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Blood-stained vampire  作者: ココロ
第一章 鬼の襲撃と地下での出会い
9/22

五人対七十匹!? 絶鬼組での戦い

「本当に倒せるんですか?」

俺は先輩にそう聞いた。

「倒せもしない敵を倒そうなんて夢物語は語らないよ。ましてや可愛い後輩たちの命預かってんだからさ」

先輩はいつになく真面目だった。

「…でもね、クロマ」

急に小声で先輩に似つかわしくない声を出した。

「私は弱い。みんなを守れるほど強くない。でも守らなきゃいけない。それが私の使命だから。だから私は強く振舞う。それでも…守りきれなかった。絶鬼組のみんなは、私を信じて戦って…化け物にされた。だから、私はここの五人を守れるか正直不安なところがあるの…。クロマ、私の代わりはあなたしかいない。あなたはみんなを守る強さを持ってるんだから」

「先輩…。俺はそんなことないですよ…」

「ふふっ。今はまだ私の方が強いかもね。絶対守ってみせる。先輩として」

決心した顔。先輩のこんな顔は久しぶりに見た。

「なになに? 先輩とクロマ二人して何喋ってんの?」

暗い空気を読んだのかどうなのか分からないが、楽しそうにシノリは話しかけてきた。

「シノリ、私が守ってあげるから、怖がらずに撃っていいよ?」

「ふえ? あ、分かってますよ。エン先輩」

「…みんな、こっち隠れる」

カホが指差した方向にみんな隠れる。茂みの中だった。

「フォーメンションはどうするんですか? 」

「うーん。フォーメンションだけど、クロマとユナちゃんで前衛、私とアタルで中衛。で、シノリとカホで後衛して」

「見えてきましたよ…大軍が」

アタルは言った。見るとかなりの数だ。

「さ、シノリが撃ったらスタートってことで」

パァン!

先輩が言い終わるのが早いか、シノリが撃った。

「シノリ早いって」

「そうです?」

そんな二人の会話を横耳で聞きながら、俺とユナは吸血鬼の群れに突っ込んだ。

「『紫王』!」

ユナがそう叫ぶと、紫王と呼ばれた刀の刀身が紫に怪しく光った。

「吹き飛べ」

一太刀。ユナが刀を振るっただけで、吸血鬼の大部分が消沈した。

「俺も負けちゃいられないな。行くぞ『表裏』」

俺も鬼に斬りかかった。

グォォォォォォオ!

「うわっ!」

隣でいきなり、岩の化け物が姿を現した。

「鬼岩城か?」

グォォォォォォオ! と俺の問いなど知ったことかと吸血鬼を薙ぎ払っていく。

「ん?」

一瞬、何かに違和感を感じた。何か見知ったものが視界に入ったような気がした。

「はっ。ははは。はははははははは! クロマァ。久しぶりだなぁ。おい!」

右。空中に知っている顔がいた。違和感はこいつか。

「ハヤト」

「さぁ、早く戦おうぜぇ!」

人からしてみれば尋常じゃない速度でハヤトは迫ってきた。

あくまで、人からしてみれば。

「はっ!」

キィィィン! と、表裏とハヤトの爪がぶつかり合った。

「死ねぇ! クロマァ! あん時の…あん時の恨みだあぁぁぁ!」

「あん時…過去に囚われてるやつは、大抵失敗するんだぜ?」

もはや、聞いていなかった。ハヤトは目に狂気を宿していた。

「ウガァァァァァ!」

「力が!?」

刀にかかっている力が強くなっていく。

「ぐっ!」

なんつー力だ。表裏がキリキリと悲鳴をあげていた。鬼と人の差がこんなにもあるのか…。

「くそっ…負け」

パァン! そんな音と共にハヤトは倒れた。

「…シノリか」

「グァァァ! 頭がァァァァ!」

スナイパーは心強いな。そう思い、俺はハヤトにトドメを刺した。

「永遠に眠ってろ」

よし。つ…ぎ…?

「あれ? もう居ない?」

「あ、クロマくん、終わったみたいだよ」

「…ユナ、お前一人で全部倒したのか?」

「いやいや、エンさんが途中から参加してたよ」

ああ、そういうこと、と納得した。

「うわぁぁぁ!」

少し遠くで、アタルの叫び声が聞こえた。

「まだ、残ってたのか!?」

「行こっ。クロマくん!」

「おう」

俺とユナは声が聞こえた方へ駆け出した。

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