は簡単です。

 頭部が六角形で花びらのように口が開いています。このような形の虫は、大型の蛭か蛞蝓に寄生します」


「蛭が村をぶっこわした、まさかね?」


「祭司長殿、蛭や蛞蝓なら対処可能です。イグナシオに任せればいいでしょう」


「一応、冗談だったんだが」


「村ごと炭にするのはダメだ。何があったのか大凡わからない限り、先に進むのはまずい。」


「かといって、とば口の村で余計な時間はとれないぞ」


(祭司は何を焦っているのかな?

 ひとつ忠告だ主よ。

 地の底の神は、いつも見ている。

 それはそれは注意深く、見ているよ。

 彼の焦りは何だろうねぇ。

 聞いてみたらどうだい?

 期限は何時だと。

 ニンゲンが見限られる時間は何時なんだとね、フフフ)


「殿下の居城まで、日数は十日前後だったな」


 出立前に教えられた旅程日数から、余裕を見て荷駄を増やしてある。


「そうだ」


 だとしても補給は必要だ。

 特に水はどうしても必要になる。


「順路の村々で補給と休息はできるか?できれば、人家の側で野営をした方が消耗が少ない。日中は移動、夜間は野営で輪番で人を回すからな。まぁ俺達だけなら夜昼関係が無いが、病み上がりの公爵に、お前にも睡眠はかかせまい。布教順路の地図もあるのなら、見せてほしい。」


 当然の話に、ジェレマイアは表情を崩した。

 しまったという顔をしている。


「まさか、不眠不休で居城まで行くつもりだったのか?

 水の補給も馬を休ませる必要もある。

 軍馬ではない荷駄用の馬だ。

 輸送には向いているが、足は遅い。

 それにお前や公爵は使い物にならなくなるぞ。」


 どうやら布教順路の距離だけで考えていたようだ。


(人族の歩行速度なら倍の日数を考えた方がいいね。

 主よ、ここはひとつ聞いた方がいい。

 今は、静かだからね。

 とても、静かだ。

 今ならば、聞いても大丈夫さ、フフフ)


「ジェレマイア、焦る理由があるのだろう?

 グリモアが笑い続けている。

 俺は、賢くないんでな。

 口で言われなければ、推測だけで行動するぞ。

 グリモアの虚言を信じてしまうかもしれん。」


 それにジェレマイアは辺りを見回した。

 霧に閉ざされ、動き回る兵士の姿も朧だ。

 寒々しい景色に何を考えたのか、彼は頭を振った。


「懸念がある」


「何だ?」


「彼女の命、魂を取り戻せば、少なくとも俺とお前は満足だ。

 この世が腐れようともかまわない。

 だが、彼女を取り戻した後の世界が、腐れ滅んでは意味がない。

 だから、魔神の問いかけに答えようとしている。

 ヨルガン・エルベという守護者を探し、癒す者を解放する。

 そして新たな理を願う。

 つまり失った守護者の象徴する理を取り戻すというのが主旨だと思う。

 なぁカーン、癒す者とは何だと、誰の事だと思う?」


「わかるなら、こんな面倒な事にはなっていない」


「あの魔神の眷属は、癒す者を解放するようにと言った。

 つまり、囚われている。

 そして、魔神は間違いを正せと言う。

 考えたんだが、つまり、ニンゲンは、癒す者を捕らえて理不尽な事をしている。

 そして、その癒す者の寿命は尽きかかっているのではないか?

 あの書簡の意味を間違えている可能性は無いのか?

 姉の命が尽きれ

 ば終わるというのは間違いではないのか。

 彼女は十分に神へと誠実に答えた。

 ならば神の天秤に乗せられている命は、癒す者の事を指しているのではないか?」


「具体的に誰の事だと思ったんだ?」


「ロドメニィ殿下の元へ向かうのは、ニンゲンの犯した間違いを探す為だ。

 だとしてだ。

 どうして殿下の元へ向かうといえば、並べられた材料による。

 ミリュウの水は恩恵と守護であった。

 そして重要でありながら、源流を辿る事はしていなかった。

 なぜなら、地下の遺跡を通す水は、今の技術では触ることもできない代物だからだ。

 だが、それを取り上げられた。

 命と同等の価値として?

