束の間の休息! 本部で出会う新たな仲間!
「あ、エン先輩!!」
隣にいたシノリが驚いたように目を見開いた。
「あれれ? シノリちゃんかな? 久しいね」
「そうですね三年ぶりですか?」
「そんなに経つっけ? 懐かしいなあ…」
遠い目で先輩は空を見つめた。
「そっちにいるのは…ん? あれ? ミナちゃん?」
「いえ、ミナではなく、妹のユナです」
「…妹? あー、二重人格者か。なるほど了解。とりあえず刀、鍛え直したし返すよ」
エン先輩は傍らに置いてあった刀をユナの方に放り投げた。
「う、うわっ。危ないよ!」
「ふふっ。ごめんね」
「…なにこれ。ミナが入ってくる。紅に…もう一人は誰?」
「『蒼櫻』よ。二つの武器を一つにした…と言うよりも元に戻したって言った方が適してるかもね」
「元に?」
「うん。あの二つ、実は一つの刀だったんだ。天使に会うことあったら聞いてみるといいよ。意外とバラバラになってる武器ってあるから」
「…先輩は天使に会ったことがあるんですか?」
恐る恐る俺は先輩に聞いた。
「ん? うん。あるよ。可愛い娘だったね」
「そうなんですか…で、先輩、俺たちはどうすればいいんですか?」
「とりあえず、みんな戻りたいでしょ? そのためにここの吸血鬼、一匹残らず殲滅しないとね」
「…できるんですか?」
「聖武器所持者も、五人いることだし」
五人? 俺と先輩とシノリとミナと…誰だ?
「クロマ、そんな怪訝な顔しない。誰がこの塔の所持者なのよ」
「…まさか」
「うん。彼、クサシジアタルよ」
先輩は少し後ろの方に控えている、アタルを指差した。
「や、やめてくださいよエンさん。僕じゃなくて、所持者は僕の姉です」
「ああ? 変わらないじゃん」
「だいぶ変わりますけど?」
「…まあ、というわけで五人ね」
「姉さん呼んできます」
アタルはそう言って部屋から出て行った。
「なら、カホが来たら作戦開始ってことで。それまで休んでてね」
カホ? ああ、アタルの姉さんか。
「ね、クロマくん」
ユナがここぞとばかりに話しかけてきた。
「クロマくんは、私とミナどっちがいい? 喋り方とか、そういうの」
「どっちって言われてもな…難しいぜ」
「そう。じゃあ、このまま私で続行しよ」
「そういえばユナ、お前戦えんの?」
「ふえ? クロマくん忘れたの? 私、名門アイノセの出だよ? ちっちゃい時からずっと、英才教育受けて、武道もそれなりに受けてるからね?」
「俺とだいぶ遊んでなかったか?」
「遊んだのなんて、クロマが来た時だけだよ」
懐かしそうに宙を見つめる。
「ユナ、来たみたいだぜ?」
アタルの後ろにぱっと見、中二くらいの女の子がいた。
「あ、カホ姉、前出て…、この人が姉のクサシジカホです」
「よろしく。カホさん」
「!」
声をかけられたことに驚いて、カホと呼ばれた少女はアタルに隠れるようにアタルの後ろに回った。
「人見知りなんで、あんまり気にしないでください」
「…そう、私のことなんて気にしないで」
「カホ姉が、初対面の人相手に喋った!? 」
「…ただの主人公補正。話しといたほうがいいと思ったから」
「? カホ姉、補正って?」
「…気にしないで」
「よし。みんな揃ったし、やろうか。討伐作戦」
「おー」
緩い声を出しながらカホさんは言った。
なんか調子狂う。
「…早く行こ。私、久しぶりに買い物したい」
おい。この人、マイペース過ぎるだろ。
「戻っていいよ『鬼岩城』」
ガラガラと音を立てながら塔が壊れていく。
「ちょっ! カホ姉!?」
「だから、マイペース過ぎだって! 『髑髏』!」
先輩がそう叫ぶとバリアのようなものが部屋を包んだ。そして、見事無事だった。
「カホ、今のはない」
「えー」
「えー、じゃない。私がいなきゃみんな下敷きになって死んでたわ」
「…エンが居たからしたんだよ?」
「ったく、なら、行こうか」
呆れるような口調で先輩は言ったのだった。




