表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Blood-stained vampire  作者: ココロ
第一章 鬼の襲撃と地下での出会い
10/22

吸血鬼化! 最強のお出まし

グォォォォォォオ!

鬼岩城が、まだ吼えている?

「も、戻って『鬼岩城』!」

グォォォォォォオ!

カホの声の後に、また鬼岩城が吼えた。戻ってない!?

「ユナ、あそこだ」

「急ご!」

俺らはより一層速く走った。

「くうぅ!」

「エン先輩!?」

駆けつけた時には、なぜか、『鬼岩城』とエン先輩が戦っていた。

「…クロマ! 主人公でしょ…何とかしてよ!」

カホは俺を見るなり、そう言い泣き出した。

「な、何がどうなって…?」

「『鬼岩城』が独りでに暴れだして…私の言うこと聞かなくて…」

壊すほかない。直感でそう思った。

「わかった。ユナ! たたみかけるぞ!」

「う、うん!」

「『表裏』!」

そう言って、鞘から抜くと『表裏』の、刀身は紅く光っていた。

「な、なんだ?」

「『紫王』切り裂いて」

俺が驚き戸惑っている間に、ユナは躊躇なく『鬼岩城』を切り裂き、壊した。

「ふう…『鬼岩城』を敵に回すとあんなに強かったなんて」

エン先輩は、それでもやられてなかった。

『表裏』いるのか? カズネ?

心の中で俺は『表裏』に話しかけた。

"クロマ!"

カズネ、なにかあっ

"表裏が! 表裏が!"

カズネ、どうしたんだ?

"……クロマ、助け"

プツッと、音が聞こえたかと思うと、声はもう聞こえてこなかった。

「な、なんなんだ?」

もう『表裏』は紅く光っておらず、ただ、鈍い色を照り返すだけだった。

「ねえ、クロマくん」

「なんだ?」

「『鬼岩城』、どうして暴れたんだろうね」

「さあな」

「聖武器の吸血鬼化だよ。クロマ」

「え?」

ユナがいきなり、そう言った。

「聖武器の吸血鬼化」

「は?」

意味が分からず、つい声が漏れる。

「だから、聖武器の吸血鬼化だよ。って言ってんの」

三度目ともなると、流石に怒った。

「で、なんで、ユナは知ってるのに」

と、言いかけてやめる。こいつは今ユナじゃなく、ミナになっているようだった。

「おお。よく気付いたね、クロマ。昇進ものだよ」

「ミナ、聖武器の吸血鬼化ってなんだ?」

「んー、そのまんまなんだけど、聖武器にはそれぞれ人格が宿ってんの。私の武器なら、魔族の鬼なんだけどね。で、その人格が吸血鬼化するの。まあ、人に限るけど。さらに言うと、いま吸血鬼化してんの、鬼岩城と表裏だけだけど…、近くにあの人がいるのかな」

あの人?

「歴史に埋もれた人、ハセガワミユウが来てるのかな…とか」

ハセガワミユウ? 誰だそれは。歴史に埋もれた人とか言ってたな……寝てたから覚えてねえ…。

「いや、そもそも、アーサーが人類最強とか言ってる時点で間違えなんだけど、一番強いのはハセガワミユウだし…いや、あれを人というべきなのか分かんないけど」

博学…いや、何か違う気がする。

「お二人さん、何話してんの?」

エン先輩が、声をかけてきた。

「いや、ちょっと」

「上に帰るよ」

「あ、はい」

返事をして気づいた。何か足りない?

そう思い周囲を見回す。すると、あるべきものが…居るべき人がいなかった。

「エン先輩、シノリは…?」

「え? さっきまで近くに…居ないね」

突如として、胸が荒く鳴り始めた。

「…シノリ?」

悪い予感がする。そう思った時だった。

「やばいね。なにか来てるよ」

エン先輩がそう呟くのを聞いて、顔を上げる。

「確かに…やばそうですね」

真っ黒な何かが居た。形容のしようもなくただただ真っ黒。確実にやばい。

勝てるだろうか?

違う。野性が叫ぶ。

敵じゃない。また叫ぶ。

「まさか…あれがシノリだって言うのか…?」

表裏を抜く。見ると、また紅く光っていた。吸血鬼化、ねえ…。

「よし! 行くぞ!」

敵へ走り出せ!

パァン!

銃声を聞こえ、目の前を銃弾が通り過ぎるのが見え、急ブレーキをかけた。そして、弾丸の出所を探す。そして女を目が捉えた。

「クロマ! さっさと逃げて!」

その声は、やけに感動的に聞こえた。

「シノリ!」

「…逃げる? クロマ、指示して」

カホが俺を頼るように見上げる。

「エン先輩は他の人と先に逃げてください。俺はシノリを助ける!」

「分かった。絶対、追いついて来てよ!」

「分かりました!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