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ルカ・マーフィーは夜魔法の継承者  作者: 如月


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駆けつけてきた増員

ドゴォォォォォン!!!


暴風が地下通路を引き裂く。


砕けた石壁。


渦巻く水流。


空気そのものが悲鳴を上げていた。


ルカは片膝をつきながら、荒く息をする。


「はぁ……っ……」


夜魔法を展開し続けているせいで、体内の魔力消費が激しい。


隣ではアクアも胸元の十字架を握りしめながら肩で息をしていた。


アクアの額には汗が滲んでいる。


「ブラックホール……押し切られるなんて……」


フードの女は静かに笑う。


風と水が彼女の周囲を渦巻いていた。


「随分頑張るのね」


その声には余裕しかない。


圧倒的な実力差。


アルク先生が敗北した理由を、ルカは痛いほど理解していた。


(強すぎる……!)


だが。


ここで引くわけにはいかない。


真実の扉を守らなければならない。


ルカが再び夜魔法を展開しようとした、その時だった。


――バチバチバチッ!!


突如、地下通路へ青白い雷光が走った。


「ッ!?」


女が目を細める。


次の瞬間。


ドガァァァァン!!!


雷撃が水竜巻へ直撃した。


爆発する水流。


暴風が一瞬だけかき消される。


ルカが目を見開いた。


「この雷……!」


通路の奥から二つの影が現れる。


一人は、全身へ雷を纏った青年。


リアム・マーフィー。


もう一人は、黒髪を揺らしながら静かに歩く男。


生徒会長――セドリック・マーフィーだった。


「無事か、ルカ!」


リアムが鋭く叫ぶ。


ルカは安堵したように息を吐く。


「リアム兄様……!」


アクアも表情を明るくする。


「セドリック先輩!」


セドリックは周囲の惨状を見渡した。


砕けた地下通路。


荒れ狂う魔力。


そしてフードの女。


彼の表情が険しくなる。


「……想像以上だな」


リアムは雷を弾けさせながらルカ達の前へ出る。


「兄様たちここへ来る途中にブラックの先輩たち見ませんでしたか?」


ルカが問う。


セドリックが静かに答えた。


「ビルとサラがレオ達を医療班へ運んでいる」


その言葉にルカの顔色が変わる。


「レオ先輩が……!?」


アクアも不安そうに声を漏らした。


「エディ先輩とオーランド先輩も……?」


リアムが低く言う。


「かなりやられてた。エディは魔力切れ、オーランドも相当無茶したみてぇだ」


ルカは拳を握りしめた。


レオ先輩ですら敗北した。


その現実が重くのしかかる。


さらに脳裏に浮かぶのは、ソジュンの姿だった。


最後に見た、悲しそうな表情。


「……ソジュン先輩は?」


ルカが小さく呟く。


アクアも俯く。


セドリックが静かにルカを見て、首を振る。


だが今は、その答えを探している余裕はない。


彼はすぐに表情を引き締めた。


「それより今は目の前の敵だ」


ルカはハッと顔を上げ、女を睨みつけた。


「俺達がここに来たらアルク先生がすでに気を失っていて…多分この敵が…」


「敵は風属性と水属性の複合魔法使いです」


アクアも苦しそうに続ける。


「ブラックホールでも吸い込みきれないくらい魔力量があります……!」


リアムが舌打ちした。


「面倒なのが残ってやがるな」


セドリックも静かに女を見る。


黒い瞳が鋭く細められた。


「……なるほど」


フードの女はそんな四人を見て、楽しそうに笑った。


「増援?」


風が渦巻く。


水流が再び地下通路を覆い始める。


「でも、誰が増えようと結果は同じよ」


次の瞬間。


巨大な複合魔法陣が展開された。


「来るぞ!!」


リアムが叫ぶ。


ドゴォォォォォン!!!


暴風と激流が一斉に四人へ襲いかかった。

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