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29話

「れはっ、紅葩っっっ。」

「………っ、れ、ん?」

薄暗くなった空き教室…紅葩が倒れていたのを発見したのは蓮。

もう辺りは大分暗い…自分はどれだけ気を失っていたのか。

「誰にやられたっ?」

蓮の問いに紅葩は気を失う前を額の痛みと共に思い出した。

笑顔の朱羅と、神具の武器である小さな銃…そしてもう1人。

「………早く、皆の所へ…。」

「…お前は休んでろ。」

まだ意識がぼんやりしている紅葩を抱いた蓮は生徒会室に向かった。

(……………剣。)

生徒会室に戻った紅葩と蓮、紅葩の姿を見た途端皆は驚き駆け寄ってくる…が、その中に紅葩が求めていた人物はやはりいなかった。

「剣は?」

「剣なら朱羅さんと満月さんと夕飯にって外に…って紅葩っ?」

蓮から降ろしてもらった紅葩は、生徒会室の窓から飛び降りて華麗に着地した後一目散に走り出した。

何が何やら分からないまま、後を追う蓮達。

場所が変わり剣達3人はホテルの近道として廃工場の中にいた。

「剣。」

「何だ?兄さん。」

急に足を止めた朱羅、その顔は剣は知らないが先程の紅葩と話していた時の表情だった。

「剣は…満月との結婚を祝福してくれるよね?」

「…もちろんだ。何故、改まって言うんだ。」

「ありがとう剣……………ごめん。」

そう言った朱羅は懐から何かを取り出し、いつも蓮の武器から聞いていた音よりも小さいが、聞き慣れた音と自分のお腹から感じた熱と痛み…。

「にっ…さ、ん。」

熱い部分に触れる…自分の血だ。

今朱羅の手にあるモノ、発砲した証拠の硝煙が上がっている銃。

「………………何で、兄さんが?」

兄の朱羅は確かにスサノオの5年前の事件の時あの街に居なかった…でも今の朱羅からは確かに神具の気配がしている。

お腹の痛みと目の前の情報に剣の頭が回らない…混乱しながらも次に発砲された銃弾は避け、近くにあった古い機械の影に隠れた。

(………兄さん。)

