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ルカ・マーフィーは夜魔法の継承者  作者: 如月


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アクアとルカの連携

ゼノスの視線が戦場の後方へ向く。


その先には――


共鳴するアンクレットの光を纏うルカとアクア。


二人の魔力は明らかに変化していた。


周囲の魔力が自然と引き寄せられ、まるで夜空の星々と深海が共鳴しているようだった。


ゼノスは静かに呟く。


「なるほど……」


その目に初めて明確な警戒が宿る。


「夜魔法の継承者だけではないか」


「その重力魔法使いも厄介だな」


黒槍が地面を叩く。


ドォォォォォン!!


巨大な魔法陣が戦場全体へ広がった。


先ほどまでの魔法陣とは比べ物にならない。


地面が赤黒く染まる。


空間が歪む。


全員が異変を感じた。


「まずい!」


セドリックが叫ぶ。


「来るぞ!!」


ゼノスは冷たく告げた。


「第五の地獄――」


巨大な魔法陣が開く。


「大叫喚」


瞬間。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!


戦場の大地から真っ赤に焼けた巨大な鉄壁が出現した。


一本。


二本。


三本。


四本。


それらは瞬く間に円を描き――


この空間全体に檻ができ、皆を閉じ込めた。


「何だこれは?!」


仲間たちが叫ぶ。


しかし遅い。


ドォォォン!!


鉄壁が完全に閉じた。


巨大な鉄の牢獄。


その表面は真っ赤に焼けている。


さらに。


内部から青白い地獄の炎が噴き出した。


ジュゥゥゥゥゥ!!


空気が焼ける。


床が溶ける。


石が蒸発する。


「くっ……!」


セドリックと雪梅が聖水壁を展開した。


巨大な水の壁が全体を包む。


だが。


ジュワァァァァ!!


一瞬で蒸発した。


「やはりだめか…」


内部ではビルたちが鉄壁を攻撃していた。


しかし。


ビルの炎剣ですら傷一つ付かない。


レオの闇魔法も弾かれる。


アルクの斬撃も通らない。


ゼノスが笑う。


「大叫喚は地獄の牢獄だ」


「中の者が焼け尽きるまで決して開かない」


鉄壁の内側。


温度はさらに上昇する。


汗が噴き出す。


呼吸も苦しい。


アクアが歯を食いしばる。


「くそっ!」


「このままじゃ!」


ルカも壁へ手を当てる。


熱い。


触れただけで皮膚が焼ける。普通の魔法では壊せない。


その時だった。


足首のアンクレットが再び輝く。


キィィィィン――


淡い光。


アクアも気付く。


「ルカ」


「うん」


二人は顔を見合わせた。


同時に理解する。


今の自分たちなら。


「一人じゃ無理だ」


アクアが言う。


ルカが頷く。


「二人ならいける」


アクアは杖を構えた。


全魔力を解放する。


「うおおおおおお!!」


ルカも叫ぶ。


夜魔法陣が何重にも展開される。


『星壁結界』


星の防壁が空間全体を守る。


青い炎が荒れ狂い、空気そのものが焼けていた。


ルカは額の汗を拭いながら息を荒げる。


「くっ……!」


夜魔法で作り出した星壁結界にも亀裂が走る。


このままでは持たない。


アクアは焼け付く鉄壁を睨みつけた。


「普通に壊せる硬さじゃねぇ……」


アンクレットが青白く輝く。


ルカのアンクレットも同時に反応する。


二人の魔力が共鳴していた。


その時だった。


アクアの脳裏にある考えが浮かぶ。


「そうか……」


「壊すんじゃない。」


ルカが振り向く。


「アクア?」


アクアは不敵に笑った。


「押し潰せばいいんだ。」


その瞬間。


周囲に巨大な重力魔法陣が展開される。


漆黒と蒼の光が絡み合う。


アクアは両手を前へ突き出した。


「重力魔法――」


『グラビティ・フォール』


ドゴォォォォォォ!!


凄まじい重圧が鉄壁全体へ叩きつけられる。


鉄壁が軋む。


しかしまだ壊れない。


ゼノスの地獄魔法はそれほど強固だった。


「まだ足りない!」


アクアが叫ぶ。


その瞬間。


ルカが隣に立つ。


「なら僕も乗せる。」


夜色の魔力が溢れ出す。


無数の星が出現する。


「夜魔法――」


『ナイト・コンステレーション』


星々が鉄壁の一点へ集中する。


重力によって圧縮される星々。


まるで超新星のような輝きだった。


アクアはその意図を理解した。


「なるほど!」


「重力で押し潰して!」


ルカが叫ぶ。


「僕が一点に収束させる!」


二人は同時に魔力を解放した。


ドゴォォォォォン!!!


鉄壁が大きく歪む。


だが。


青い炎はさらに激しさを増す。


アクアの腕が焼ける。


ルカの結界も崩れ始める。


限界が近い。


それでも二人は諦めなかった。


背中を預ける。


互いを信じる。


アクアが笑う。


「なぁルカ。」


「何?」


「俺たちさ。」


「うん。」


「絶対ここからみんなで出るぞ。」


ルカも笑った。


「もちろん。」


アンクレットが眩く輝く。


二人の魔力が完全に共鳴する。


夜空のような魔力。


重力のような圧力。


二つが融合する。


「行くぞ!」


「うん!」


二人は同時に叫んだ。


『グラビティ・スター・ブレイク!!』


圧縮された重力の核。


その中心に閉じ込められた無数の星。


超高密度の魔力弾が鉄壁へ直撃する。


ドォォォォォォォォォォン!!!


戦場全体が揺れた。


皆が思わず見上げる。


ビルが目を見開く。


「おい……まさか……」


レオが口元を吊り上げた。


「やるじゃねぇか。」


そして。


鉄壁に一本の亀裂が走る。


パキッ――


続いて二本。


三本。


無数の亀裂が広がっていく。


ルカとアクアは最後の魔力を振り絞った。


「壊れろおおおおお!!」


「突破する!!」


そして次の瞬間――


第五の地獄・大叫喚の鉄壁が、


ついに轟音と共に崩れ始めた。

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