 本当に等価値と思えるか?

 途絶えた水の大本はどうなっているか?

 それに名が上がったのがツアガ公というわけだ。

 公王家の不自然な婚姻、それを秘儀としていた事。

 いるはずの無い者の名があがる理由。

 だが、もっとも考慮された理由がある。

 カーン、お前の部下が見つけた書物を覚えているか?」


「シェルバンの所領にて発見された人皮の書物か?」


「そしてお前が見つけた鍵。

 元々、あの書物はヨルガン・エルベが書き記した儀式書だ。

 それをダグラス・セイルが保管し封印していた。」


「封印?」


「お二方、話の腰を折るのを申し訳無く思うが、あれは日没と見て良いのだろうか?」


 ターク公の指さす霧の先、薄く暗い固まりが見える。

 多分、霧に隠された西の山並みではないだろうか。

 それに一滴、血のような赤い筋が横に走っていた。

 奇妙に、不安を煽る赤い色だ。


「続きは野営地を決めてからにする。

 この時間の狂いも考えねばならない。エンリケ、触らなければいいのか?」


「直接皮膚に接触しないように。

 接触した場合は、洗浄を。

 洗浄できない場合は、体内に入らないようにしてください。

 自分としては、この粘液を出していた物がどうなったかが気になります」


 生真面目なエンリケの答えに、一同は気味悪げに製材所を見回した。


「干からびていない所を見ると、まだ、いるのか?」


「わかりません。屋内では、乾燥するに至らなかっただけかもしれません。

 問題は、蛭や蛞蝓ならば、村が破壊される事は無いという事です」


「大量の蛭や蛞蝓が発生する原因の方か」


「主食は魚類、哺乳類、甲殻類、貝類、何でもですね。

 大量に発生する原因、もしくは宿主の方が増えたか?

 家畜はどうなったか気になります。」


「引き続き村を調べろ。

 他の者は野営準備を。

 オービス、良い場所はありそうか?」


「乾いた場所が見つからない。

 この製材所の建物を背にして天幕を用意した方が、まだ隙は無いだろうよ。

 加工場所の屋内に水が引き込まれているから、馬をそこに入れておけるしな。部屋も、少し掃除をすれば公爵様方を休ませられよう」


「あの虫の部屋かね」


 ひきつった表情の公爵に、オービスが申し訳なさそうに頭を下げた。


「我々で掃除をしますので、我慢してください。

 部屋の位置が一番いいのです。

 背後は岩、出入り口は我々の方。

 何があっても助け出せます。

 天幕では、あの破壊具合からして人族のお方では保ちますまい。」


 霧の中で皆がそれぞれ動き出す。


「カーン」


 ジェレマイアがボソボソと耳打ちする。


「死者の教典だ。

 グリモア、ボルネフェルトに聞いて見ろ。

 中身を教えてくれるだろう。

 俺は、それを読んで心底怖くなった。

 ニンゲンは、俺達の前のニンゲンは、化け物だよ。

 モーデンは、本当の化け物だったんだ。」


「今は何処にある?」


「ヨルガン・エルベが預けたダグラス・セイルの隷下に戻した。

 魔が満ちれば、邪悪な書物が蠢きかねない。

 元々、ダグラス・セイルの亡骸か継承者ならば、守護の性質上死者の教典も只の書物として保管できる。

 継承者の魂は滅してしまったが、教典により器の主を仮初めに与える事ができる。墓守としてのセイルだけでも復活させたかったようだな」


 程なく陽が落ちた。

 ストンと緞帳が落とされたように光りが消える。

 霧は相変わらず漂い、人の姿を滲ませた。

 灯りが反射して見通しは更に悪い。

 天幕を張り製材所に馬を落ち着かせると歩哨をたてた。

 半数を休ませるも、イグナシオとヤンが戻らない。

 万が一は無いだろう二名だが、他の意味で心配になる。


(火柱があがるからわかるでしょう?)


 公爵とジェレマイアを休ませる。

 小部屋は掃除がされ、粘液の固まりは焼かれた。

 それでも薄気味悪い事に代わりはなく、二人は旅装を解かずに窮屈な格好で寝ている。


(聞かないのかい?

