第一地獄 等活
魔法陣からは実態が何者かわからない、手には禍々しい黒槍を握りしめている。
まるで地獄の軍勢。
レオの死霊軍団へ襲い掛かる。
「くっ……!」
レオが歯を食いしばる。
骸骨兵たちも必死に応戦するが、数が違う。
一体倒しても。
二体倒しても。
新たな亡者が現れる。
黒槍が飛び交い、死霊たちを次々と粉砕していく。
《レギオン・オブ・デス》によって召喚された軍勢も徐々に押し込まれ始めた。
「まずいな……。」
アルクが低く呟く。
レオも理解していた。
このままでは押し切られる。
だが。
その時だった。
「レオ先輩、一人で背負い込まないでくださいよ。」
エディが静かに前へ出る。
両手を地面へ向けた。
膨大な魔力が大地へ流れ込む。
「木魔法――」
「《ワールド・ルーツ》。」
床を突き破り巨大な根が広がる。
さらに。
「土魔法――」
「《グランド・アンカー》。」
ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
大地が隆起した。
巨大な岩の塊が次々と形を変えていく。
腕。
脚。
胴体。
頭。
そして――
十数体もの巨大なゴーレムが姿を現した。
「行って。」
エディが優しく命じる。
その瞬間。
ゴーレムたちが一斉に咆哮した。
ドォォォォォン!!
先頭のゴーレムが拳を振り下ろす。
槍を持った亡者たちがまとめて吹き飛んだ。
別のゴーレムは巨大な岩槍を引き抜き、横薙ぎに振るう。
ガガガガガガガッ!!
十数体の亡者が粉砕される。
さらに。
木と土が融合した巨人が前進する。
全身を巨大樹の装甲で覆った特別製のゴーレムだ。
亡者の槍を受けてもびくともしない。
そのまま突進。
ドォォォォォォン!!
地獄の軍勢をまとめて薙ぎ倒した。
「すごい……。」
セドリックが思わず声を漏らす。
レオも笑った。
「助かる。」
「当然ですよ。」
エディは穏やかに答える。
「仲間ですから。」
その言葉にレオは少しだけ口元を緩めた。
死霊軍団。
ゴーレム軍団。
二つの軍勢が肩を並べて戦場を駆ける。
亡者たちは次々と倒されていった。
だが。
玉座の前に立つゼノスは慌てる様子もない。
むしろ。
その光景を眺めながら口元を吊り上げていた。
「ほう……。」
紫色の瞳が細められる。
「やるな。」
初めてだった。
ゼノスが明確に相手を評価したのは。
その言葉にアルクたちも緊張する。
なぜなら――
本当に恐ろしい相手は。
相手を認めた後に本気を出すからだった。
そしてゼノスの背後では。
第二の地獄を示す魔法陣が、静かに輝き始めていた――。




