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導入Ⅰ
「ワラキアを帝国の傘下へ! 現公を退位させ、公位をオスマンへと捧げるのだ! 勝利は我等の許に!」
バルカン半島に位置する小国、ワラキア公国の首都、トゥルゴヴィシュテを望める小高い丘にて。
其処を攻めるべく、余の許には皇帝の支援を受け、オスマンの兵共が集められていた。
余の鼓舞に士気が極限まで高まった彼等が、一斉に鬨を上げる。
それを聞こうともせず、余は馬の手綱を引いて奴等に背を向け下を見下ろした。
これより、首都をハンガリーの傀儡から奪還すべく突撃を開始する。
しかし、ワラキアを帝国の傘下へ?
公位をオスマンに?
それはつまり、祖国の矜持をあの皇帝に譲り渡すと云うことか?
自ら発した言の葉とはいえ、ワラキアをオスマンの傀儡にするなどという屈辱、黙って堪えるべきものではない。
余が望むものは――そう。
矜持を重んじ、秩序を愛する我が祖国だ。
私欲に塗れた貴族共も、
ヤノシュも、ムラトも、メフメトも、ラドゥも。
我が祖国に牙を剥く者は。
全て、余が粛清してくれる。