 エイジャ・バルディスは守護者の長だ。

 そのグリモアはあらゆる事を記録する。

 喰らい貪欲に集めるんだ。

 正しく問えば、答えは簡単に手にはいるだろう!)


「正しくな」


(キャハハ)


 天幕の前、村の広場を向いて焚き火がある。

 瓦礫に火をつけては盛大に燃やす。

 何が起きようと、暗闇で何事かが起きる方が危険だと判断した。

 もちろん、ジェレマイアは丹念に魔除けを施したが。


(まぁ静かだからね。祭司の呪言で防げるモノだけは大丈夫かもね)


 村にほど近い畑へと続く道にまかれた物。

 それが村人の末路とも思えない。


(どうしてだい?

 確証は無いだろう、だって挽き肉になった人間が、土に分解したんだから残り物も少ないはず。

 どれが何処の骨の破片か判断できないだろう?)


「採取量から判断したが、数人分の重さだそうだ。」


(重さねぇアテになるのかい?)


「大戦場だと引き上げた量で損害判定をする時もある。点呼不可の丸ごとの場合、条件ごとに物差しがあってな。今回は範囲も狭い」


(範囲って、野蛮だねぇ)


「ありがとうよ。家屋の数からして、住人はもっといたはずだ。

 神官が常駐するだけの規模が確保されていた。

 ここは通路の出入り口だからな。

 すり潰された者もツアガ公が派遣した守備隊ではないだろうか」


 火はいくつも焚かれている。

 その一つに、丸太を椅子にしてスヴェンが向かい合っていた。


「夜食か?」


 大鍋がその前で煮立っている。


「今回は、自分が料理番をする。あ奴には絶対に得体の知れぬ物は混入させんぞ」


 何も聞いていないのにスヴェンが力説する。


「ジェレマイアが口にする限り、サーレルは何も混入しない。イグナシオに焼き殺されるからな」


「そのサーレルとイグナシオが戻らんようだな」


「犬もだ。心配する必要は無いだろう」


 隣に腰掛ける。

 生乾きの瓦礫に、乾いた製材所の木っ端を放りこんだ。


「何が起きたと思う?」


 鍋をかき回しながら、スヴェンは唸った。


「反乱や蜂起では無い。

 領兵団から向けられた守備兵を殺し、住民を拉致した。

 としても、建物の破壊具合を見ると夜盗の類でもなかろう。

 神官を殺害している可能性もある」


「人の仕業と思うか?」


「可能だ。人間が人間を殺める事は珍しくもない。

 だが、家財を破壊し金品はそのままだ。

 目的が何であるのか」


 味見をし、調味料を加えるとスヴェンは続けた。


「布教順路を見せてもらった。中々、難儀だぞカーン」


「険しいのか?」


「道程も険しいが、殿下の居城へとまっすぐ向かうような物ではない。ツアガ公の所領地図の全体はわからんが、広大な森林に点在する小さな拠点を蜘蛛の巣を渡るように進むことになる。」


