神様集合
カーラ様の豪腕に抱き締められた私はされるがままにグリグリされていた。
「カーラリア、もういいだろう。リディを私に。」
「何言ってんだい!もう少しこのままでいいだろう。ねぇ、リディ。」
カーラ様はさらに私にグリグリしてくる。カーラ様、痛いです…。
「おいおい、リディが可哀想じゃろ。」
知らない声が聞こえたと思ったら、カーラ様の腕の中から、知らない男の人の腕の中にいた。私の気持ちが伝わったのか、彼が助け船をだしてくれたようだ。
「ジリウスか。私がリディを抱きたかったのに余計なことを。」
「ほっほっほっ。リディがお主らの妹ならば、リディはワシの孫じゃからの。のぉ、リディ。」
声の主を見上げると、髪の毛の長い、髭顔の老人が優しそうな顔でニコニコしていた。
「まぁの?」
(孫?)
「ほっほっほっ。そうじゃよ、孫じゃ。ワシのことはジィジと呼んどくれ。」
「にぃに?」
(じぃじ?)
「なんじゃ?なんじゃ?ええのぉ、可愛いのぉ。」
さすがに溺愛ぶりになれてきた私は、あまり驚かない。
「にぃい、のぉ、あーま?」
(じぃじは何の神様?)
「ほっ?ワシか?ワシはの創造の神じゃよ。神の長でもあるがの。」
「おぉしゃ?」
(長?)
「そうじゃよ。神とて万能ではないからの。ほっほっほっ。」
「おーのーまーの?」
(創造の神様は何をするの?)
「ワシかの?そうじゃの、簡単に言うと“世界を作る”かの。
まぁ、そんなにポンポン世界を作る訳にもいかんからの、普段は暇人じゃ。ほっほっほっ。」
「リディ、会いたかったよ!」
私たちの目の前にアトラス様の姿が現れる。
「ジリウス、リディを僕に。」
「いやじゃよ。まだワシがリディを堪能しておるのじゃ。」
「リディ!おいで!」
「リディが嫌じゃと言っておろう。」
あの~、小学生の喧嘩みたいになってますよぉ…何だかんだ言って、溺愛になれてきたけど、確かアトラス様は可愛いと認めたら溺愛するって言ってたよね。もしかしなくてもアトラス様だけじゃなくて神様みんな?まぁ、薄々というより、ハッキリと気づいていましたけどね。この小学生みたいな喧嘩どうしたらいいんだろう?
「あら、レディを放っておいて喧嘩なんて」
「男がすることじゃないわね。」
「おいで、リディ。」
“今度は誰?!”
私は声の方を振り返った。そこには、ナイスバディな美女とスレンダーな美人と可愛らしい中学生くらいの男の子がいた。男の子が手を伸ばすと、男の子のもとへ私の体が浮いていった。
“うん、もう慣れたけどね。”
「おぉ、ワシのリディが!」
じぃじ(様つけなくていいのかな?)が嘆く。
「リディ、僕はフラール、知識の神だよ。」
「私はヴィーナリス、美愛の神よ。」
「私はエテルシナ、豊穣の神。」
「よーしーしゅ。」
(よろしくお願いします。)
「「「なんて可愛いの(んだ)!!」」」
はい、お約束~。この言葉聞くの何回目だろう?皆さん、お仕事は大丈夫なんでしょうか?
「リディちゃん、お迎えに行ったらいないんだもん!先に気配を探ればよかったわ!」
と、プンプンしているのがヴィーナリス様(美愛の神様)。すごくセクシーだ。何というか、目のやり場に困る・・・。
「ヴィーナリス、少し落ち着きなさい。」
冷静にヴィーナリス様をなだめているのが、エテルシナ様(豊穣の神様)。
「リディ、お姉様と呼んでもいいのよ。」
「あら、エテルシナ。お姉様だと、私か、あなたか、カーラリアか分からなくなってしまうわ。」
「私だけお姉様と呼べばいいだけだわ。」
「それはずるいわ!ねぇ、カーラリア!」
「うーん、そうだね。私もお姉様と呼ばれたいね。」
「まぁ、まぁ、喧嘩はやめましょうか。僕たちの可愛いリディがびっくりしていますよ。それでしたら、エテル姉様、ヴィーナ姉様、カーラ姉様と呼んでもらえばいいのでは?」
と、二人を宥めている男の子がフラール様(知識の神)。すごく可愛らしい男の子だ。
「僕のことはふぅ兄様って呼んでね。」
「あい!」
「なんじゃ、なんじゃ。皆役目はいいのかの?」
「すこぉしだけ、お休みよ。だって、リディちゃんに会いたいじゃない。ねっ、リディちゃん」
私にウィンクで同意を求めるヴィーナリス様。気づけば、神様がこんなにいっぱい…なんだか、私が思ってた神様と全然ちが~う!
だけど、家族と呼んでくれる人たちに抱き締められるのって何て幸せな気持ちになるんだろう。地球にいた頃は全然知らなかったけれど、キースでは確かに知っていた心地よさ。僅かにしか記憶がないことが本当に悔しい。絶対に取り戻すんだ。ここで力をつけて──。