夢だと思いたい…自分の思い出の朱羅が本当の修羅なのだと。

「剣…君を苦しませたいわけじゃ無いんだ。それに…君の次は彼女達だ、時間を掛けるわけにはいかない。」

その言葉に剣の脳内を占めたのは紅葩達生徒会のメンバーだ。

「兄さんに紅葩達を殺させない。」

そう言って機械の影から出てきた剣の手には刀。

剣が痛みに耐えながら動こうとしている同時刻、紅葩達は数分前までは気配を感じず、とりあえず2人から聞いていたホテルに向かっていた。

朱羅と剣が武器を出したことで気配を感じ取り廃工場に向かってまた走り出した。

いくら神具と言えど、車で走る距離は流石に疲れる。

「紅葩〜いくら相手が朱羅さんだからって剣が殺られるわけないじゃんっ。」

「そうそうっボク達もう殺し合わないって決めたしさ〜。」

双子の言いたいことも分かる。いくら慕っている兄の朱羅が相手だとしても剣が殺られるとは誰も思わない…。

「………………。」

「紅葩?」

「神具に協力する一般人がいたら?その一般人が“核”を持っていたら神気はどう感じると思う?」

察しの良い蓮と璃莉は紅葩の言いたい事が分かり、慌てている理由も理解した。

「神気は武器にしか無いんだから一般人が持ってても一般人は一般人でしょ?ね?璃莉。」

「………はぁ、じゃあ俺のこの状態を感じてみろ。」

蓮は走りながら己の核である銃を出現させた。

「どうって蓮は神具じゃんっ。」

「阿呆、ちゃんと気配の“場所”を感じろ。」

「「そんなもん蓮の持っている銃だ………「アレ?」」」

双子、咲良もようやく分かったらしい。

今まで神具の気配イコール神具と思っていたから何も疑問に思うことはなかった…がちゃんと気配を探っても、神具の気配は蓮“全体”だった。

「………朱羅さんじゃ無いのよ………剣間に合って。」

しかし紅葩の祈りは届かず、剣と朱羅は…。

朱羅の幾つもの発砲に剣は弾丸を避け、斬り、一歩ずつ近寄っていく。

お世辞にも朱羅の攻撃は単調だった…剣は朱羅を押し倒しその首に剣を突きつけた。

「……………終わりだ、兄さん。」

「剣…相変わらず、強いね。」

絶体絶命でありながらまだ朱羅の表情は笑顔に剣は痛みと不気味さを覚え、刀を握る手に力が入る。

「………随分余裕そうですねこの状況で。」

「そんなことないさ、剣は昔から強かったし凄かった。」

お互いがお互いの良い所を羨ましがっている、ある意味似たモノ同士の兄妹。

「兄さん、アタシは「剣は…僕の幸せを喜んでくれるんだよね?」………ア、タシは…。」

朱羅の言葉に剣は動揺した………だから気が付かなかった、気が付くのを朱羅がずっと阻止していた。

ずっと一緒にいた“彼女”の存在を、剣の意識、五感は全て朱羅に向けられていた…そんな剣の背後から心臓を狙う影。

「剣…ごめ「剣っ、後ろっ。」………。」

後ろから発砲される音と同時、朱羅の声を掻き消す“あの子”の声に剣の意識は初めて朱羅以外に向けられその存在に気付いた…。

「………満月、さん。」

銃弾を避け背後の存在に剣は目を向けた…朱羅が持っていた銃と同じものを構えた満月がいた…そして自分の為に駆けつけて来てくれた仲間達の姿。

「剣…良かったぁ。」

「紅葩。」

声を掛けてくれたのは紅葩だった…安心した紅葩の笑顔に剣は力が抜けたのか膝から崩れ落ちるが紅葩が支えた。

その時に見えた紅葩の額の傷。

「紅葩、この傷はどうしたんだ。」

「…自分の方が酷い怪我してるでしょ、自分の心配をしなさいよ。」

微笑みあう2人をよそに、朱羅と満月は拘束されていた。

神具は満月の方だった…実は満月はあの街に居た頃から朱羅とは良い仲だった…数年前に再会した2人は愛し合い、満月は朱羅と結婚したい為に寝具との闘いに投じていた。

「満月さん…私達は今、スサノオを倒す為に力を着けています。」

「神に………勝つ?そんなこと出来るわけ…。」

「勝ちます。天照もいますし、私達はもう殺し合うのは嫌なんです。」

「そうそうっ、2人にはうちらがスサノオを倒すのを待ってもらうことになっちゃうけどっ。」

紅葩の凜とした声に、咲良の人を元気づける声に2人の表情が変わる。

「必ず、お2人の幸せを実現してみせます。」

「「オレ(ボク)達の招待状ちゃんと用意しといてよな(ね)。」」

こうして剣の長い夜は終わった………次の日、朱羅と満月は帰国のため空港に生徒会のメンバーと一緒にいた。

「まだこっちに居れば良いのに…。」

「皆を信じて朱羅さんとの結婚資金を貯めます、皆さんを招待出来る様に盛大にしますので。」

未来の話を嬉しそうにする満月、その笑顔に朱羅も先日とは違う穏やかな笑みを浮かべた。

「兄さん。」

「剣…昔の剣なら絶対に僕から意識を逸さなかったのに、少し寂しいや兄離れされたかな。」

2人の視線の先には満月達と楽しそうに話している紅葩の姿。

「僕は剣の味方だよ?」

「…ありがとう、大好きな兄さん。」

お久しぶりです。

久しぶりの投稿で申し訳ありません。

次話以降は、設定をかなり変更しましてそれによる掲載していたものを変えていこうと思っています。

読んでくださる皆様、どうか今後ともよろしくお願いいたします。

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