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冬の狼  作者: CANDY
欺瞞の章
110/355

Act100 挿話 エリの明日

 ACT100


 同じ事を繰り返す。

 それを嫌だと感じる人。

 つまらないと嘆く人。

 いろんな考え方がある。


 毎日、同じ事を繰り返すのに、毎日は同じじゃない。

 そう、私は思う。

 毎日同じだけど、毎日新しい。だから、嫌じゃない。


 生まれた時から、同じ毎日。


 でも、それが一番大切なんだと思う。



 私の毎日。



 朝起きて、身支度をする。

 お水を飲んで、皆の所へ行く。

 ご挨拶をして、お祈りをする。

 お祈りが終わったら、お薬を作る。

 私はお薬ができる間、眼を閉じてお話をする。

 友達とお喋り。

 何を話すのかというと、お天気、咲いた花、今朝のご飯は何かとか。


 すると、お友達は真剣に相づちをうつ。

 そして、言うのだ。

 エリは、明日も来る?


 私も真剣に頷く。


 明日も来るよ。


 私達は、友達。

 ずっと、ずっと友達。


 毎日、同じだけど、同じじゃないのだ。

 友達が私を呼ぶ。

 眼を開くと、友達がいた。

 友達は、村の人と一緒だった。

 青い、青い髪のボジェクも一緒だ。

 皆、仲が良かった頃と同じ顔をしている。


 ボジェクが言った。


 エリの明日は、ちゃんとあるよ。


 お母さんとお父さんもいる。

 お姉ちゃんもお兄ちゃんもいる。


 ごめんね、エリ


 ごめんね、ごめんね



 村の皆、お祭りの時みたいに、手をつないで輪になっている。

 私は、毎日、同じが良かった。

 皆、一緒に、仲良く、一緒に。


 輪の外にテレザがいた。


 人間のお友達。

 私に似たお友達。


 どうしたの?


 ひとりぼっちのテレザに、手を差し伸べた。


 ママがいないの。



 すると、皆が嬉しそうに笑った。


 大丈夫、テレザのママも一緒だよ。

 ずっと、ずっと一緒だ。

 皆で迎えに行くから大丈夫。







 冷たい空気に目が覚めた。

 見たことのある部屋だ。

 テレザが泣いている。

 ヴィなら、彼女の事が見えるかな。

 友達とも話せるかもしれない。

 ヴィは婆様と同じ匂いがした。

 きっと、善い精霊なのだ。

 この人とは違う。

 嫌な匂いがする。

 テレザも見えないだろう。



「まだ、二つある。その力を使えば、今度こそ成功するわ。大丈夫、さぁ、こっちに来るのよ」



 私は、怖くない。

 だって、皆、一緒だから。



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