二話目
そう言った彼女は俺の方を向いて言った。
「わたしは…あなたの奥さんになる…五年前から来た月です」
「…は、?」
また俺の頭の中はこんがらがった。
俺の嫁の月が五年前から来た…?信じられるわけなかった。
「な、なんのために来たの?」
「私も…わからなかったんです…あの日あの歩道橋から立ち去ったあと目の前が急に真っ暗になって…気づいたら五年後の世界に来ていて…孤独な毎日を過ごしていたから…頭がおかしくなっちゃって…死んだらもとの世界に帰れると思ったんですけど…そんなときにあなたが止めてくれたんです」
あり得ない…そんなことがあるはずがないだろう…
そんなことを思っていたが妻の発言によって彼女の発言が真実味を増した。
「…私もそうだった、あなたにはわからないことだと思うのだけれど…私も一度未来に言ったことがあるのよ…」
「な、なんでそんなに大事なことを今までだまってたんだよ!」
妻は少し申し訳なさそうな顔をした。
「しょうがないのよ…もとの世界に戻った反動で未来での記憶が消えてしまったんだもの…」
「…今は思い出したのかい?」
「えぇ…少しずつ思い出しているけど…」
そう言うと妻は頭を抱えた。
そして、膝から崩れ落ちるとすかさず娘がかけよった。
「大丈夫!?お母さん!」
「えぇ、すこし頭痛がしただけよ…すこし休めば…大丈夫だわ」
そして、彼女が近くにあった椅子を妻のもとにおいた。
「あら…ありがとう…」
気が利くところは妻と似ている。そして、月のようにきれいな目をしている。それは妻である月と瓜二つだった。




