新たな敵
さらに三人は先へ進み、数分後。
三人は通路の奥で、思わず息を呑む。
「……ッ!」
そこには、拘束された二人の姿があった。
ヒューゴ先生。
そして――アーサー先生。
二人とも魔封じの鎖で拘束され、壁へ繋がれている。
「アーサー先生……!」
ルカが顔色を変える。
アクアも悔しそうに歯を食いしばった。
だが。
問題はそれだけではなかった。
その場には、異様な魔力を放つ三人の敵が立っていた。
一人は巨大な槍を持つ大男。
一人は全身へ黒布を巻いた細身の男。
そして中央には、圧倒的な威圧感を放つ男が座っていた。
空気が重い。
本能が警鐘を鳴らしている。
リアムがすぐに三人を物陰へ引き戻した。
「待て」
低い声。
リアムの表情は険しかった。
「……やべぇな」
ルカも理解していた。
今までの敵とは格が違う。
リアムが静かに言う。
「ここは待機して戦力が揃うのを待つしかない」
アクアが悔しそうに俯く。
「でも……アーサー先生が……」
「お祖父様もどこにいるかわからない……」
ルカも拳を握る。
助けたい。
今すぐ飛び出したい。
だが。
今の自分達では勝てない。
その現実を、嫌というほど理解していた。
重苦しい沈黙。
その時だった。
敵の一人――黒布の男が、突然顔を上げた。
「……おい」
低い声。
その目が鋭く細められる。
「ネズミが三体潜り込んでるぞ」
ルカ達の背筋が凍る。
感知タイプ。
リアムが小さく舌打ちした。
中央に座っていた男が、ゆっくり口を開く。
「……ほう」
その声だけで空気が震える。
男は面倒そうに片手を振った。
「お前ら。様子見てこい」
「了解」
槍の男と黒布の男が動き出す。
「走るぞ!!」
リアムが叫んだ。
ルカ達は一斉に来た道を駆け出す。
地下通路を全力で走る。
だが。
「ッ!?」
リアムが急停止した。
前方。
通路を塞ぐように、一人の敵が立っていた。
先回りされている。
「ちっ……!」
次の瞬間。
ゴォォォォッ!!
衝撃波が地下通路を駆け抜けた。
三人の身体が強引に吹き飛ばされる。
「ルカ!!」
「アクア!!」
視界が乱れる。
そして。
気づけば三人は完全に分断されていた。
アクアが荒く息をしながら立ち上がる。
「っ……ここ、は……」
その時。
ズシン。
重い足音。
アクアの前へ、一人の大男が姿を現した。
二メートルを超える巨体。
岩のような筋肉。
圧倒的な威圧感。
大男はアクアを見下ろし、低く笑った。
「……ガキか」
アクアの喉が小さく鳴る。
だが。
十字架を強く握りしめた。
ここで負けるわけにはいかない。
重量魔法が静かに発動を始める。