「だが、神官は渡った。ならば我らなら、急ぎ通り過ぎることも可能だろう。現地調達の馬で公爵達を運べばいい」


「確かにな。旅程を早くするには、如何に道程を短縮できるかにかかっている。このような状態の村や街ばかりだとしたら、遅々としてたどり着かぬかも知れぬが」


「だが、たどり着かねばならない。それに他の集落がどうなっているかはわかるまい」


「そんな希望が通る世の中か、カーン」


「まぁな」


「たどり着いた先、殿下の居城もどうなっていることか。帰りはモンデリー商会に依頼するかも知れぬな」


「余裕だな、スヴェン」


「弱気なのか、指揮官殿。少なくとも自分は帰るぞ。そしてな、国に戻り農園を営むのだ」


「おい、話が脱線してないか?」


 それにスヴェンは笑い、椀に汁物をよそう。


「疲れたのだよ、カーン。人生を深刻に受け止める事にな」


 肉の汁に穀物が入っている。

 味は、まぁ旨いほうだろう。


「オービスとも相談したのだが、カーンの所領で比較的荒野が多い場所が空いていただろう」


「西にあるが、あそこは定住する者が中々集まらない。

 何しろ、アッシリが隣だ。」


「アッシリとは不干渉を貫けばいいだけだ。あの荒野の一部で果樹栽培が可能かどうかを二人で検討していてだな」


「略原野だぞ。害獣も多い」


「自分達、オービスの一族なら害獣なんぞ屁でもない。そこを買い取り、果樹をだな」


「買い取る必要はない。もともと開墾推奨地だ。只同然で権利は渡せる。土地の守備が自力でできれば、こちらも手間がない。というか、本気か?」


「うむ、カーン。

 お前が中央軍を抜ける時は、我らも一緒だ。

 この事が終われば、お前も国へ戻るのだろう?

 お前の領地にて、我らは果樹を作る。

 他の者にも聞いてみるがいい。

 多かれ少なかれ、身の振り方は考えているだろう。

 もう、決めている者もいる。

 我らは生き抜き、これからも生きていく。

 お前の大切な娘も一緒にな。

 我々は十分戦ってきたと思う。

 世が腐れるのを阻止するのは、そろそろ他の者が手をあげるべきなのではないか?

 引退するのではない。

 カーン、我々は、もう、自分の人生を生きてもいいのではないか?」


「それをお前が言うのか?義憤にて行動してきたお前が」


「あぁ言うさ。

 人生は短い。

 楽しんで生きるべきなのだ。

 人は死んだら何処へ行く?

 罪には罰が与えられるのか?

 邪悪は必ず滅ぼされるのか?

 幸不幸を決めるのは何か?

 疑問は疑問のままだが、答えはそれなりに得られたように思う。

 他の者はどうだか知れぬが、私には、あの夜の出来事は幸いであったのだ。


 もう、良い。


 と、思ったのだ。

 過去の憤怒も薄れた。

 否、過去よりも先の、死ぬまでの時間が惜しくなったのだ。」


「そうか」


 生きたい。と、思えるのならば良い。

 仲間が、生きたいと思えるのなら。


「もちろん、この先、邪悪な者共や卑怯な輩と刺し違える事を厭いはしないがな。

 それはそれで本望よ。

 だが、カーン。

 先の人生を考える事は間違いではない。

 それで臆病になる訳ではない。

 慎重になるだけの事だ。

 希望を許さない世の中だとしても、願う事は間違いではない。

 で、もう少し塩が必要か?」


「否、塩はもういらん」


(彼は、異端審問官見習いだった。

 聞いてみるといいよ。)


 何をだ?


(死霊呪術師が崇める不死者の王についてね)


 炎に照らされた男を見る。


(彼の親は、育てる事を断念した。

 彼は非常に賢いが、常に独り言を呟き、見えぬ相手と語らう様子をみせた。

 つまり、そうした病気の子供として孤立していたのだ。

 彼の養育の責任は共同体が請け負った。

 しかし、それは病気の子供としてだ。

 彼から問われる疑問と発言は、常識という壁によって全て否定されたのだ。

 子供のためだとしても、それは更に彼の孤独を増した。

 そして健康診査により、彼は異質ながらも神殿が拾い上げた。

 審問官としての素質だ。

 彼は鋭い感性を持っていた。

 そして本来ならば、異端審問官として生きていたのかも知れない。

 だが、彼の素質は、そこでも潰されたのだ。

 彼は神殿の中でも、疑問を持ち常に問い続けた。

 何故だ?と。

 神学的な事柄はもちろん、生活の全て、社会の全てに疑問を問いかけた。

 彼は見え、聞こえる者だったんだね。

 謂わば、見えすぎるし、聞こえすぎる事が力だった。

 特別な力ではあるが、特異な物ではないよ。

 彼の知能は処理能力が高かった。

 断片的な情報、五感からの情報量が多いんだね。

 推理力、解析能力、記憶力が優れていた。

 不思議な力じゃないんだよ。

 彼は風の囁きに言葉を聞き、人の表に出さない感情を感じ取れた。

 彼は病気でも、悪霊付きでもない。

 感性が豊かな、子供、だったのだ。

 感性、つまり、共感する力が強く、それでいて社会的に適応する事が難しい天才肌の子供だった。

 もちろん、神の言葉を読みとれるだけの目もあったんだけどね。


 それは審問官の中でも古い者達には、酷く目障りな事であった。


 でも、異端審問官としては、正しい事じゃないかい?

