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ルカ・マーフィーは夜魔法の継承者  作者: 如月


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敵の圧倒的強さ

黒縄の呪縛から解放された瞬間――


戦場の空気が変わった。


「ようやく全員揃ったな」


ビルが炎の大剣レイジバーストを肩に担ぎ、不敵に笑う。


アルクは魔剣を構えながら頷いた。


「ここからが本番だ」


レオはネクロノスを静かに握り直し、セドリックは周囲の魔力の流れを分析する。


エディもまた、無数の木々と土塊で形成したゴーレム軍団を前進させた。


五人。


教師一人と生徒四人。


今、この学園でも屈指の実力者たちが肩を並べていた。


――だが。


彼らの前に立つのは。


地獄そのものだった。


ゼノス・アビスレインは静かに玉座から立ち上がる。


「なるほど」


紫色の瞳が細められる。


「少しは楽しませてくれそうだ」


次の瞬間。


ビルが先陣を切った。


「うおおおおおっ!!」


炎の大剣が爆発的な炎を纏う。


『レイジ・ストライク』


轟音と共に巨大な炎の斬撃が放たれる。


ゼノスは黒槍で受け流すが、その隙を見逃さない。


「今だ!」


セドリックが叫ぶ。


同時に風魔法が発動。


『ウィンド・ブースト』


仲間全員の速度が跳ね上がる。


「行くよ!」


エディが杖を掲げた。


『グランド・フォレスト』


床を突き破り巨大な樹木が無数に出現する。


根がゼノスの足元を絡め取ろうと伸びる。


さらに土魔法。


『グラウンド・アンカー』


地面から巨大な岩柱が現れ、退路を塞ぐ。


「いい連携だ」


レオが微笑む。


杖を掲げた。


『シャドウ・ネクロス』


闇と死霊が融合する。


数十体の骸骨騎士が黒い霧と共に現れ、一斉に襲い掛かった。


その瞬間。


アルクが飛び込む。


「そこだ!」


風を纏った一閃。


鋭い剣撃がゼノスの頬を掠めた。


初めて。


ゼノスの顔に薄く傷が走る。


戦場が静まり返った。


「傷を……付けた……」


ビルが目を見開く。


ゼノスは指先で頬をなぞる。


血が一滴。


そして。


不気味な笑みを浮かべた。


「そうか」


その声に全員の背筋が凍る。


「そこまで来たか」


黒い魔力が噴き出した。


空間そのものが悲鳴を上げる。


「ならば――」


巨大な魔法陣が戦場を覆う。


禍々しい紫黒の紋様。


先ほどの黒縄とは比較にならない規模だった。


ゼノスが静かに宣言する。


「第三の地獄」


全員が身構える。


「――衆合」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!


大地が震えた。


床が砕ける。


その奥から現れたのは――


巨大な鉄球。


家ほどもある漆黒の鉄の玉だった。


「なっ……!?」


セドリックが息を呑む。


鉄球は意思を持つかのように動き出す。


そして。


一直線にビルへ向かった。


「来るぞ!!」


アルクが叫ぶ。


ビルは横へ飛ぶ。


直後。


轟ッ!!!


鉄球が壁を粉砕した。


石壁が紙のように吹き飛ぶ。


その威力に誰もが戦慄した。


しかし――


終わらない。


魔法陣からさらに二つ。


三つ。


四つ。


巨大な鉄球が次々に現れる。


「嘘だろ……」


エディが青ざめる。


さらにゼノスが杖を振った。


「第二の地獄――黒縄」


空間から無数の黒縄が飛び出した。


鉄球を避ければ黒縄が襲う。


黒縄を避ければ鉄球が迫る。


完全な連携攻撃。


レオの死霊が潰される。


エディの木々が砕け散る。


ビルですら回避に専念せざるを得ない。


「くっ……!」


アルクが風で軌道を逸らす。


セドリックは瞬時に全員へ指示を飛ばす。


「右へ避けろ!」


「エディ、後方を固めろ!」


「レオ、死霊で足止めを!」


しかし。


状況は悪化する一方だった。


巨大鉄球。


追尾する黒縄。


そして中央で余裕の表情を浮かべるゼノス。


五人は必死に連携しながら戦う。


それでも。


第三の地獄《衆合》と第二の地獄《黒縄》の凶悪な連携により――


先発隊はこれまでで最大の苦戦を強いられていた。

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