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ルカ・マーフィーは夜魔法の継承者  作者: 如月


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朝の始まり

柔らかな光が、カーテンの隙間から差し込む。


ルカはゆっくりと目を開けた。


「……ここは……」


見慣れない天井。

だが、すぐに昨日の出来事が断片的に蘇る。


星空——杖——そして、溢れた力。


「っ……」


起き上がろうとしたその時、手に違和感を覚えた。


視線を落とすと——


そこには、手を握ったまま眠るアクアの姿があった。


「……アクア」


小さく呼びかける。


「起きて……アクア」


軽く揺すると、アクアはゆっくりと目を開けた。


「……ん……ルカ……?」


数秒の沈黙。


そして次の瞬間——


「ルカ!!」


勢いよく抱きつかれる。


「よかった……!ほんとに……!」


その声は、心からの安堵に満ちていた。


ルカは少し驚きながらも、小さく笑う。


「……心配かけて、ごめん」


「ううん、大丈夫……」


アクアは少しだけ顔を離し、まっすぐルカを見る。


「ルカがいなくなったら——僕も死ぬからさ」


冗談めかした笑顔。

けれど、その言葉はどこか本気で。


「……重いよ、それ」


ルカは苦笑するが、手は自然と握り返していた。



二人は身支度を整え、寮の談話室へと向かった。


そこにはすでに二人の姿があった。


「よう、起きたか」


ソファに腰掛けていたレオが、軽く手を上げる。


その隣には、紅茶を優雅に口にするアリス。


「昨日はお疲れ様でした」


穏やかな声。


ルカは少し戸惑いながら口を開く。


「……あの、僕……あまり、はっきり覚えてなくて……」


その言葉に、アリスが静かに説明を始めた。


「昨日、あなたは魔力を行使しました」


「……え?」


「そしてその直後、魔力切れを起こして倒れています」


淡々とした口調だが、事実の重さは十分に伝わる。


ルカは思わず自分の手を見る。


「……僕が……夜魔法を……」


胸の奥に、じんわりと広がる喜び。


——使えた。


ずっと悩んでいた“それ”が、確かにそこにあった。


だが同時に、不安も芽生える。


「あの力……僕……」


その時、そっと手を握られる。


「大丈夫だよ」


アクアだった。


「ルカなら、ちゃんと扱えるようになる」


優しい声。


その温もりに、少しだけ不安が和らぐ。


「……ありがとう」


ルカは小さく頷いた。



「さて」


アリスがカップを置く。


「本日の予定について説明します」


姿勢を正し、淡々と続ける。


「本日午後——入学式が予定されています」


「入学式……」


ルカが呟く。


「この学園では、“ドアの選定”により選ばれた者のみが入学を許されます」


静かに、だが誇りを含んだ声音。


「そしてあなたたちは、それぞれの寮に配属された上で——

 1年1組として、勉学および魔術訓練を受けることになります」


「……1年1組」


「入学式は13時。それまでは——」


アリスは一度言葉を区切る。


「ブラッククラスの寮について説明を行います」


そして立ち上がり、扉の方へ向かった。


「同じく1年の生徒を呼んできますので、少々お待ちください」


静かに部屋を出ていく。



残されたルカとアクア。


少しの沈黙の後、ルカが口を開いた。


「昨日は……ほんとにごめん」


「だから大丈夫だって」


アクアは笑う。


「むしろ、すごかったよ」


「……でも、まだよく分からなくて」


「それでいいんだよ」


アクアは軽く肩をすくめる。


「一緒に分かっていけばいい」


その言葉に、ルカは少しだけ笑った。



やがて、扉が再び開く。


アリスと共に、一人の少女が入ってきた。


「お待たせしました」


少女は少し緊張した様子で頭を下げる。


それを見て、レオが立ち上がる。


「ちょうどいい。全員揃ったな」


軽く腕を組み、視線を巡らせる。


「改めて、自己紹介といこうか」


最初に口を開いたのはレオだった。


「レオ・ヘルキャット。ブラッククラスの寮長だ」


続いてアリス。


「アリス・ローリング。生徒会会計とブラックの副寮長を務めています」


サラが続く。


「サラ……ベイリーです。まだ分からないことばかりですが……よろしくお願いします」


そして——


「ルカ・マーフィーです」


一瞬だけ迷い、だがしっかりと顔を上げる。


「よろしくお願いします」


最後に、アクアが笑顔で言った。


「アクア・フォーサイス!ルカの親友です!」


「……それ、自己紹介?」


ルカが小さくツッコむ。


談話室に、わずかな笑いが広がった。

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