七百三十二話 Sランクギルド「パンプキンドロップ」と腹減りな俺様
「ありがとうございます! 助かりました……俺、本当にもうダメかと……」
「うおおお、マジでサーズ様だ! 俺初めて見た!」
「怪我して良かった! おかげでサーズ様に心配してもらえたぞ!」
「うわぁ美しいー! お写真では見たことはありますが、まさか実物に会えるとは……私感動!」
グリーンドラゴンに襲われた一行を助けに、王都から飛車輪とバニー娘アプティの全速力で向かう。
馬車で一時間ほどの宿場近くの街道なのだが、サーズ姫様たちが駆る飛車輪で、十分とかからず到着。
すぐにサーズ姫様が新たに手にしたルーインズウエポン、「光牙剣ブラウファング」の斬撃で空を舞うグリーンドラゴン五匹を撃破。
さすが、ペルセフォス王国が誇る龍騎士の名は伊達じゃあないですな。
森の中を逃げ回っていた冒険者一行と商人たちだが、必死に逃げたせいで、木の枝で顔とか腕を切ってしまったそう。
報告では蒸気モンスター相手に負傷者多数、とかいうから最悪の事態も想定していたが、彼等の怪我は軽く、走り回ったせいで疲労しているぐらいで、結構元気。
サーズ姫様が一人一人に寄り添い、怪我の状況を聞いている。
「ああああ……荷物が喰われて……魔晶石って高いのに……」
「バカか、蒸気モンスター相手に命があっただけでラッキーだろうが! あとペルセフォス王国の麗しの姫、サーズ様に会えたんだからむしろプラスだ! な!」
荷物を運んでいたと思われる商人さんが落ち込んでいるが、護衛と思われる冒険者の一人が笑いながら背中を叩いている。
馬車を引いていた馬がいないが、冒険者のみんなが隙を見て逃がしたとか。
大剣、槍、剣を持った男性と、杖をもった女性のパーティー。
グリーンドラゴン、蒸気モンスター相手に一台の馬車を逃がす隙を作り王都に向かわせ、その後は全員生き残る手段として馬車の荷物を餌に馬を逃がし、自分たちは飛龍たちが入ってこれない森の中に迷わず逃げ込んだ。
護衛対象の商人さんたちも無事。
蒸気モンスター相手に生き残る取捨選択を瞬時にし、逃げずに任務を全うする。
すごいなこの冒険者パーティー。もしかして高レベルで有名な人たちだったりするのかな。
「さすがペルセフォス王国の聖女と名高いサーズ様だ、あとこちらは今年の飛車輪レース、ウェントスリッターで優勝したハイライン=ベクトールさんですか? お二人ともお美しい上にお強いとか……!」
「はは、皆が無事で良かった。もうすぐ救援の馬車が来るから待ってくれ」
「うへぇ、森の中に入ったら制服が切れちゃいましたぁ……先生、ほらお尻のとこ、その大きな手で優しく塞いでくださーい」
リーダー格の男性が頭を下げ、サーズ姫様とハイラにお礼を言っている。
サーズ姫様は有名だけど、ハイラも知っているのか。
こらハイラ、お礼を言われているんだから、キチンと応えろって。
なんで俺の手をお尻に持っていこうとしてんだよ。
「君は……宿場の子供かい? バニーの女性と可愛い犬も、ありがとう、君たちも助けに来てくれたんだね。その勇気にお礼を言わせてくれ」
冒険者のリーダー格の男性が俺たちにも気付き、優しい目でお礼を言ってくる。
「あ、いえ、見ていただけですいません……」
「はぁ? 何を言っているんですか! 先生は私たちなんか比較にならない強さのソルートンを救った英雄で、将来ペルセフォス王国どころか、この世界を救う救世主で私の旦那様……」
「落ち着けハイライン。ああ、すまないな、彼女は英雄物語が好きで、たまに興奮して妄想を語ってしまうんだ、はは……」
冒険者の男性の言葉の何かにカチンときたらしいハイラがブチ切れ。
慌ててサーズ姫様がハイラを止めに入る。
男性は普通に俺たちにお礼を言っていただけでは……あと俺はハイラの旦那ではない。
「あ、そ、そうでしたか……あ、私も英雄物語に憧れて冒険者になった口なので、気持ちは分かりますよ。特にペルセフォスに伝わる光の剣の勇者が大好きなんです。今日はその勇者様の末裔のサーズ=ペルセフォス様にお会いできて光栄です」
リーダー格の男性が改めて丁寧にサーズ姫様に頭を下げる。
「うわぁこの犬すんごいかわいいー! 困り眉が最高ー!」
「ベ、ベッス」
冒険者の女性が愛犬の可愛さに気付いたらしく、ベスの顔をこね始める。
ふふ、当然、俺の愛犬は世界で一番可愛いからな……実に正当な評価を下せる女性ですな。見込み有り。
「あ、あの、この雰囲気、ただ者ではないですよね、よろしければお名前を……」
「俺たちSランクギルド『パンプキンドロップ』です! 今ちょうど女性のメンバーを募集しているのですが、ギルドにご興味は無いですか、お美しいバニーさん! ぜひ!」
「…………」
槍と剣を持った男性二人が、バニー娘アプティに勧誘を仕掛けている。
アプティさん、興味無しで無表情……。
「おお、どこかで見たことが、と思っていたが、Sランクギルドのパンプキンドロップか。あなたたちのような有名なギルドがペルセフォス王国に来ていたとは」
ギルド名を聞いて、サーズ姫様が反応。
あれ、Sランクギルドって、相当強いんじゃないか?
なるほど、どうりで蒸気モンスターであるグリーンドラゴン相手に臆せず冷静な手段を取ったわけだ。
「名乗りが遅れました、申し訳ありません。パンプキンドロップのリーダーをやっているオーレンと言います。サーズ様に名前を知ってもらえているとは、ギルドを作った甲斐があります。この護衛のお仕事でペルセフォス王都に向かいまして、そのあとは火の国に行く予定です」
その後、救援の馬車がペルセフォス王都から到着。
怪我をしていた皆さんの処置。
運良く逃げていた馬が戻ってくれたので、馬車を立て直し、救援馬車にも無事だった荷物を分散してペルセフォス王都へ向かうことに。
とりあえず問題は解決したっぽいので、早く王都に帰りましょう……俺たち、朝食を食べに行く途中で来たので、とんでもなくお腹が空いているんです……。
「異世界転生したら愛犬ベスのほうが強かったんだが」
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影木とふ