 間違い探しが上手な子供。

 正直すぎる可哀相な子供。


 子供は、審問官の中でも孤立した。

 そこで彼は、調べた。


 神とは?

 信仰とは?

 人種の違いとは?


 この世にある差別や不幸の元は?


 そして不正や間違いを見つけては、問うた。


 何故だ?とね。


 賢く、そして愚かであった。

 長生きはできないかも知れないけれど、彼は審問官ではなく、神官の方が良かったのかも知れないね。

 否、学者かな。


 彼の不幸は、適応できない事だった。

 そして子供故の事として、許容するだけの大人がいなかった事だ。


 だって、彼の周りの大人は、嘘つきの卑怯者。

 今頃、地の底で泥になって這い回っている輩だからね。)


 理由は聞いている。

 過剰な虐待を疑った共同体が、軍部に働きかけたのだ。

 そして軍へと無理矢理引き抜いた。


(審問官の中でも、過去の間違いを犯した者が残っていたからね。

 彼の当然の疑問の声を恐れたんだよ。

 子供の問いかけは、耳に残るからね。

 徹底的に虐待をして、能力を喪失させた。

 容易だったろうね。

 美しい朝顔の花のようなものだよ。

 子供の柔らかな心など直ぐに枯れてしまう。

 だが、おかげでロスハイムという男ができあがった。

 知的で野蛮で、そして感情が豊かでありながら、隠すすべを身につけ社会に適応できる男になった。

 そして、満足を得た。

 愚かで罪深い者には、必ず罰が与えられる。と知った。

 失いかけていた信仰心を取り戻したんだね。

 めでたしめでたしだ。

 でも、彼は野蛮な兵隊になったけど、本質は変わらなかった。

 探求心とは、執念深さに通じている。

 彼は執念深い。

 だから、知っているだろう。

 死霊呪術師とは、何か?

 信仰の対極にいる輩は、何を崇めているのか?)


「スヴェン、悪霊がお前に聞けというんだが」


「おぉ、私にか?何でも答えよう。」


「答えたくなければ答えずとも良い。

 死霊術士とは何だ?」


「死霊呪術師だ、カーン。

 位階は、術士、術師、呪術師と上がっていく」


「適当に呼んでいたが違うのか?」


「術士は、辺境地にいる呪い(まじな)をする輩程度。

 術師は祭司と同じくらいか。

 呪術師は、死体を使役する物語の中の存在だった。昔はな」


「では、死霊呪術師が崇める不死者の王とは何だ?」


(ヨルガン・エルベが到達した位だよ)


 スヴェンは木箆で鍋をかき混ぜながら、面白そうに目を輝かせた。


「今一番の話題だな、カーン」


「意味がわからん」


「腐土の死体は、死にきれない者、つまり死霊だ。

 死霊は、亡者とも言うが、それを使役する術を死霊術という。

 そして術を使う者は、術師という訳だ。

 そして不死者とは、死にきれない者を指す。

 魂云々は別にして、死んで動き回るモノ全てを意のままにできる者が、死霊呪術師というわけだ。

 死霊呪術師が死ぬと、ある存在になると伝承にはある。

 不死者の王だ。

 不死者の王とは死霊呪術師が目指す最高位。

 超越者、死を乗り越えた者という。

 そこでヨルガン・エルベなる不死者の王の位を保つ守護者だ。

 つまり、この者ならば腐土を制圧できる力を持っている筈だ。

 だが、腐土は広がりを一応止めているが、無くなる様子はない。

 つまり、エルベの能力はどのようになっているのかと疑問がでるのだ。」


「不死者の王とは、つまり」


「死を司る者であり、神。

 人を産み出す事はできないが、死を操る術をもっている。

 この世の理に従うが、それは死者を生き返らせる術を使わないというだけだ。

 邪悪ではないが危険な者であろうな。

 もちろん、これは物語の中の話だ」


「誰がどんな風に書いた物語だ?」


「古典の一つにある。

 神話が納められた物の中でも、我らの故郷近く、西の遺跡群から発見された書物から編纂されている。

 もっと神話を研究すれば、面白い事がわかりそうだ。」


「では、死者の教典とは聞いたことがあるか?」


(フフッ)


「どうやら悪霊が試しているようだな。

 死霊術を学ぶ者が、必ず欲する書物は三つほどある。


 生き物の構造を学ぶ為の、医学書ともいえる死解秘儀辞典。

 理論を学ぶ為の入門書である死様秘儀書。

 そして実践書である死術秘儀教典。


 その中でも実践書の元である死者の教典は、お前が手にしたグリモアと同じ魔導の書物を指すとある。だが、何れも物語の中の事だ。」


 焚き火の側で、悪霊がクルクルと踊っている。

 少年はバカにした仕草で踊り、炎を飛び越える。


 霧は流れ、廃墟と化した村に漂う。

 行き倒れていた子供は製材所の側の焚き火で暖められていた。


(お喋りはここまでかな)


 悪霊は側に戻ると、霧の向こう集落の外を指さした。


(静かな夜は、おしまいだね)


 闇と霧、そして光りが見えた。

 赤い光点が原野の先にある。

 スヴェンが指笛を吹く。

 それぞれが武器を取り、立ち上がった。


 赤い光りは二つで一つ。

 それが数組霧の中に見えた。

 徐々に近づいてくる。

 不規則な動き、そして奇妙な気配だ。

 村の囲いの近くまで、赤い光りが移動してくる。

 夜の闇と霧が、光りだけを浮かび上がらせ、正体がわからない。

 ジェレマイアの敷いた魔除けは天幕近くだけだ。

 焚き火の炎に当たれば、見えるはず。

 そうして静かに見ていると、それらはピタリと魔除けの手前で足を止めた。


 人、だ。


 服装は農村の民の物で、多少の乱れはあるが不自然ではない。

 ただ、その服装以外はただ事では無い。

 蝋のように白い肌。

 日に焼けていないという話ではない。

 白く溶けそうなほど濁った色の肌には、いっさいの血の気が無い。

 そして乱れた頭髪に伸びきった爪、薄汚れた様子で口は開いている。

 赤く光っていたのは、両目だ。

 眼球は赤く、別の何かが詰め込まれたような有様で盛り上がっていた。

 彼らは両腕を前に垂らし、前屈みでふらついている。


 エンリケとモルダレオが進み出る。

 公爵とジェレマイアのいる小屋まわりと長屋の前に兵士が層を作った。

 そうして暫し、無言で対峙する。


 音がした。

 小さな音だ。


 風、霧、梢の音、瓦礫が燃えはぜる音、我らの息づかい。

 それらとは別に、小さく不快な音がする。

 壁の中を這い回る虫がたてるような小さな音だ。


 チキチキチキチキ..


 不愉快な音は、その辺中に広がっていく。

 壊れた建物や地面、あらゆる場所から聞こえてくる。


 と、一人、男が爆ぜた。

 文字通り、目の前で肉片となり散らばる。

 それは拡散し、肉と血を吹き散らした。


 ドシャリと、地面に広がる。

 幸いにも我らの魔除けの内にはかからなかった。

 見れば、骨も砕けていた。

 瓜を地面に叩きつけたようなありさまだろうか。

 割れた中身が広がって、地面から無数の長い蛭が這いだしてきた。


 蛇ほどの長く醜い姿をした蛭は、魔除けの内側の地面からわいた。


「火の側へ」


 公爵達を静かに移動させる。

 相変わらず不快な音がしていた。


 そうして近寄ってきた者は、血肉をまき散らした。


 やがて、辺りは血臭が霧にまで混じるほどになり、それにあわせて蛭が地面から沸きだしてくる。

 普通の蛭ではない。

 半分、実体がないかのように透けている。


 エンリケが耳打ちをした。


「蛭に釣られて、我らを襲う何かがくるでしょう」


 焚き火と焚き火の間に公爵達を移動させ、次に何が起こるかと待ち構えた。

 闇の中、霧を見続けた。

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